世も末。 40平方メートル住戸への住宅減税の異常さ。

なんと住宅ローン減税の対象が50㎡以上から40㎡以上に引き下げられるとのこと。

政府・与党が2021年度税制改正で検討する住宅ローン減税の見直しの全容が判明した。13年間の控除が受けられる特例は入居期限を22年末まで延長する。対象物件の面積要件も緩和し、戸建て・マンションとも床面積50平方メートル以上から40平方メートル以上に広げる。50平方メートル未満の場合は1千万円の所得制限を設ける。
住宅ローン減税、「40平方メートル以上」に対象拡大案 政府・与党 - 日本経済新聞
2021年度税制改正の焦点である住宅ローン減税の見直しをめぐり、減税対象となる物件の面積要件の緩和案が浮上した。政府・与党で議論し、結論が得られれば今年12月にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。現在は戸建て、マンションを問わず床面積50平方メートル以上が要件。これを40平方メートル以上に対象を広げる案を軸に検討する。...

「おどれら正気か?!」と小林よしのり氏ならずとも叫んでしまいました。

景気対策としての趣旨を理解しないわけではないのですが、
それにしても40㎡ですよ。集合住宅のワンルームとしても広い方とは言えません。
しかも1000万円以下の年収制限対象とは言え、逆に言えば990万円年収の人もそんなワンルームに生活することを想定しているというわけです。
もちろん私とて、現実的に多くのサラリーマンが特に単身世帯の方など現実的に多くの人が40㎡の部屋に住んでいるとことは知っています。

でもそれを政府が追認してしまうとは、世も末としか言いようがありません。

かつて高度成長期に「ウサギ小屋」とバカにされた日本の住居環境。
「犬小屋」でさえなくて「ウサギ小屋」ですからね。ひどいモノです。

(写真:AC)

でも、残念ながらそんな狭い居住空間がなぜか高度成長期から50年たっても大して改善されていないんですよね。
現実には。

私は、日本が大好きですし日本が世界で一番素晴らしい生活環境の国と考えています。
「食」に代表される様々な生活文化の豊かさ、清潔さ、親切さ、安全さ、便利さ、何をとっても日本は確かに世界のどこにも負けません。

だだっ広い家は確かに必要ありませんが、それでも100㎡程度の広さがそれなりの生活のためにはミニマムだと考えています。
まして、クローゼットを十分にとり、この時代絶対各家庭に1部屋あっても良いホームシアタールームなどを考えれば、200㎡欲しいです。
ホームシアターを持ちたい
外国のお金持ちの邸宅を見ていると、必ずホームシアタールームがありますね。 所詮、日本の金持ちと外国の金持ちではケタ違いの感があり、階層社会もあるし税制の違いもあるでしょうけれど、やはり日本人の生活は総じて質素をもって良しという部分...

と言いながら、現実の集合住宅の面積で200㎡など超例外的な高級物件でしか供給がありませんし。あってもその一部の部屋です。
もっと言えば100㎡以上でさえ、多くはないというのが日本の集合住宅の現実です。

首都圏ではバブル崩壊後一時は微増した新築マンションの平均専有面積が、最近またどんどん狭くなっています。
60㎡台でどんどん狭くなっていて50㎡台以下も普通の広さとなりつつあります。
専有面積の縮小続く新築マンション、中央値と平均値の差は2平方メートル以上に - BCN+R
不動産経済研究所は8月15日に、首都圏1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の新築分譲マンションの1戸あたりの価格、専有面積の中央値を集計し、それぞれ平均値と比較した結果を発表した。

不動産価格の高騰もあり、最近の新築マンションではサラリーマン世帯が買える面積に抑えるために無理やり部屋を狭くした、”ナゾ間取り”も激増しているのが実態です。

良く「日本は国土が狭いから」ということがこの事象の原因として語られ、このコメントが出た瞬間に誰も何も考えない思考停止状態になりますが、地方にちょっと出れば日本は無茶苦茶広いですよ。いや別に地方に行かなくても、関東圏でもちょっと外れれば住宅用地など腐るほど余っていますし、過疎地では住んでくれれば土地は提供しますという自治体さえあります。

要は用地の問題ではなくて、まさに都市政策の無策の問題なわけです。

それにしても40㎡台のマンションを政府が追認するような政策はヒドイ、ひどすぎる。

コロナもありますし、日本はこんな哀しい住環境のまま貧しくなっていくしかないのでしょうか。
900万円台年収の世帯が40㎡に生活する国で良いのでしょうか?

個人的には、ますます国をあてにせず、相当意識的な生き方をしていくしかないと腹を括っていますし200㎡をまったくあきらめてはいませんが、何ともやり切れないニュースとは感じた次第です。

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