「日本の貧しくなり方」 KITON輸入のリデア倒産に思う

また志の高いインポーターさんが潰れてしまったようですね。

 リデアは1990年設立。「ストラスブルゴ」は東京、大阪のほか京都、福岡など主要都市を中心に16店舗(アウトレット含む、10月末時点)を構える。また、伊ナポリ発のテーラリングブランド「キートン(KITON)」や伊ニットブランド「クルチアーニ(CRUCIANI)」、英紳士靴「エドワードグリーン(EDWARD GREEN)」、クラシコイタリアの「ラルディーニ(LARDINI)」などを輸入販売している。近年は出店戦略と海外子会社への投資、過剰な仕入れなどにより収益が悪化していた。2019年1月期の売上高は85億円。新型コロナウイルスによる追い打ちで自力での再建が困難となったことから、民事再生手続きの開始を決めた。
「ストラスブルゴ」のリデアが民事再生法申請 ワールドと八木通商が支援に名乗り - WWDJAPAN
セレクトショップの「ストラスブルゴ(STRASBRUGO)」を主幹事業とするリデア(東京都港区、石原秀樹社長)は11月17日、民事再生手続きに入った。負債総額は46億円。同日、ワールドと日本政策投資銀行が共同出資するアパレル専門の投資会社W&Dインベストメントデザイン(以下、W&DID)と八木通商は、が同社とのスポンサ...

セレクトショップの「ストラスブルゴ」と言えば、東京でいえば六本木東京ミッドタウンとか銀座東急プラザとかに出店しいますよね。
「キートン(KITON)」「クルチアーニ(CRUCIANI)」の路面店も出店していました。
「ラルディーニ(LARDINI)」などは比較的リーズナブルな値段帯で、すごくヒットしている感じがしましたので少々意外でした。(ラペルにフェルトの花のラペルピンを目にした方も多いのではないでしょうか)

フルオーダーでない既製服としては恐らく自他ともに認める世界最高峰のイタリアナポリスタイルの「キートン(KITON)」

(写真:KITONホームページ)

私も数少なく所有していますが、とにかく圧倒的な生地の良さ。寿司屋の格はマグロの仕入れレベルで決まると言いますが、まさに比類ない素材以外使わない凄みがあります。縫製もハンド工程を多用した丁寧極まるもので、ナポリのサルトリア(仕立て屋)らしい柔らかさを残しつつ、とかく日本人が違和感を持ちがちなディテールの粗さのようなものが一切なく、これまた非の打ちどころがない完璧な縫製です。
着てみても素材、縫製の良さも相まって独特の包まれるような素晴らしさがあり、流石と確かに違いを実感できる別格さです。
着映えするところがまた傑出していまして、独特の上品さを表現したラペルから肩のラインで、知る人が見ればすぐに「あ、KITONだ」と惚れ惚れしてしまいます。
ただしお値段は、ゼニアやブリオーニなどと比べてもお高く、下手をすればスーツで50万円~100万円はします。

「クルチアーニ(CRUCIANI)」も、イタリアンニット専門の最高峰。カシミア始めもちろん最高の素材。カシミアと一口に言っても、そのレベルは雲泥の差があることはご存知ん通りです。そのピンの方の素材です。何より、素晴らしい発色。ビビッドな色を最高に上品に表現できるのはこのブランド最高の魅力です。デザインに古臭さがないのもニットブランドとしては希少です。
Cruciani(クルチアーニ)について|STRASBURGO
Cruciani(クルチアーニ)のブランドストーリーページです。デザイナーや職人の想いやストーリー、ブランドの歴史や背景、コレクションについてご紹介します。

それにしても、非常にデリケートな製品ばかりですから、こんなニットを日常遣いする人こそが、本当のオシャレだと思いますが、この日本に何人ぐらいそんな人が存在するんだろうと心配になるほどの雲上さです。マチャアキぐらいでしょうか、リアルに着てそうな人を想像すると。
そんな素晴らしいインポーターが潰れてしまったのですね。
ワールドさんとか八木通商さんが事業とお店は引き継いでくださるそうですから、すぐに製品が手に入らなくなるわけではないでしょうが。
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やはりこの数十年のファッション業界の動向を振り返ると、セレクトショップさんの存在感が大きいですよね。
日本にはまだまだ紹介されていなかった、ヨーロッパの素敵なプロダクトがたくさんあります。それをビームスさんやユナイッテドアローズさんなどがガンガン紹介してくれたことで、本当に日本でも良いモノを手に入れやすくなりました。(ちょっと現地での値段を知ってしまうと高すぎると感じてしまう部分はありますが)
【SankeiBiz掲載】「店はステージ」ビームス社長に聞く アパレル逆境の時代にも輝き続ける秘密
SankeiBizで連載させていただいている「ブランドウオッチング」。 今回ビームスの設楽洋(したらよう)社長にインタビューさせていただきました。 裏原の小さなお店からスタートしたビームス40数年の歴史はまさに原宿・渋谷がファッショ...

今回のリデアさんの経営破綻は創業者の方が急逝してしまったということが直接の引き金ですが、やはり新型コロナの影響やライフスタイル変化でのスーツを中心とする重衣料の低迷もあったのかなとは思ってしまいます。

それにしてもこれは大塚家具さんの低迷にも感じるのですが、やはり日本の経済力というのはJapan as No1の時代に昭和最末期に達しながら、低迷の30年を経て、もはやかつての勢いはなく、しかもこれから数十年で人口半減社会も確定していて残念ながら貧しくなっていくことは避けられそうにありません。
やはり最高級品の世界からダメになっていくのかなとは思います。
特に家具ですが、日本ではお金持ちでも最高級の本格家具を買う層はもともと非常に少なく、日本に紹介されている家具などほんのわずかで手に入らないモノがたくさんあります。この上お洋服まで、なかなか良いモノが買えなくなるのかもしれないなという悪い予感をリデアさんの破綻のニュースから感じてしまったのでした。

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