【第18回 】衝撃の書「ホモデウスを読む」 – 盛り上がった飲み会の二次会に行かない理由

石器時代の人は、一日当たりおよそ四000キロカロリーのエネルギーを利用した。これは食物として摂取するエネルギーだけではなく、道具や衣服、美術品、焚火に使うエネルギーも含んでいた。一方、今日の平均的なアメリカ人は、自分の胃袋ばかりではなく自動車、コンピューター、冷蔵庫、テレビなどのために、毎日二十二万八000キロカロリーを消費する。つまり平均的なアメリカ人は、石器時代の平均的な狩猟採集民の六十倍近いエネルギーを使っているわけだ。だが、平均的なアメリカ人は六十倍も幸せだろうか?そのようなバラ色の見方は疑ってかかって当然だろう。
(中略)
日本では、史上屈指の急速な景気拡大が見られた一九五八年から一九八七にかけて、平均実質所得は五倍に増えた。これほど豊かになり、日本人の生活様式と社会的関係に、良くも悪くもさまざまな変化があったにもかかわらず、日本人の主観的な幸福度には驚くほどわずかな影響しか出なかった。一九九〇年代の日本人は、五〇年代の日本人と同じぐらい満足していた(あるいは、不満だった)のだ。
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(Kindle の位置No.694-703). 河出書房新社. Kindle 版.
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「ホモデウス」でも強調されているように、やはり幸福追求というテーマが人生や人間を考える上で優先順位が極めて高いですから、まだまだこだわっていきたいと思います。何せ上記引用にもあるように、幸福の実現は言うほど簡単なことではないのですから。
今回は前回に引き続き、幸福追求の手段としてあらゆる選択肢を持っている富豪を観察することで幸福追求の最適解近似値を探ろうと、ホモデウスの熱心な読者でもあるビル・ゲイツを取り上げようと思ったのですが、それは次回にさせてください。

というのが、先日クルマで移動中FM東京「Blue Ocean」を何気なく聴きながら走っていると、「サロンド慎太郎」のコーナー。
あまり存じあげなかったのですが、銀座のいわゆるきっと「オネェ」系のママ?でらっしゃるのではないかと思います。
(ちょっとネットで検索しました。お友達の春駒さんにはお会いしたことがありますが、強烈なインパクトがある方です。「クセが強い!」?)
サロンド慎太郎ホームページ
ならではの、なかなか興味深いお話(別に”ホモ”デウスつながりというわけではないですよ。。。)

(サロンド慎太郎ホームページより、右端慎太郎ママ、左から二人目春駒ママ)

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盛り上がった飲み会の二次会には行かない。

何せ銀座のママ、しかも並みのママではないわけですからなかなかハッとさせられるものがあります。
「盛り上がった飲み会の二次会には行かない。」
なぜなのか。要は「盛り上がるとうれしい・楽しい」それを長引かせようとして二次会に行く、また楽しければ同じことの繰り返して三次会、四次会となりあげく朝帰りのまさに沢尻エリカ様症候群です。
しかも誰もが経験することですが、往々盛り上がった1次会を超える満足感は得られず、結構ダレてしんどくなり始める。幸せの青い鳥のごとく「あれあの多幸感はどこへ?」と不安になるものだから、なおさら「次行こう!」などとやってしまったりする。あげく、翌日二日酔いで体も頭もダメダメになりますし、その手前でケンカしたり事故にあったりシャレにならないことにもなるわけです。

慎太郎ママは「幸せにすがらない」という言い方をしていました。人は幸せを感じてもその感覚は長続きしない生き物なのだから、それを悟って盛り上がった飲み会ならばそれで満足して「あー良かったね。おやすみ」と寝てしまえとおっしゃってました。逆に「不幸せ」もどうせ長続きしないのだから「おーくやしい。おやすみ」と寝てしまえと。さすが銀座のママ。有り体だけど分かりやすく入ってくる言葉だなと感じました。

確かに飲み会で言えば、客観的にお酒を同じメンバーで飲んでいる行為は一次会も四次会も変わりません。なのに主観は個々にユラユラしている。二次会あたりで「あーもう疲れた帰りてェ」の人もいれば、「この盛り上がりが終わるのが怖い。もう1軒付き合って」の人もいる。でも後者の人とて三次会、四次会、朝まで飲んでもいずれは宴は終わる。朝帰りの朝の気分、「あートコトン飲んだぞ、余は満足じゃ。」というよりも、トボトボぼろぼろの体と財布を引きずりながら、敗残兵のように酒と汗で酸えた洋服を着たままベッドに転がり込む、もしくはそのまま出社の悪夢が関の山ではないでしょうか。そんなパターンはまさに慎太郎ママ言うところの「幸せな気分にすがって」しまったということになるのではないかと思います。
(それにしても、二次会、三次会でお店に来て欲しい銀座のママのコメントとして考えると、なおさら面白い)

「幸せな気分」に「すがりつく」人間のせつなさ

「すがる」という言葉が面白いですよね。我々は不幸せな気分を恐れますし耐えがたい。常に幸せな気分でいたくていたくてしょうがない。まるで赤ちゃんが泣きながらお母さんの乳房にしがみつくような感じで「幸せな気分」にすがりつきます。何度も引き合いに出して申し訳ないですけれども、沢尻エリカさんがちょっと親が見れば目をむくようなオシャレをして朝帰りをする姿は典型的なティーンエージャー症候群に見えます。なぜティーンエージャーの多くは一度はダレも彼もがそんな羽目をはずしたがるのか。それは単純に体力がありあまっていることもありますが、まだ「幸せな気分」にすがって逆に打ちのめされた経験が少ないからだとも思います。
個人差があるとはいえ大人になれば、誰でもどんなに飲み続けようが騒ぎ続けようが、その多幸感やハッピーな気分は長続きしない、むしろしっぺ返しに合うことを体で思い知らされます。
まして、薬物の力を借りてまでハッピーな気分を長続きさせようなどとすればいかに痛痛しい結末になるかは目に見えています。

クリスマスやディズニーにさえ

実は異論もあるでしょうが、私個人はクリスマスやディズニーにさえ「ハッピーな気分にすがりたい症候群」に犯された人間の哀しさを感じてしまう部分があります。もちろんクリスマスやディズニーは飲んだり騒いだりよりははるかに健全な手段ですし副作用もないですから素晴らしいし、私だってどちらかと言えば好きです。
でも、年々ハロウィンまで大騒ぎして、それが終わり次第クリスマスに11月から流れ込む。キラキラとした飾りつけや温かいイメージに囲まれていなければなにかモノ寂しく、不幸せな気分が忍び寄る気がして落ち着かない。

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像
ディズニーランドにいる1日は幸せだ。夢の国にはハッピーが満ちている。帰りたくないよお父さん。
とみんなから言われ続けると、その心理のどこかに「非日常性」に「幸せのタネ」を見つけにいかなければどうしてもやりきれない我々の性分が影響しているように思えてならないのです。

どう悟るか

でももう一つ思うのは、確かに生きる知恵として、「幸せ」や「不幸せ」な気分と適度に距離をもち、上手くコントロールすることが良さそうだけど、人の教訓を自分の教訓として賢く生きれるものかな?とは思います。だって慎太郎ママだって、トランスジェンダーとして、銀座のママとして色々あってその境地にたどりついたのだろうし、前にも触れましたがお釈迦様自体が酒池肉林の反省から悟りを開いたわけです。私自身がそうなのですが、所詮自分が失敗もして身に染みたことしか悟ることはなかなかできません。慎太郎ママの言葉がスッと身に染みるのは、色々やらかした実感や共感がベースにある部分かあるからです。
宗教などでは、もう少しショートカットして自分で痛い思いをする前にめんどくさい人間の性分をやり過ごす術を教えてくれたりもするのでしょうが、「ホモデウス」の読者になるような人は、少なくとも自分で考え体験して納得したい人が多いのかもしれません。

もちろん今回慎太郎ママの一言をきっかけにスポットをあてた「会食」や「飲み会」は我々の生活のごく一断面に過ぎませんし、人生はそんな時間を中心に構成されてはいません。とはいえ交流や飲食を通して「楽しさ」や「幸福感」を満喫するそんな瞬間でさえ、当たり前には100%のハッピーを達成するのが難しいのもまた人間の面倒なところだと言えると思います。

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