【第7回 家族に障害児がいます from N.Y.】2歳前までに感じた違和感

以前も息子がまだ2歳になる前に感じた違和感等について、あれこれと書いたことがあったが、今回はもっと細かく振り返ってみたい。

スポンサーリンク

限りがある出生前診断で分かる障害

息子の妊娠中には全く何も問題なく、普通に妊娠、出産に至った。ちなみに途中、高齢出産だったこともあり出生前診断も行った。きっちり羊水検査実施。検査を受ける前にきちんとカウンセリングがあり、検査の危険性なども説明をうけ、同意書にサイン。検査結果はシロ。検査結果を聞くまで本当に色々と考えた。もし胎児に問題があると言われたらどうしたらいいのか、正直全く腹は括れていなかったのだが、結果的に問題がなかったので本当に心の底から喜びと解放感を味わったような気がする。これで安心して出産できる!という喜びだ。しかし今だから思うけれど、出生前診断で分かる障害には限りがある。主なところはダウン症だと思うけれど、自閉症は残念ながら現在の医学では胎児の時には分からない。あの時は子供の健康を信じて何の疑いもなく出産に臨んだわけだけど、人生ってそんなに甘くないのだと後年思い知ることになる。

PexelsによるPixabayからの画像
産後直ぐにショックを受ける事態に見舞われるのか、産後数年して大ショックを受けるかの違いに思えて仕方ない。診断の結果、子供に障害が見つかったらどうしていたのか、、、今も時々考える。今だったらきっと検査は受けない。障害があろうが無かろうが、自分の運命を引き受けるしかないのだと思えるからだ。(しかしこのことについては現在進行形で葛藤中)

自立歩行まではむしろ早いくらいのペース

無事に生まれた息子はスクスクと順調に育ち、健康上の問題もなく、つかまり立ちから自立歩行まではむしろ少し早いくらいのペースで育っていたので、子供の発育に問題が起きているなんて1歳前までは全く考えもしなかった。離乳食も比較的問題なく食べていたし、テレビの向こうで出演者がバイバイをしていたら、それに呼応するようにバイバイをしようとしていることもあった。ただこの場合、バイバイらしきしぐさをしているのだが、完璧なバイバイではなく手首を回すような感じで、どちらかといえばキラキラを表現する時にするような仕草に似ているものだった。その当時、「にんじん」という絵本を毎晩読み聞かせていたのだけれど、「にんじんさんは?」と尋ねたらベッドルームへ歩いて行き、その「にんじん」の絵本を取ってくるなどの行動もあったので、本当に全ては順調に行っているのだと思っていた。
しかし良く思い返してみると、あまり目が合ったことは無かったような気がするし、目で対象物を後追いするような行動もなかったように思う。赤い物を赤ちゃんの目の前で動かすと、それを目で追う仕草をするようになると言われたので、早速赤いマスコットを買ってきて目の前で左右に動かしてみた。けれど全く無反応だったことがあった。「あれ?全然興味なさそう」と思っただけで、それが重大な意味を持つとは全く想像もしていなかったけれど、考えてみたらいつもニコニコしている赤ちゃんだったから気付かずに過ごしていたが、目は殆ど合ったことがない。こちらの様子を凝視するような態度や、親のリアクションを見て喜ぶようなはしゃぎ方をしたことも無かったような気もする。私自身、典型的な核家族の末っ子として育ち、自分より小さい子と接した記憶があまりなく、赤ちゃんという存在についてあまりにも無知だったために、その時期の赤ちゃんの様子としては違和感を感じることは出来ずに過ごしていたのだと思う。

動きは活発なのに静かな子供

そんな無知な母親の私でも、1歳を過ぎた頃から徐々に息子の行動に違和感を覚え始める。まず言葉が全く出てこない。考えてみたら喃語のような発声もほぼ皆無だった。動きは活発なのに静かな子供。でもちょっと遅れてるだけだと全く心配していなかった。けれど息子の動きは日に日に激しくなる。一緒にいる私はハラハラするし、イライラする。例えば食事などで椅子に座らせると、あっという間に椅子から床に滑り下りてしまう。そしてちょこちょこと歩き出す。こちらの呼びかけには反応せず、自分の興味があるものの方へただただ前進するのみ。オモチャには全く興味も示さず遊ばない。コンピューターのキーボードやATM、ゲーム機などの操作ボタンなどを飽きることなくずっと押したりすることを好む。この当時からエレベーターやエスカレーターに乗ることが大好き。何回でも乗ろうとする。一度、激しい癇癪を起した息子が外のコンクリートの道路に何度も頭を打ち付けたことがあって、本当に唖然とした。こんなことをするのは普通なのだろうか??疑問はどんどん大きくなるばかりだ。
この当時はとにかく、息子と過ごす時間をどう潰すのか考えるのが辛かった。こちらが提供する、子供が喜びそうな遊びには一切興味を示さないのに、ダメだという事ばかりをしたがる。こういう風に書くと、このくらいの年齢の子供は皆そんなもんだと言われるのだが、程度の問題だと思う。本当に親の言うことやボディランゲージなどが一切伝わらない感じというのだろうか。こちらからの言葉がけや態度が全く彼の中に通じてない感じが段々大きくなる。この全く通じない状態はその後、どんどん強く、そして加速していくことになる。私にとって、手はかかるけれど一番可愛いであろう子供が1歳代の頃の記憶は、思い返してみてもただただ辛く、途方に暮れるものだ。その後、数年はもっとどす黒い暗黒期に入っていく。

【家族に障害児がいます from N.Y.】過去記事一覧

【過去記事一覧へ】家族に障害児がいます from N.Y.

記事の更新情報をお届けしています。ぜひフォーローください。


facebookはこちらから。

タイトルとURLをコピーしました