初めてブロックチェーンを理解できた!「現代経済学の直観的方法」

頭が良い人の授業、解説は難しいことをバカにも分かりやすく理解させると言いますが、まさにこの本がそうです。

私自身、経済はそこそこ勉強したはずなので、家で下記「はじめに」を読んでやらかしたかな?と思ったのもつかの間、第1章を読んでそんな惹句がまったくの謙遜に過ぎないことを知りました。

経済というものが全くわからず予備知識もほとんどない(ただし読書レベルは高い)読者が、それ1冊を持っていれば、通勤通学などの間に1日あたり数十ページ分の読書をしていくだけで、1週間から10日程度で経済学の大筋をマスターできる、
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いやいやこの本、経済学をかじったものが読んでも、まったく新しい視点を与えてくれる、無茶苦茶に痛快な書籍です。

コロナの世情も経験して、私がすごく痛感したのは、日本に「文明論」を語れる人がほとんどいないという衝撃です。高名な大学の先生、政治家、医者、弁護士、ジャーナリスト、みんな賢いはずの人たちが自分の専門分野だけに汲々としていて、歴史や地理、文化、人類史、生物、科学すべてを俯瞰しての考察や言論を提示できる人がほとんどいないのです。
一方で、海外論壇を見れば、明らかに近年未曾有の「文明論」豊穣期がきています。日本で翻訳されているものだけでも、マクニール、リドレー、ハラリなどあげればキリがない豊穣さです。
(本”たんさんタワー”で「ホモデウス読む」連載をさせていただいてかなり多くの方に読んでいただいています。最近新記事書いてなくてすいません)
【第1回】新企画 衝撃の書「ホモデウス」を読む – 人類の歴史はほとんど「飢饉」「疾病」「戦争」との戦いであった。
当サイト「たんさんタワー」を立ち上げて1ヶ月がたちおかげさまで読者の方も少しずつ増えています。 いつも訪問してくださる方、ありがとうございます。 ここで、またまた新企画を立ち上げたいと思います。企画としてきちんと成立させられるかやや...

原因は色々あると思います。学科ごとの縦割り教育の弊害(いわゆるリベラルアーツの衰退)、他者との競争優位戦略として防御に適した専門領域にタコつぼ化する。などなど。
でも、今この時代こそ、カテゴリーにとらわれない全人類的知見で、文明の転換点としての現代を評価し、少しでも近い未来を構想する必要に迫られている時代はないのではないでしょうか?

まさにそんなフラストレーションに応えてくれる著書が「現代経済学の直観的方法」(講談社刊)なのです。

もちろんテーマは経済学なのですが、経済学の専門家の自家中毒的な視野の狭さから解放された、人類そして日本人の経済というまさに社会的生物としてのホモサピエンス活動を、超俯瞰の視点で、その原理の根本から解説してくれるのです。

著者の長沼伸一郎氏は、1987年「物理数学の直感的方法」出版で理系世界に一大センセーションを巻き起こした在野の物理学者ということですので、いわゆる大学の先生とかでらっしゃらないようです。
勝手な印象では、普段は思索と著述にふけっておられるちょっと仙人のような方なのかな?と勝手にイメージしています。
長沼 伸一郎 Shinichiro Naganuma | ブルーバックス
科学をあなたのポケットに。「ブルーバックス」は、子供から大人まで楽しめる、一般向け科学シリーズです。

その圧倒的知性が圧倒的な時間を投入して、数年に一回、その時間から抽出された深い思索の結晶を本にするという。

イヤー。本当に、テレビでペラペラ適当なことを言っている自称専門家や自称権威に爪の垢を飲んでもらいたい。
読んでいただければ分かりますが、非常に平易に書かれていて小難しさは皆無にもかかわらず、その思考の広がりと深さを絶対的に感じさせてくれる知的良心を感じずにはおれない愛すべき本なのです。

そういう意味では、経済学全般について語った本なのですが、特にありがたかったのは、第8章「仮想通貨とブロックチェーン」。文系脳につきなかなか腑に落ちる理解ができなかったブロックチェーンについて、この章だけで目から鱗が落ちるがごとく概念を理解できました。
人生で何度か経験した、例えば私で言えば、クライアントの研究所の上級研究員の方が全くの門外漢にも分かるような形で複雑な技術を解説してくれるような分かりやすさでした。

もちろんブロックチェーンに限らない、物理学者の視点で見る経済学、いやいやそんな狭いものではない気がします、やはり私が考える一番近いものは「文明論」のかおり。
わずかに、手塚治虫の「火の鳥」などが思い浮かびますが、日本人で語る人が少ないあれです。
【第12回】衝撃の書「ホモデウスを読む」 - 手塚治虫「火の鳥」が描く「不死」
二一世紀には、人間は不死を目指して真剣に努力する見込みが高い。老齢や死との戦いは、飢饉や疾病との昔からの戦いを継続し、現代文化の至高の価値観、すなわち人命の重要性を明示するものにすぎない。私たちは人間の命こそこの世界でもっとも神聖なものであ...

久しぶりに、そんな本に出合えてうれしくてたまりません。

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