結論から先に言えば「使用言語」、具体的に言えば使用言語が「英語」か否かの問題です。
ネットは、文字通り世界から国境を取り払いました。
誰でも世界中からニューヨークタイムズでも、読売オンラインでもアクセスできる時代です。
でも圧倒的に日本語は世界で見ればマイナー言語です。世界人口77億人のうちのせいぜい1億人プラス。しかも人口半減に向かってすごい勢いで突き進んでいます。一方で英語人口は15億人と言われていますし、しかも影響力あるアメリカ、イギリスを中心とする先進国及び世界のリーダー階層の実質的な標準語です。これだけ市場規模に差があるともはやビジネスモデルとしては比較参考にしようがありません。


実は「日本の新聞」というビジネスモデルは、ある意味「日本」だからこそ成立していた特殊なビジネスモデルでした。
昔はギネスブックに世界最大の発行部数として日本の新聞が軒並みリストアップされていました。
なぜそんな成功を実現できたかと言えば、大きな要因のひとつが日本は広義の「都市生活者」が90%の珍しい国だったことです。世界的な視点でみれば、結構珍しいライフスタイル、地方を含めて街に密集してこじんまりと生活するのが好きな国民なわけです。だからこそ、「新聞宅配」しかも多くのエリア(セット版エリアと言います)で朝、夕方の「新聞宅配」が機能してきたわけです。
(写真:AC)
もちろんアメリカひとつとっても、ドラマなどを見れば学生アルバイトが新聞を玄関先に投げる情景が描かれていたりしますが、住宅の密度は圧倒的に違います。下手をしたら10倍以上広大なエリアを配るとなれば配達効率がそもそもまったく違うのです。
しかも、そもそも住宅地に住んでいない人も非常に多いですし、まして配達効率マックスの集合住宅居住も非常に少ない。
そういう意味では、紙の新聞時代、今とは逆に「日本の新聞」は絶好の市場環境を背景に異例の巨大な成功を収めたわけです。
要は「日本の新聞」は、「日本人の都市生活」という結構特殊な環境で大輪の花を咲かせていたスペシャルなビジネスモデルなのです。
さらに言えば、勤勉に配達してくれる人が存在したり、まじめに毎月定額払う世帯が多いという特性も寄与したと言えます。
さてこれからの時代、もちろんネットの場で勝負する他ないわけですが、同じ情報をネット化すればなんとかなるといかないところが難しいところです。そもそものネットの広告モデルはグローバルモデル要は英語モデルを前提に設計されています。具体的には日本語の市場規模より一桁多いアクセスを稼がないと成立しないモデルなのです。
最近世界トップの9歳のユーチューバーが紹介されていましたが、お父さんが日本人だそうですが、このレベルの収入は英語で発信していなければありえません。
同誌は、動画の内容が「家族向けで、英語で編集され、長さが8分以上」の場合に広告収入が増える傾向があると分析した。 日系の9歳男児、30億円でトップ ユーチューバー年収番付米経済誌フォーブスは18日、最も収入が多かったユーチューバーの今年のランキングを発表し、昨年6月から1年間で推定2950万ドル(約30億5千万円)を得た米国…
なかなか悩ましい状況ではありますが、日本だからこそ実現した「日本の新聞社」という素晴らしいメディアを、なんとか守り、活かせる道筋があることを心から願っています。
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