久々の大ヒット大作SF「三体」が、確かにすごく面白い

世界的なベストセラー「三体」を読んだのですが、世界で2900万部を超えるベストセラーという期待を裏切らない面白さでした。

私自身小学生から大学生までの頃を中心に、SF=サイエンスフィクションが好きでしたし世の中的にもSF作品や映画、ドラマ、アニメなどがあふれていたように思うのですが、なぜか日本人はSFを忘れてしまったように思います。
でもホモデウスの作者ハラリがいみじくも指摘しているように、大きな人類文明転換期にある今こそSF的視点が必要とされているように感じています。
【第23回】衝撃の書「ホモデウスを読む」 - コロナの今、ホモ・サピエンスのみが持つ「虚構」を語れる能力を考える
新型コロナショック流行の第一波は、日本人にとっては不幸中の幸いにして最悪のパンデミックを免れました。でもまったくのラッキーパンチ、結果オーライに過ぎなかったわけです。原因についてはすでに様々な仮説が提示されていますが、これからの研究が待たれ...

まだお読みになっていない方にこの衝撃を味わっていただきネタバレは避けたいですので、所感だけ少々書かせてください。

一つ目として、中国の小説というユニークさです。
正直私は中国の小説はほとんど読んだことがありませんでした。映画などでは、芸術的といって良いほどの優れた作品があることを知っていますが、経済発展とともに文化面でも良い作品があるだろうな、ぐらいの漠然とした想像ぐらいでしたが、
「えー中国のSF??」という、偏見を完全払拭してくれるレベルの、現代人が普遍的に秀作だと感じる作品だと思います。
そうじゃないと2900万部は読まれないですよね。
でも中国らしさもあって、文化革命時代の政治的な混乱期の厳しさの描写などは、日本人には縁遠い世界ですがヒリヒリするような共産党独裁下のちょっとした政治的ミスが死に直結する緊張感が伝わってきます。この辺は、トム・ロブ・スミスの「グラーグ57」などスターリニズム時代のソ連が舞台の小説の面白さにも通じる部分です。それにしても、絶対自分では生きたくない世界ですね。速攻で目をつけられて粛清される自信があります。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
運命の対決から3年――。レオ・デミドフは念願のモスクワ殺人課を創設したものの、一向に心を開こうとしない養女ゾーヤに手を焼いている。折しも、フルシチョフは激烈なスターリン批判を展開。投獄されていた者たちは続々と釈放され、かつての捜査官や密告者を地獄へと送り込む。そして、その魔手が今、レオにも忍び寄る……。世界を震撼させた...

何にしても、現代の中国人はかつて日本人の様に科学の夢を見ているだろうことはハッキリと感じられます。
優れた、サイエンスフィクションに出会わなくなり、世の中的にも興味を持たれなくなった日本の科学立国が成立しなくなってきた彼岸の差をそこはかとなく感じる部分ではあります。

二つ目として、サイエンスフィクション王道の壮大さと、想像を超えたレベルでの展開。
これってやはりサイエンスフィクションならではの醍醐味ですよね。

(早川書房ホームページより)
ちょっと古いかもしれませんが、個人的にはジェイムズ・P・ホーガン以来のSFカタルシスでした。
星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)
【星雲賞受賞作】 月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。

SFマニアからすれば噴飯でしょうけれど、それほど長い期間そもそもSF作品で読んでみようという作品がなかったということでもあります。

とにかく、今は久しぶりのSF大作の良作に出会った満足感に浸っているところです。やはり読後感は、大作SF映画を見た感じに近いかもしれません。

第二部もあるなんて、とっておきのビンテージカスクのウイスキーをいつ飲むか、早く飲みたいような、取っておきたいような気分でワクワクしています。

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