頭が良い人の授業、解説は難しいことをバカにも分かりやすく理解させると言いますが、まさにこの本がそうです。
私自身、経済はそこそこ勉強したはずなので、家で下記「はじめに」を読んでやらかしたかな?と思ったのもつかの間、第1章を読んでそんな惹句がまったくの謙遜に過ぎないことを知りました。
経済というものが全くわからず予備知識もほとんどない(ただし読書レベルは高い)読者が、それ1冊を持っていれば、通勤通学などの間に1日あたり数十ページ分の読書をしていくだけで、1週間から10日程度で経済学の大筋をマスターできる、 https://amzn.to/3kLDFDY
いやいやこの本、経済学をかじったものが読んでも、まったく新しい視点を与えてくれる、無茶苦茶に痛快な書籍です。
一方で、海外論壇を見れば、明らかに近年未曾有の「文明論」豊穣期がきています。日本で翻訳されているものだけでも、マクニール、リドレー、ハラリなどあげればキリがない豊穣さです。
(本”たんさんタワー”で「ホモデウス読む」連載をさせていただいてかなり多くの方に読んでいただいています。最近新記事書いてなくてすいません)

原因は色々あると思います。学科ごとの縦割り教育の弊害(いわゆるリベラルアーツの衰退)、他者との競争優位戦略として防御に適した専門領域にタコつぼ化する。などなど。
でも、今この時代こそ、カテゴリーにとらわれない全人類的知見で、文明の転換点としての現代を評価し、少しでも近い未来を構想する必要に迫られている時代はないのではないでしょうか?
まさにそんなフラストレーションに応えてくれる著書が「現代経済学の直観的方法」(講談社刊)なのです。
もちろんテーマは経済学なのですが、経済学の専門家の自家中毒的な視野の狭さから解放された、人類そして日本人の経済というまさに社会的生物としてのホモサピエンス活動を、超俯瞰の視点で、その原理の根本から解説してくれるのです。
勝手な印象では、普段は思索と著述にふけっておられるちょっと仙人のような方なのかな?と勝手にイメージしています。

その圧倒的知性が圧倒的な時間を投入して、数年に一回、その時間から抽出された深い思索の結晶を本にするという。
イヤー。本当に、テレビでペラペラ適当なことを言っている自称専門家や自称権威に爪の垢を飲んでもらいたい。
読んでいただければ分かりますが、非常に平易に書かれていて小難しさは皆無にもかかわらず、その思考の広がりと深さを絶対的に感じさせてくれる知的良心を感じずにはおれない愛すべき本なのです。
そういう意味では、経済学全般について語った本なのですが、特にありがたかったのは、第8章「仮想通貨とブロックチェーン」。文系脳につきなかなか腑に落ちる理解ができなかったブロックチェーンについて、この章だけで目から鱗が落ちるがごとく概念を理解できました。
人生で何度か経験した、例えば私で言えば、クライアントの研究所の上級研究員の方が全くの門外漢にも分かるような形で複雑な技術を解説してくれるような分かりやすさでした。
わずかに、手塚治虫の「火の鳥」などが思い浮かびますが、日本人で語る人が少ないあれです。

久しぶりに、そんな本に出合えてうれしくてたまりません。
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