【第25回 家族に障害児がいます from N.Y.】コミュニケーション用アプリ  LAMP Words for Life

以前にオキシトシン投与の臨床調査でお世話になった、小児精神科医の先生からも勧められていたアプリで、非言語的自閉症の人へのコミュニケーション方法の手助けとなる物の一つとしてLAMPという物がある。これは簡単に言うと絵カードがアプリになって、iPadを使用して使えるというものである。各アイコンをタップして文章を作ることも出来、更にその文章をタップすると文章を音声表示してくれるという優れものである。現在、うちの息子はこのLAMPを利用して私達に自分の言いたい事を少しではあるが伝えられるようになってきた。以前のPECS BOOkと違ってiPadを利用しているので、持ち運びに便利であるという点が非常に優れているし音声が出るとう点も素晴らしいと感じている。うちの子の場合、アプリの中のアイコンを見ながらそれぞれの単語を学んでいるようでもある。この素晴らしいアプリの利用を開始したのは息子が7,8歳の頃だったと思う。まずは学校で息子を担当してくれているスピーチの先生にもう一段階上のコミュニケーション方法として、ディバイスを使用した方法を試してみたいと相談してみた。するとスピーチも私の意見に賛同してくれ、直ぐにNY市のDOE(教育省)へ問い合わせしてくれた。すると早速、我が子にどのコミュニケーション用のどの機器が最適かを見極める評価をする為に、DOEから派遣された担当者達と面接をすることとなった。学校でDOEの担当者達と息子のスピーチセラピストを交えて息子のコミュニケーションレベルに関する聞き取り調査があり、そして実際に息子本人に会って数種類の機器から最適な物を選び出すことが行われた。その結果、私が願っていた通りiPadを利用したアプリ、LAMPを使用してのコミュケーションの訓練が行われることに決まった。iPadもそこにインストールされたLAMPのアプリも全てNY市から貸与されることとなり、その後はこのiPadを学校と家の双方で利用することとなる。学校と自宅とで出来るだけ足並みを揃えて行くことが、息子にコミュケーションの方法と必要性を教えて行く大事なことだと思う。
伝えることの幅を広げる

Monoar Rahman RonyによるPixabayからの画像

アプリを利用して良かったことは、選べる単語の数が絵カードに比べたら圧倒的に増えたことと、持ち運びが簡単に出来るので色んな場所で使用出来ることになったことだ。ただし始めの頃はこちらからiPadを差し出して使用を促さないといけない状態ではあった。それをしつこいくらい色んな場面でiPadを取り出し、利用するように促すことで現在では自分でiPadに伝えたい単語をタイピングしたりするようになった。最初は画面にあるアイコンを触って単語を表示させていたけれど、どんどんと単語を覚えていくようになったら自分で単語の羅列をタイピングするようになった。そうなるともっと伝えたいことの幅が広がって行く。基本的には会話という感じで利用されることはなく、彼から伝えたい事を知らせるために利用していることが大半だ。それでも以前のように、一体何を訴えたいのか分からず互いにストレスを溜める場面が減るのはどう考えても良い事だ。何が食べたいのか、何をしたいのか、何を欲しているのかが分かるだけでも随分と生活の質が良くなる。無駄なストレスは発生させないことが何よりも必要。困っているのに伝え方も分からず、常に癇癪を起していた息子の癇癪量は減った。減ったけど無くなった訳ではない。まだまだ乗り越えなければいけないハードルの高さも量も計り知れないのだ。だけれども何事も一気に解決されることはないと思う。地味な努力と行動が次のステップに続くのだ。そしてそれだけが希望につながるのだなぁ、、、としみじみとした気持ちになる。長い長い道のり。その道のりの先に希望があるのか失望があるのか、それはまだ誰にも分からない。

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