今年はクリスマスケーキがバカ売れした!? 等身大消費のある到達点の風景

まったくの体感値、主観ではあるのですが、マーケティング産業の末席に関わるものとして色々な業態の小売り現場やレストランなどを定点観測してはきました。今年のクリスマス時期、特に24日のクリスマスイブの日に街をうろついていて「オッ!?」と思ったのが、クリスマスケーキの売れ行きです。

もちろんイブですから例年もクリスマスケーキががっつり売られ買われる日であるのは当たり前なのでしょうが、今年は明らかに列が長く夕方前には売り切れのお店も続出していました。

RitaEによるPixabayからの画像

最近は「忘年会スルー」という言葉も盛んに聞かれますが、生活者の自宅志向、家飲み志向は本物だなと感じてました。

バブル期、クリスマスと言えば恋人たちは高級ディナーに高級ホテル、ティファニーのプレゼントと思いっきり背伸びをしなければ相手をないがしろにしていると非難された時代もあったとのことですから、長い時間をかけながら等身大消費の気分に収束してきた長期トレンドのある到達点と感じました。きっと今の恋人たちも、せいぜい自宅のアパートでスプマンテとチキン、ケーキでささやかなクリスマスイブを過ごしたのではないかと思います。

消費が等身大志向を究める理由は色々あると思います。

まず第一にバブルがはじけジャパンアズナンバーワン、日本も日本人もまだまだ豊かになるぞという幻想が吹っ飛んで以降、なんだかんだと経済的な閉塞感や超高齢化社会に突き進む将来不安から、通常モード倹約志向の度合いが年々増していると感じます。

そしてコンビニが国の隅々まで展開され、そこで売られる商品が年々超絶進化していますので、家で外食同然、コストパフォーマンスを考えれば外食を超える満足、体験を得られるようになったことも大きいかなと思います。わざわざ外出するのは面倒、家でいいじゃん。と何の我慢もなく感じてしまいます。

そして最後に、高額な外食やショッピングそれは素晴らしい非日常体験だろうけれども、キリもないし、あとでクレジットカードの請求書がくるだけ。別に背伸びしなくても満足感は変わらないという気分。日本人が消費行動において、ある意味子供じみていたかもしれない「浪費は素敵だ」の時代を卒業したのだとも思います。
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そういう意味では等身大でみんなが良しとしている現代日本人生活スタイルの知恵。悪くもないかなと感じる今日この頃なのです。
心なしかクリスマスケーキを買う列に並ぶ人々の顔もおだやかに感じたのでした。

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