全英女子オープンで感じる リンクスと英国人気質

12オーバーで予選落ちはさすがの渋野日向子選手としてもショックに違いありません。
初日4ホール目リンクス特有のポッドバンカーから1打目壁にあたってボールはほぼ元の位置に。クラブを変えて2打目。また壁にあたってボールが元の位置(もっと打ちにくい位置?)、最後に3打目諦めてエクスプロージョン。結果このホール衝撃の3オーバー。

(写真:ロイヤルトルーンホームページ、Twitterより)
AbemaTVの渋野ラウンド密着映像を見ていてガックッとしてしまいました。解説の皆さんも無言になっていましたね。なかなかプロの試合で見ないシーンでした。
もちろんそもそもなんでこのバンカーに届くクラブで無理して打ったんだーという疑問はぬぐえず、AbemaTVで解説していたプロキャディーやプロコーチ、原江里菜さんも黙り込んでしまう他なかったという顛末です。
とにかく少しでも遠くへ飛ばしたいというアマチュアならともかく、一番プロらしからぬマネジメントで解説陣もそれだけは避けるよねと解説していた矢先の出来事ですから、観ていてあまりにも衝撃的でした。

もちろん、無茶苦茶な強風の中ですし現場でのクラブ選択はそんな外野ではうかがい知れないものがあったと思います。

ちょっと話はそれますが、最近映画「ダンケルク」をIMAXで再上映していて観ました。
いつ見ても、IMAXフィルムで撮影したというクリストファー・ノーラン監督の、戦場にまさに入り込んでしまったかのような映像音響体験は傑出したもので、間違いなく今後もIMAXシアターで何度も再上映されるものと思います。

「ダンケルク」はまさに、第二次世界大戦後初期、民間船を巻き込んでフランス海岸の街ダンケルクから、英仏兵40万人をドーバー海峡を渡り撤退させた大撤退戦です。
そこで描かれる、英国人はまさに質実にして勇敢。文化人にして粗野。
彼ら独特のプライドの在り方、カッコ良さの基準を感じました。
例えば貴族階級の飛行機乗りが、ギリギリまで敵と死闘を繰り広げ、不時着し死にかけるが、いざ助けられるとなんでもなかったようにブリティッシュジョークの一言で平然としている。
007にもよく描かれますよね。タキシードで乱闘というイメージがきっと彼らが考えるカッコ良さなんだと思います。

ロンドンのブティックホテルなどに泊まると感じますが、やはりかつての大英帝国イギリスの生活文化の水準の高さを思い知れされますよね。すべてがハイセンスで一朝一夕ではなし得ない快適性、文化性のレベルの高さ。壁紙ひとつ、リネン類、ティーカップひとつに至るまで、彼らがいかに高度な文化を蓄積してきたか感じさせられます。ああいうものを知ってしまうと、鹿鳴館時代以来自分たちの伝統を捨て和洋折衷してきた日本人が、まだまだ洋風志向の生活スタイルの面で一流とは言い難い程度の生活をしている実態を痛感してしまいます。

でも、一方で英国人の面白いところは、粗いもの、野蛮なものをあえて残す部分です。
ラグビーやサッカー発祥であったり、英国貴族が往々自分の領地をランドローバーで走り回り狩をしたりするのもそんな精神を感じます。

だからこそのリンクスコースです。

いよいよ今晩全英女子オープン開幕。Abema TVも参戦で盛り上がるゴルフ観戦スタイル。
いよいよ、渋野日向子選手ディフェンディングチャンピオンで全英女子オープン開幕ですね。 (写真:LPGAホームページより) 今年は日本国内唯一の試合だったアースモンダミンカップで予選落ち。先週前哨戦のスコティッシュオープンでも予選落ち...

日本のゴルフ場って平均的には間違いなくメンテナンス世界一と感じますが、箱庭的。それはそれで日本らしい。
やはり、リンクスコースは英国的と感じます。もちろん羊飼いが海岸沿いでボール遊びをしていた発祥は別として、彼らの貴族的な野蛮なものを良しとする価値観が、リンクスを良しとしてあれだけ残してきたんだと思います。

そういう意味では、衛生的・都会的・平和的な現代日本人の精神が、試されてるような気がする全英女子オープンですね。
渋野予選落ちは残念ですが、野村、畑岡、上田にがんばってもらいたいと思います。

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