そもそもレジ袋の有料化という施策でどれだけプラスチックごみの削減につながるか大いに疑問をもっています。一回一回の買い物で消費されるレジ袋の総量など産業的な用途に比べれば、はるかに少量です。しかも分別されたゴミさえ処理コストの高さと焼却炉の高性能化(昔はプラスチックを燃やすと高温になり過ぎて焼却炉が傷んだ)で、ほとんどの自治体で実際は燃えるゴミと一緒に燃やしているわけです。
一方での、コンビニやスーパーレジでの「レジ袋は有料なのですがお付けしますか?」の決まり金時の鬱陶しいお声がけ。「ポイントカードはお持ちですか?」の声がけもつきますので煩わしいことこの上ありません。まあ買い手もイライラするのですが、言わされてる店員の方ももっと大変に違いありません。
まあこの手のエコと名の付くコンセプト、「もったいない」マインドが強い日本人の琴線に触れるんですよね。
安全性を省みないまま、なぜかガンガン進められる「自転車推進施策」にも同じようなマインドセットがベースにあります。

これ、やってしまえばますますリアル店舗からECへの流れは加速するでしょうね。
先日、日本橋三越本店で久々に買い物をしました。
もはや高齢者向けショッピングセンターと化した品ぞろえに震撼しながらも、やはりキッチリと二重のショッパー(紙袋)で商品を丁寧に包装し手渡してくれる体験価値には高揚感があります。
(写真:AC)
もちろん百貨店のやり方はすべてが過剰でしょう。手すきなのに客より多い人数の店員さん。
やたらと大仰なディスプレイ。そしてもちろん丁寧すぎる包装も、過剰と言えば過剰なのでしょうけれど。
それが百貨店ならではの体験価値を支えてきたことは間違いありません。
私も、色々なクライアントさんのショッパー(紙袋)のデザイン開発のお仕事をさせていただいてきました。
デザイン費、凝った印刷、製造費。
でも、やはりブランドの体験価値、タッチポイントの重要な位置を占めていますよね。
やはりエルメスを買ったら、あのオレンジ色のボックスと紙袋に入れて欲しいじゃないですか。

本気で、紙袋有料化が法律で強制されるようなアホなことになれば、それでなくても終わりかけている高級品、アッパー品の市場はきっと壊滅するに違いありませんね。まあ外資の事業者も多いですから、レジ袋ほど簡単に強制できるとも思いませんが。
一方で、最近つくづく感じるのが通販、EC事業者の梱包・包装技術の進化。
年々、スッキリ、しかも新しい包材の開発で傷まないように送られてきます。
まだまだ、同梱されてくるレターが即物的だとか、段ボールももっとデザインできるはずとか、プレゼンテーション面ではできることが多いように感じますが、それもドンドン改良されるはずです。
もうそうなってしまえば、わざわざ駐車場にクルマを入れて、エレベータに乗ったあげく「紙袋有料化ですけれど」などと興ざめをさせられるようなリアルの買い物体験などアホらしくてできなくなっていくに違いありません。
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