(あえての考察)オリンピック長期延期の場合、次の選手村候補は「築地市場跡地」?

新型コロナウイルス流行の収束がなかなか見えてきません。日本はまだなんとか小康とも言って良い状態を保っているように感じなくもないですが、欧州が厳しいですよね。アメリカもまだまだわからない。

そんな中ですから、オリンピックの中止・延期が現実的な課題として検討が必要な状況と言う他ありません。遂に国会で安倍首相も「延期の検討」に言及しました。
首相「東京五輪、延期も」 参院予算委で
安倍晋三首相は23日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)が7月の東京五輪について開催延期を含めて検討すると2…

大前提として、かなりアナーキーな方を除いて、誰もオリンピックの延期や中止を望んでいる人はいないはずです。特に、ギリギリの調整で準備しているアスリートにとっては選手として死活的な状況だと思います。アスリート以外の人間にとっても、大なり小なりこの国家的・国際的イベントにまったくなんの関係もない人はいませんから、それぞれ大きな影響があります。私自身も仕事上、正直まったく影響がないわけではもちろんありません。中止・延期は考えたくもないという切なさはあります。

でも敵が、新型ウイルスですからね。どんなに切なくても現実的な対応を考えざるを得ない時期かもしれません。

すでに、延期の具体論については様々な論点が出てきていますね。「アスリート選考や調整」「他主要大会とのスケジュール」「放映権料を大きく出している米TV局の意向」「会場確保」「チケット払い戻し」「オリンピック憲章との整合性」などなど。その詳細は各メディアに譲りますが、そもそも新型ウイルス収束の科学的見通しもままなっていないわけですから、検討は困難を究めます。
そしていつまで延期するだけとっても、「本年度内延期」「1年延期」「2年延期」3年延期はあまり聞きませんがパリオリンピックと玉突きさせて「4年延期」パリオリンピックの次で「8年延期」。オプションだけ考えればいくらでも候補を考えられます。もちろん8年先となれば人間何が起きるかわからないわけですからね。ちょっと想像もつきません。

それぞれ一長一短がありますが、例えば先日本「たんさんタワー」で取り上げさせていただいた、選手村リフォーム集合住宅の「晴海フラッグ」ひとつとっても議論は簡単ではありません。先回も書きましたように、そもそもリフォーム工事をして2023年3月入居、つまり3年後入居の予定でしたからね。1年延期で4年後入居、2年延期で5年後入居となるとどんどん異次元の世界に突入していきます。まして7年後とか11年後となれば想像さえできません。そもそも「晴海フラッグ」の建物すでに完成していますからね。いくらリフォームするとは言え、未入居のまま放置していれば、内装・外装の痛みも気になりだします。
オリンピック延期で選手村物件「晴海フラッグ」は入居4年後?
アメリカではトランプ大統領が緊急事態宣言を出すなど、新型コロナウイルス流行の収束がなかなか見えてきません。 そんな中、オリンピック延期(日本としては中止の悪夢だけは避けたいところです)も現実的に検討せざるを得ない状況かもしれません。 ...
さすがにパリオリンピックと玉突きさせて「4年延期」パリオリンピックの次で「8年延期」の延長案になる場合は、「晴海フラッグ」はすでに購入した人たちが相当数いるわけですから、そのまま選手村としての利用をしないで分譲せざるを得なくなるのではないでしょうか。いくらなんでも7年後入居、11年後入居を待てる人がいるとは思えません。(確かに既購入者には条件は別として何らか手付金を返還して解約の上、分譲時期を仕切り直すというウルトラCも考えられなくはないかもしれませんが、築年数がかなり経った時点、しかも経緯がついてしまった物件に今ほどの人気が出るかどうかはまったく不透明になってきますし、4145という戸数の先行きが見えなくなれば都としてもおいそれと乗れない案のようにも思います。)
【SankeiBiz掲載】五輪選手村「晴海フラッグ」はニューノーマル マンションポエムには頼らない
SankeiBiz連載中のブランドウオッチングでは、オリンピック選手村をリノベーションして4145戸分譲するという未曽有の大規模集合住宅計画「晴海フラッグ」を取り上げました。 本たんさんタワーでは、政治も経済も天下国家も重...

となると選手村候補は新たに準備しなければなりません。そもそも選手村候補地は、2016年オリンピックに東京が立候補した際、有明1丁目の都有地を想定した案でIOCに提案し、選手村用地としては手狭なことを指摘され、2020年晴海案で仕切り直した経緯があります。
晴海が選手村として利用できなくなれば、そう簡単に候補はないかもしれませんがあえて下記考察します。

一つの候補は中央防波堤でしょうか。

中央防波堤は本コラムで何度も指摘してきた通り、東京都のマスタープランナー丹下健三が描いた都市軸のど真ん中に位置する東京の未来です。羽田空港からも近く、すでに接続道路は整備中。巷で噂されている銀座駅から築地、晴海、豊洲市場、有明、羽田空港に至るメトロ新線の新設も含め一気呵成に検討すれば夢のあるプランかもしれません。
一点懸念があるとすれば埋め立てて時間が立っていないエリアですからね。本格的な建築物にはまだ不向きかなという気もします。
東京の未来 - 中央防波堤埋め立て地
40年にわたって帰属が争われていた、中央防波堤埋め立て地の帰属割合が決まったとのことす。 石原都知事時代には一部エリアを「海の森」として安藤忠雄氏に委嘱して植樹活動を行っていたことでも有名な埋め立て地ですね。 それにして...

そして二つ目の候補は、有明4丁目です。

ほとんどの皆さん「どこ?」という場所ですが、国際展示場「ビッグサイト」と「テレコムセンター」のある青海を挟んだ埋め立て地です。現在は倉庫として利用されていて、人っ子一人いませんが、まさに昔の晴海倉庫街のイメージで、広さも晴海選手村にそん色ないように見受けられます。さすがに今の様子を見ると、辺鄙すぎてしまって選手が嫌がりそうですが、ここも丹下健三の都市軸ど真ん中。銀座4~5km圏ですので、先ほどの羽田空港~銀座の地下鉄新線を前提にすれば見違える土地のように思います。

そして三つ目の候補は、何と言っても「築地市場跡地」です。

すでに更地になっているのでなんでも想像しやすいというメリットもあります。

(写真:AC)
広さは晴海よりは少し狭いかもしれませんが、何せ銀座に隣接し築地市場以来の文化伝統を感じさせる場所ですからね。IOCも選手も大喜びするのではないでしょうか。
国としては、IOCとの交渉の切り札かもしれませんね。交渉が日本の意思に反していった場合に、提供できるメリットとしてズバッと切るという。実際築地市場跡地が選手村になればイベントも食関連でガンガン盛り上げられそうですね。

(写真:AC)
一点、とにかく東京に残された最後の超一等地ですから、晴海のように選手村で使った建物をリノベーションして分譲するイメージはちょっとわきません。ここに本格的に建てるならば、それこそハイエンドのレジデンスしかあり得ませんから、むしろ選手村は仮設で良いかもしれません。例えば建築家の坂茂氏など、紙や段ボールの建築物に長く取り組まれていますよね。

(写真:坂茂建築設計)
Works | Shigeru Ban Architects

くれぐれも、もちろん延期のことなど考えないで済めばそれが私も一番良いのですし、年内延期ぐらいで収まってくれればみんな不幸中の幸いでしょうが、今の状況を鑑みると、私自身としても色々最悪のケースを含めて検討まではしておかざるを得ない状況ゆえの以上考察です。

秋月涼佑建築・インテリア記事一覧へ

記事の更新情報をお届けしています。ぜひフォーローください。


facebookはこちらから。

タイトルとURLをコピーしました