NTTのドコモ買収で、菅総理ソフバン孫さんへ王手

長年日本株式市場健全性の課題とされてきた親子上場解消という意味では、建前は立っていますよね。
会見では、ドコモの収益性改善、生産性を上げた上での携帯料金値下げという大義名分も語られていました。
(それにしても、ジャイアンっぽいNTTの澤田純社長と、もはやキョドっているかのように小動物的なNTTドコモ吉沢和弘社長の会見絵柄が、あまりにも冷徹な資本の論理感じさせてくれました)

これだけ周到に大義名分の理論武装がされているということは、もちろんかなり綿密に練られたプランということかと思います。
かねて政策銘柄として、民間企業と言いながら国家行政の方針に激しく影響を受けてきた通信業界の本領発揮というところですかね、総務大臣経験があり通信行政に強い影響力をもつという菅さんが総理大臣になって早速の発表というところも、もはや半沢直樹状態です。
それにしても、親子上場と言えばソフトバンク。かねて菅さんと孫さんには確執も言われていますから、さしずめ菅さんの孫さんに対する王手飛車といったところでしょうか。
菅義偉首相「孫正義潰し」の一手は「側近官僚を公取委員長に」 - Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]

それにしてもちょっと可哀想なのは、駒とされたNTTドコモ社員ですよね。
NTTの前身電信電話公社民営化の1990年直後の1991年には「エヌ・ティ・ティ・移動通信企画株式会社」として独立し、1998年には一部上場していたわけですから、30年経っての再度合体ですが、そもそも独立心の強い社風で知られてきました。

(写真:AC)

やはり携帯電話というコンシュマー向けのサービスですからね、本体のいまだに半官半民感の高いインフラ企業たるNTTと社風が一味も二味も違います。

私も色々な企業を見てきましたが、社員にとってどんな大きな組織体でも子会社という立場には悲哀がつきものです。
特に、役職が上がるにつれその哀しさを思い知らざるを得ないはずです。結局親会社が最後に肝心な意思決定や人事を決めてしまうやるせなさ。私個人は親しい人にはどんな大企業でも子会社には絶対就職をすすめません。
すでにNTTドコモにはプロパー入社の社員さんがほとんどでしょうから、今後は進駐軍の圧倒的権力に「こんなはずではなかった」と感じる瞬間が多くなるに違いありません。特にNTTとい組織が電電公社以来の官僚感の高い組織、つまりキャリア組的存在のエリートが絶対権力を握る文化だけに、比較的今どきの一般的企業のフラット感があったドコモとしての”平和な南の島”文化は終わらざるを得ないのではないでしょうか。

こんな話も他人事の間は生暖かく見ていられるのですが、いざ自分の身の回りで起きれば大騒ぎです。
これからも、テレビを中心とする電波行政の世界など、まだまだ各所で大きな変化が起きる、起きざるを得ない前触れに過ぎないように感じますので、誰もが社会の変化にそれなりの覚悟が必要であるようには思います。

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