雑誌広告41.9%減はさすがに衝撃

さすがの大手広告代理店も雑誌に限らず厳しい数字のようで、ここまで大きく数字が影響を受けたことは過去数十年ないんじゃないんでしょうかね。
とは言え、電博は少なくとも営々築いた厚い内部留保がありますから、経営的には当面問題はないと思います。
中長期的にメディア環境が激変する中で、主にテレビを中心とするマスメディアの分厚い利益で、マーケティングやクリエイティブのサービスを手厚くしてきたビジネスモデルをどう再構築していくかの方が課題かもしれません。

でも厳しいですよね。
何より、紙代、物流費という固定費の高騰が厳しいところに、コロナです。

もともとも雑誌って、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの旧4マス媒体の中でも、いわゆる広告露出コストは広告接触者あたりで計算すればダントツで高い媒体ではありました。テレビとは一桁以上違います。
それだけに広告主も、ある趣味やライフスタイルをしっかり持っている生活者にコストがかかってもターゲットを絞って届けたいという意識で出稿してきた媒体ですから、費用対効果をギリギリまで検討されてしまうと厳しい媒体であることは間違いありません、
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かと言って、ネットメディアが雑誌の代替をするかというと、私は現状懐疑的です。
私は雑誌もネットメディアも相当接触している方だと自負していますが、やはりライフスタイル的な世界観を表現するには、グラフィック、グラビアの力がいりますね。要は良い写真を雑誌程度のサイズで見ないと、まったく心を動かされません。
じゃあタブレットで見れば良いじゃないかと言われますが、やはり写真の繊細さを感じるためには印画、プリントされてることが不可欠なように思います。実際、ありとあらゆるカテゴリーのコンテンツがあるネットメディアですが、ファッションやインテリアなどライフスタイルコンテンツは雑誌社系などがんばっていますがまったく存在感がありません。やはりウエブメディアはニュースやジャーナリスティックな表現の方がまだ相性が良いようです。

特にライフスタイル系や趣味系のグラビアページが魅力だった雑誌の場合、そのニーズが単純にウエブに置き変わったというようには感じません。もっと大きい雑誌苦境の原因は単純に適正価格で販売できなくなったことが大きいようには思います。もちろん雑誌にいくら払えるかという局面では携帯料金に個人の財布が持っていかれている影響はあると思いますし、とにかく高くなり過ぎた雑誌に対して個人のお財布で雑誌に割ける金額は年々減っています。
今や、どの雑誌も1000円台。2000円近い値付けも珍しくありません。どうなんでしょう、ここまで来るともはや書籍の価格帯なんですよね。書棚に読んでも並べ置く書籍と違って、
そもそも雑誌というくらいで、適宜楽しんだら捨ててもいいかなというポジショニングなのに、この価格帯だとちょっと気軽に買う感じではありませんよね。

でも、雑誌社としては仕方がないんですよね。先にも書きました、特に紙代と物流コスト、どうやっても高くしなければ今は発行しようがないというのが実情です。しかも印刷代は典型的に部数が増えるほど一部当たりが安くなる固定費の配分が大きいプロセスです。雑誌社としては苦渋の値上げだと思います。

まさに悪循環です。
雑誌の値段が高い=>購買者、部数が減る=>より一部当たり単価が高くなる=>売れない=>広告が入らない=>より高くなる。

MiroslavikによるPixabayからの画像

かつて一緒に働く色々な職業の方の中でも、雑誌の編集者さんはすごく良い仕事に見えました。どんなクライアントも良い記事を書いて欲しいので、どこに行っても厚遇される、取材費は潤沢で高級な会食を取材費でガンガン落とせる。
でも、編集者の皆さんその分プライドの高い仕事をされてきていたと思います。
そんな雑誌が華やかだった時代を知っているだけに、今の厳しさがひと際ショックです。

生活者としても、子供の頃からの雑誌ファンの私としては、廃刊を免れる雑誌が一誌でも多いことを願ってやみません。
せめてもと個人的には一生懸命買っていますが、かつては平積みされていたような雑誌が、大きな書店なのにそもそも一冊しかきてなかったりします。そしてその一冊を私が買うと1週間後に見ても補充もされない寂しさを肌に感じています。
なかなか見通しの厳しいものがある今日この頃です。

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