【第34回 家族に障害児がいます from N.Y.】生き物に興味がない

私は小さい頃から動物が好きだった。ついでに子供の頃は虫も気になる存在で、捕まえてみたりジッと観察してみたりするような子供だった。大人になった今は虫が苦手になってしまったけれど、動物は大好き。何なら人間よりも好きかも、、っていうレベル。ちなみにうちの旦那様も動物が大好きなタイプ。そんな私達の間に生まれてくる子供ももちろん大の動物好きに育つだろうなんて勝手に妄想していたけれど、息子は動物大好きどころか興味、感心が全く無いタイプだった。興味がないというより視界に入っていないといった方が良いレベルだったかもしれない。

息子がまだ1歳になったばかりの頃に同年齢の男の子のいる仲良し一家と一緒に、サンディエゴにある動物園へ行ったことがあった。動物園かぁ、どうだろう?とは思っていた。何しろそれまでに絵本でも写真でも、何か動物に凄く感心を示しているような様子は見たことがなかったので喜ぶかどうか全く分からなかった。でもほとんどのお子様達は動物に興味津々。絵本の中の住人が目の前で動いている姿を見て興奮したりすることでしょう。ならば我が子も!と勇んで動物園の入口のゲートをくぐった我が一家。私も久しぶりの動物園にワクワク。しかも子供連れで動物園だなんて、これまた絵に描いたような微笑ましい光景。どうやらパンダもいるらしい。入園して直ぐにパンダを発見!パンダを指さしながら息子にアピール。「ほら、あそこにパンダさんがいるよー」息子「、、、、。」私の指し示す方をチラッとも見ない。自分の親指をしゃぶることに夢中だ。お友達家族の息子君はライオンを見つけて大興奮!「ライオン、ライオン!」とライオンを指さしながら家族にアピール。これがまさに私が求めていた正しい幼児の動物を見た時の反応!動物を発見しながら目を見開いて興奮しているのが伝わってくる。あぁ、絵本や図鑑、そして動画の中で見たことのある動物たちの生きた姿を見ることって刺激的なんだろうなぁ~って他所の子供たちの反応を見てしみじみ感じる。そして私の腕の中で夢中になって指しゃぶりを続行している我が子。「ほらほら、あれを見てごらん!」と色んな所で動物の姿を見つけては指し示し、興味を促すけれど無関心。ジャガーが彼の背後に佇んでいても(柵越しだけど)無反応。興味が無いというよりも存在に気付いていない感じ。もうこの頃から他の子供たちとは反応が違い過ぎて不穏。結局園内を徘徊しただけで手応えなく帰宅。でもまだ1歳。しかしその後、7,8歳の頃に動物園に何回か行ったけれど動物に全く関心を示さず、園内を爆走する息子を後ろから走って追いかける事態が繰り広げられる。唯一彼が関心を示したのは何故か鴨。鴨、、、動物園に行かなくてもその辺の川にも浮かんでいるけれど、、、とは思ったけれど、まぁ足を止め、ジッと鴨を見つめながら佇む姿を見て「ジッとしてくれているだけ良しとしよう」と思う。近くでアルパカやら羊やらに餌付け出来るコーナーがあったので、興味を示すかと思って声をかけてみるけれど無関心。動物園でなくても、目の前に鳩がいたり、リスが横切っていったりしても全く目をくれることもなく、存在に気付いていない様子が何年間も続いた。犬が喜んで飛び掛かってきても、その存在に気付いていないから飛びつかれてよろめいていたりすることもあった。そんな状態が続いて数年後、急に鳩の存在に気付き始め、最初の頃は1羽でも目の前にいたら叫び声をあげていた。そしてそこからしばらく経ったら鳩の存在に怯えることは無くなっていたけれど、今度は犬の存在に気付いて恐れるようになった。それは現在まで続いていて、息子から犬に近づくことは決してないけれど、犬からはやたらと吠えられる少年に成長。やはり犬は人の心が読めるらしい。犬が苦手だということを読まれている。まだ犬に噛まれたことがないから幸いだけど、これな状態でそんな事件が起きたら一生もののトラウマになってしまうだろう。

そんな生き物全般に関心が向かない息子だったけれど、ある日アパートのビルの窓際に佇むバッタの存在に気付いた。最初に気付いたのは私だったけれど。試しにバッタを指さしながら息子に声を掛けてみた。すると急にバッタに近づきマジマジと眺め、おもむろにバッタを摘まみ上げた。ビックリ!

Kurt BoudaによるPixabayからの画像

あんなに何も目に映っていないと思っていた息子がバッタに興味をもったのか?と驚きが止まらなかった。多分、学校や動画などでバッタという単語を知ったことで言葉と存在がリンクして気になったのだと思う。うちの子は食べ物に関しても、その名前を知ることで受け入れられるようになる部分があるので、虫に関しても同じような反応だったのだろう。単純に息子の閉ざされた世界観が少しだけ開かれた気になって私は小躍りした。そしてその後も何度か外でバッタを見かけて捕まえようとすることがあった。そのたびに私は微笑んだものだ。そんなことがあってからしばらく経ち、ある日、息子が指で何かを摘まみながら食卓に座っていた。何だろう?なんか虫?え?と思った私は恐る恐るその息子の指に挟まれている物体の正体を確かめるために近づいてみた。そしてそこで私が見たのはこの世で一番恐れている最恐の虫、ゴキブリだった!もう思いっきり叫びましたよ。本当に。本当に恐怖。これが本当の地獄絵図。そんな私の叫び声に耳をふさぐ息子。そして息子の耳元で足を摘ままれていて逃れられないゴキブリが悶える。更に私の悲鳴のオクターブは上がる。その叫び声で駆け付けた旦那によってゴキブリは処分されたけれど、本当に怖かった。そんな事件がもう一度起き、私は息子を「生け捕り名人」と命名した。しかしあんなに素早く動く虫を2回もどうやって生け捕りにしたのか不思議。現場を見ていないから分からないけれど、絶対に見たくないから今後二度と、我が家の生け捕り名人が活躍することが無いことを祈るばかり。

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