【黒船級の戦慄】中国製フルEVを佐川急便が7200台採用。

この道はいつか来た道の戦慄が走りました。
かつてJapan as No1とまで謳われた経済大国日本ですが、失われた30年で多くの局地戦で大敗し国家として進退窮まるのではないかと危惧しています。その姿はミッドウェー海戦の大敗を機に制空権を失い敗戦に追い込まれた太平洋戦争の悪夢を思い出させます。
近年で言えば、大型液晶テレビ、スマホ、パソコンというかつて日本が世界のトップランナーだった領域で、次々中韓台湾メーカーにシェアを奪われ今や最終製品としての新製品をリリースさえできない状況です。
例えば現代の神器スマホの最新スペック5Gでは、ソニーと富士通などわずかな会社だけがギリギリ新製品を出しましたが、もはや風前の灯火。それさえ難しいと囁かれる状況です。
【SankeiBiz掲載】5G時代のスマホ競争 ソニーXperiaは日本ブランドの牙城を守れるか
SankeiBizに連載させていただいていている「ブランドウオッチング」の本日より掲載開始の最新記事です。 企業活動のグローバル化をどう考えるかというのは結構難しい問題だと思います。 私自身広告代理店で外資系企業を長く担当してき...

もちろん部品や製造装置ではまだ一定の存在感がありますが、やはりティア2以降。要は下請けの立場とも言えますのであくまで価格決定権などの主導権はティア1の最終製品メーカーにある状況です。

いやいやコモディティ化した製品など儲かりもしないし、日本はもういいよ。と言えれば良いのでしょうが、モノづくり以外第三次産業つまりサービスやソフト産業こそ、英語の問題もありGAFA,Netflix,Dropbox,Zoomなど世界的プラットフォーマーのデジタル植民地に甘んじる他ない立場で、それこそ勝ち筋が見えません。
日本の新聞に、ニューヨークタイムズ成功モデルが参考にならない理由
結論から先に言えば「使用言語」、具体的に言えば使用言語が「英語」か否かの問題です。 ネットは、文字通り世界から国境を取り払いました。 誰でも世界中からニューヨークタイムズでも、読売オンラインでもアクセスできる時代です。 でも圧倒的...

日本にとって自動車産業こそが最後の砦のようなものでこの巨大な生態系が今や日本を支えていることは間違いありませんから、EV化の動きは気が気でないというのが正直なところです。
部品点数が内燃機関、つまりエンジンを持つ自動車に対して何分の一まで減ると言われる100%EV電気自動車はまさにコモディティ的製品になってしまうに違いありません。大きなラジコン自動車。要は誰が作っても同じ製品で、どんどん競争軸が”価格”一本にシフトしていきます。

何より、今回の衝撃は商用分野、いわゆるBtoB分野から黒船が来たことです。

筆者も多く自動車会社のマーケティングを広告代理店の立場からサポートしてきましたが、世の中からの認識と大いに違って自動車産業の内側にいる人にとって商用分野は一般向けに勝るとも劣らない重要性があります。大トヨタにしたところでレクサスやクラウン、アルファード、もちろんハイエース、プロボックス、ジャパンタクシーなどかなりの台数を法人向けに販売しています。

この商用分野のホールセール(大量購買)から外国製品がどっと参入してくるのは、かつてまさに日本のパソコン市場で起きたことです。NEC,富士通、東芝の市場があっという間にデル、ヒューレットパッカードの市場になってしまい、今やレノボ、エイスースです。

今回台湾企業との合弁会社ASFが企画、製造中国ということですが、衝撃はやはり小さいものであろうわけもありません。何せここは自動車大国日本、軽自動車含めてあふれるほどのメーカーがひしめいているわけですから。

(佐川急便ホームページより)

筆者を含め自動車産業に関わったことがある人間であれば、100%EVが必ずしもクリーンエネルギーとしての最適解でないことは昔から知っています。電池製造に多大な二酸化炭素を発生する上に、火力発電の電気を使ってもまったくクリーンとは言えなからです。だからこそ日本の自動車メーカーはハイブリッド、水素含めて全方位に備えながら、決め打ちせず世の動向を伺っていたわけです。

でも、日本にとっては競争上厳しいことですが、中国、欧州は日本メーカーに逆立ちしても勝てない内燃機関=エンジン登載のハイブリッドやクリーンディーゼルエンジン車でなく、大した技術が必要ない100%EVに強引にカジを切ってきました。

あれだけ備えながらも結局力技でゲームのルールを強引に変えられてしまった感があり、日本も渋々ながら100%EV車に力を入れざるを得ない状況はあまり喜ばしいものではありませんが仕方ありませんね。
今回の佐川急便の7200台の大量購入、きっとスゴイ値段が提示されているはずです。1台100万円程度と噂されていますが実際はそれ以下だってあり得ます。
こうなってしまえば、EVの弱点である電池の寿命も使い捨てさえ法人にとっては可能ですものね。こんなにも早く恐れていた世界が身近にやってきてしまうとは。

(佐川急便ホームページより)

いやいや本当の恐怖の外来種がやってきました。これで日本の幸せで豊穣だった生態系は本当にやられてしまうのでしょうか。
もちろん付加価値志向で勝負するのも大事ですが、価格競争を含めた正面からの勝負をあきらめれば、より大きい方のマス市場を失います。
まさに正念場。筆者自身もちろんできる限りのサポートをしていきたいと思っていますが険しい先行きに戦慄せざるを得ません。

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