今日の記事を書こうと思っていたら、先ほど森喜朗東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長辞意の号外速報がネットにアップされてきました。ヤフーニュースのトップ記事にも早速ピックアップされています。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は、女性を蔑視する発言をした責任を取り、会長を辞任する意向を周囲に伝えた。11日、複数の関係者が明らかにした。組織委が12日に開く緊急会合で表明する見通し。 Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
今回の件、誰もが何らか思うところを感じてしまう事件ではありました。
記事が出て一時間足らずで、6000件以上もヤフコメ欄にコメントがついていますので、すごい勢いです。
私も、この件色々感じるところがありますが、一言で言うとすれば
「良くも悪くも今の日本を表象している事件だな」と感じます。
そういう視点からは、森喜朗氏、熱きスポコン主義。ラグビーワールドカップ招致での貢献もありましたし、日本に大変貢献してくれた部分があると思っています。

もちろんオリンピック招致しかり。やはり石原慎太郎氏や安倍晋三氏など森氏に近い政治家を含む彼らのサポートがなければ実現しなかったと思っています。
そういう意味では森喜朗氏は、働く政治家として、間違いなく日本に貢献してきてくれたと思います。
(写真:JOC)
一方で、やはりあまりにも典型的な「日本のおじいさん」ですよね。
決定的に、世界を知らない。
大坂なおみ選手が、「無知」と評したのがもっとも端的な言葉だったと思います。
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良い悪い、差別の意識があるないのもさることながら、グローバルスタンダードの世界でジェンダー(社会的意味での性区別)に関わることに対しては、社会的に複雑な感情や歴史が背景にあることを前提に繊細に対応するという、世界的な常識というよりはプロトコル(約束事)が存在することをまったく知らないのです。まさに「無知」なのです。
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まさに、小学校前の横断歩道は最徐行という基本的な交通規則を知らずにベンツSクラスでかっ飛ばして突き抜けるような非常識さと恐怖心を世界の人に与えているわけです。
世界で活躍する大坂なおみが呆れたるしかなかったのは素直な反応でしょうし、世界で戦うトヨタ社長が遺憾のステートメントを早々に出したのは当然です。
私などでさえそうですが、英語で仕事をしたことがあるビジネスマンは、少なくともこのプロトコル知らないことにはちょっとした会話もままなりません。woman,women,female,she,herなどというベーシックな単語でさえ、その言葉を性差を前提にした決めつけと捉えられてしまうのではないかと無茶苦茶気になるのです。そんなニュアンスを万一感じさせてしまった瞬間、それが男性であれ女性であれその混成であれ、ものすごく微妙な雰囲気が流れますし、優しい人たちであれば「この人は日本人で英語力が今一つだから、訳の分からないことを言うけど許してあげましょう!」という、いらぬお豆さん扱いをされるのがオチなのです。
まして、lady,girlなど女性を庇護対象とするニュアンスある単語もかなりヤバいですし、Mrs.Miss.など既婚未婚を特定するような時代がかった冠詞など死語そのものと言えます。
森喜朗氏が外国人首脳とどんなに関係良好といったところで、優秀な通訳を介しての話です。
優秀な通訳はとことん発言者を気分よくさせますし、どんどん良い言葉の選択をして友好的な関係を築きます。すごいプロなんです。
もちろん、欧米人の社交辞令の上手さも筋金入りです。
森氏、素直な方ではあるでしょうから、そんな気持ちよさにどっぷり浸れるタイプというだけのことです。
そんな、めんどくさい外国のことなど知らない人の方が有権者のほとんどに近いプロフィールであるわけですし、親近感もわくことでしょう。
確かにハーバード大学に留学した政治家の方が立派だとは限らないわけですし。
まあ恥ずかしいと感じる人もいるでしょうけれど、大多数の日本人がそんな世界の肌感覚にうといこともまた事実です。

だからこれで仕方がないように思います。
ある意味、これは正当で等身大な日本人像ですし、森さんに対する世界の評価は日本人に対する評価で何の誤解もないのです。
失われた30年で、一部のグローバル企業を除けば、どんどん日本人が世界に遅れをとっていく実感があります。
でも、今や日本の若手も世界で戦う気はありませんよね。ほとんどの人は。
まあ快適な国ですし、地味に貧乏になっていったところでまずまずというところが本音ですかね。
日本人が負けるわけないと考えている人口半分のお隣韓国。
アカデミー作品賞はとるは、BTSはビルボード1位。しかもあの英語ですからね。
でも、別に悔しがる必要もないですし、他人は他人です。
逆に言えば、韓国は外国に出ていかないとまともに生きれないところに一足先に追い込まれたお国柄だとも言えます。
数世代後に、本当に行き詰ったときの世代が、本当に求めればまた奮起するでしょう。
個人的には残念ですが、仕方がないとこの状況を受け入れます。

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