やっぱり借金は借金。コロナ対策で国・自治体も企業も借金漬けの暗い未来。

子供に勉強を教えていたら、公民の部分で国の予算内訳の表が出ていました。

<財務省>

2020年度の時点で、国債費つまり国債を償還するための費用が22.7%ですからね。新型コロナで大判振る舞いをした2021年度以降は飛躍的にこの比率が上がることは間違いありません。

地方自治体でもすでに影響が出始めています。

「非常に厳しいなという認識……」

大阪府の吉村洋文知事は2月18日、2021年度の当初予算案発表に合わせた記者会見で、府の財政状況について率直にこう語った。

一般会計の当初予算案は3兆5千億円と過去最大となった。20年度予算からの増加分8700億円の多くが、経営悪化の中小企業支援やワクチン接種、病床の確保などに充てられ、「ほとんどコロナシフトの予算」(吉村知事)だ。

一方で、税収は1兆2千億円と20年度より1割ほど減少。新型コロナの影響で、企業の業績が落ち込み、長らく地域経済を支えてきたインバウンド(訪日外国人客)の足が遠のいた。

府は、足りない財源を地方交付税の増額や“借金”となる府債の発行で補う。府債は約4千億円で、そのうち国の「赤字国債」にあたる「臨時財政対策債(赤字地方債)」を2800億円発行。自治体の“貯金”に相当する「財政調整基金」も使わざるを得ない。積み立てていた1400億円のうち、900億円を取り崩すという。

神奈川県の黒岩祐治知事も「大量の県債発行という借金に頼らざるを得ない厳しい財政状況。本当に情け容赦なく、他の事業をばっさばっさと切っていった」と語った。

都道府県にとって、お金をつぎ込まなければならない事業は多岐にわたる。社会保障費や少子化対策に配慮しなければならないし、環境対策やデジタル化の整備なども大切だ。そこにきて、新型コロナ対応が追い打ちをかけ、大きな負担となっている。
赤字自治体をチェック! 将来にわたり“借金重い”のは兵庫、北海道、新潟 | AERA dot. (アエラドット)
超高齢化時代を迎え、いろんな事業で経費がふくらむ地方財政。新型コロナウイルスの対応でさらにお金が必要になるなか、自分の住む地域の“懐事情”はどうなのか。総務省の財政データをもとに、都道府県をランキ…

要は借金は借金。カネがなければ使えないということに尽きます。

近年不思議な論調は、MMTなど国はいくら借金しても問題ないということを真面目に信じる人が増えていることです。
彼らの主張の根拠は、日本のように自国通貨の発行権をもっている国は借金してもお金を刷ってしまえばいつでも返せるんだから問題ないというような話です。もう一つは、元財務官僚の高橋洋一氏などが良くおっしゃっている、日本には借金以上の、財務省が隠している資産があるのだからまったく問題ないというような論調です。

最近、「MMT(現代貨幣理論)」という新しい経済理論が内外で話題になっている。

MMTとは、簡単にいえば、「自国通貨建てで政府債務を拡大させれば、物理的な生産力の上限まで経済を拡大させることができる」という考え方である。つまり、MMTは「自国通貨建てで財政赤字を拡大させれば政府は簡単に経済の長期停滞から脱出できる」と主張して世間の注目を集めているのである。

当然のように、主流の経済学者のほとんどがMMTを強く批判している。特に、ブランシャール、クルーグマン、ロゴフ、サマーズといった主流派経済学の重鎮たちは、執拗にMMT批判を展開している。
話題の「MMT」がトンデモ経済理論と言えないこれだけの理由(安達 誠司) @moneygendai
最近、「MMT(現代貨幣理論)」という新しい経済理論が内外で話題になっている。

ということで、百歩譲って通貨発行権のある国は借金をチャラにできるとして、自治体や企業はそうもいきませんよね。

ほらすでに地方自治体では苦しいところがたくさん出ているじゃないですか。黒岩知事の「本当に情け容赦なく、他の事業をばっさばっさと切っていった」という言葉は、すぐに我々の日常生活に跳ね返ってくる現実ですからね。大阪府や神奈川県がこの調子でもっと苦しい自治体の運営はどうなることやら。

というか、私は仕事がら自治体さんの広報活動に関わることもありますが、今までもまあお金がない。わずかな費用を拝んででも値切り倒す地方公務員の結構お偉い方の姿に、切なさを禁じえない経験を結構しました。
この先どうなってしまうのでしょうか。
MMT論者は、なぜ国が借金かお金を刷って、自治体にお金をバラまけと言わないのでしょうかね。

心配なのは企業もです。今は無利子の緊急融資でしのいでいるところも多いのでしょうけれど、企業に対する借金をチャラにしてくれる金融機関はないでしょうからね。
バブル崩壊以降、なぜ日本が失われた30年に陥ったかという理由にはいくつも理由があるでしょうけれども、一部企業セクターのバランスシートが傷んで、借金返済の足かせで投資余力がなかったということは少なくとも大きな要因だったはずです。
【アゴラ掲載】コロナ234兆円で買えたはずの、日本の未来
本日アゴラに掲載いただきました。 コロナで日本人はそうそう死にません。ここ1週間での死者数は全国でも36名です。 36名でもかけがえのない人の命ではあるのですが、ほとんどが基礎疾患もちの高齢者であることを考えるとやはり冷...

やはり、返済を迫られる借金は自治体であろうが、企業であろうが真綿で首を絞めるように効いてしまうと思わざるを得ません。

幸い新型コロナは日本人にとってはインフルエンザ程度か以下のウイルスであることがハッキリしたわけです。でも、今後さらに致命的なウイルス流行は絶対どこかでくるわけで、目先の弱毒性ウイルスに全ツッパせずに、次の危機に向け社会の体力を温存する視点も極めて重要ではないかとずーと考えています。(今までのところ、世論にも政府も自治体にもそんな論調が皆無で、ずーとガッカリもさせられていますが。)

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