日本シリーズ3試合連続で1ケタ視聴率が示す、日本の風景

確かに結構な衝撃です。


(写真はフジテレビ系列放映第1戦ポスター)

若手の広告代理店社員だった頃。プロ野球の枠の番組提供社が担当クライアントで、よく世帯視聴率の速報値(何パーセントの家庭がその番組を見たか)、その後個人視聴率(お父さん?お母さん?娘さん?誰がその番組を見ていたか)の分析を行い、クライアント報告をしていました。

とにかく巨人戦は強かった。
20%以上が当たり前の安定した高視聴率を獲得していました。
個人視聴率的には、男性。いわゆるM2(男性35歳~49歳)、M3(男性50歳~)が強かった。
ゴールデンタイムのテレビ番組は、多くのスポンサーの要請で消費性向の高いF1(女性20歳~34歳)をメインターゲットにした番組がほとんどですから、年齢の高い男性がガッツリ視聴している番組の代表がプロ野球中継だったことに疑いがありませんが、絶対的な視聴率が高い分、それなりにF1をはじめとする女性の視聴者も多く、茶の間でお父さんを中心に家族で夕食を食べながらもしくは夕食後、家族一緒にプロ野球を見る情景が想像できました。

最近では、レギュラーシーズンの地上波の番組中継もグッと少なくなり、プロ野球の存在感自体が低下していたことも否めませんし、予測の範囲内かもしれませんが、1990年には40%台の視聴率も珍しくなかったわけですから、やはり隔世の感は否めません。
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しかも録画等のタイムシフト視聴の影響が比較的少ないと思われるスポーツ生中継ですからやっぱり厳しい数字です。しかも原VS工藤という人気監督同士のカードです。
この視聴率では、来年の地上波放映には腰が引けるのではないでしょうか?
視聴率=マネー。が民放の宿命ですから、ある三日間の視聴率が5%も違えば、少なくとも数億円以上の機会損失となり得ますし、編成上も毎週のギュラー番組の視聴習慣が途切れて、他局の番組に行ってしまう人を生みかねず、レギュラー番組のプロデューサーあたりは「俺を殺す気か~!」と叫んでるに違いありません。

とは言え、最終戦放送で言えばナベツネ御大率いる読売グループのこと、プロ野球をいかに大事にしているかは自明の法則でもあり。逆に長年の貢献に免じて優先してきたけれど。いよいよダメかということかと思います。

先ほどの個人視聴率分析で、全盛期でさえM1(男性20~34歳)の個人視聴率が低かったことを考えると、この今ある未来は完全に予測できたわけで、世代間の移行、若い世代を置き去りにしたまま世代ごと朽ちていく、ある意味日本社会でよくある風景かもしれません。

名門ゴルフ場に行けば、日々現役時代からのマウンティング本能に磨きをかけるおじいさん達が陣取っていて、とても若い世代の近寄れる雰囲気でなかったり。
新聞社やテレビ局をはじめとするメディア企業にしてからが、良い時代をどっぷり堪能した世代がまだまだ現役バリバリで超元気ですから、ネット時代への対応もわかっちゃいるけど遅々と進まないまま平成時代を過ごしてしまい、今に至ります。

たかがプロ野球、されどプロ野球。
プロ野球が示す世相、時代にはやはり色々なものが象徴されることだけは間違いなさそうです。
少子高齢化と言葉で言ってしまえば、それまでですが、世代間の文化が団塊の世代ごと昔の出来事になってしまいそうな一断面を感じてしまうニュースでした。

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