さすがサイゼリヤ!酸化臭を嫌って揚げ物ゼロ。飲食店が空気にこだわるべき理由

最近面白い記事を読みました。

競争の極めて厳しい外食産業業界です。さすがのサイゼリヤもお店の全面禁煙以来、業績絶好調とはいかないようではあります。しかしながら、最近では新メニュー、ラム肉串「アロスティチーニ」が原材料が足りなくなり販売休止になるほどの大人気でネット上でも話題となり、日本人になじみの薄いラム肉のメニューさえヒットさせるとは、いかに生活者から支持が根強いかをあらためて気づかされもしました。

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飲食店の空気だけは譲れない

サイゼリヤをさすがだなと感じる際立って良いところはたくさんあり、そのうち分析したいとも思いますが、まずは冒頭の社長のコメントにある「酸化臭」を嫌っているがゆえに揚げ物をやらないという発言と、もしやるなら掃除を真剣にやらないといけなくなるが、そうする労力がないからやらない。というきっぱりとしたコメントはさすがだと思いました。

ミシュランのお店にも行きますがサイゼリヤにも行きます。
そう「孤独のグルメ」のように、先入観なく色々な食べ物を自由に楽しく美味しく食べたいものだと考えています。

「時間や社会に囚われず、幸福に空腹を満たす時、つかの間、彼は自分勝手になり自由になる。
誰にも邪魔されず、気を使わずものを食べるという孤高の行為。この行為こそが現代人に平等に与えられた、最高の癒しと言えるのである」(テレビ版「孤独のグルメ」タイトル)
「孤独のグルメ」が「かっこいいスキヤキ」だった頃
テレビ東京系の「孤独のグルメ」シーズン8が制作されると発表されました。 多くのファン同様私もすごくウレシイです。 AmazonePrimeなどにもラインナップされているので、たびたび昔の作品を見ていますが、やはり新作が見たいです...

そういう意味で、必ずしも高いお店でなくても良いお店はたくさんあると考えている一人ですし、ちょっと味出過ぎなぐらいの年季のはいったお店に宝ありと考えている一人なのですが、
飲食店の「空気」。
これだけは譲れないと思っています。

acworksさんによる写真ACからの写真

料理は美味しくても残念な空気の悪いお店

自分では際立って神経質なわけではないと思っているのですが、空気が悪いお店では何を食べても美味しくはありませんね。一昔前の様に。タバコの煙モウモウというお店はさすがに多くはなくなりましたが、やはり飲食店に臭いはつきもの。
焼き鳥が焼ける美味しい臭いのことではありません。その美味しい何かを調理したあと、まさに酸化してこびりついた臭いはどうやっても良いモノではありません。天ぷら、トンカツ、揚げ物につきもの油。目に見えなくても盛大に飛び散っているのは間違いありません。逆に揚げ物をメインで出しているお店で、スッキリした空気を保っているお店の目に見えない努力には本当に頭が下がります。
鮮度の良いお刺身を出してくれるお店で言えば、生臭さ。

他にもやはり地下のお店では排気を長年機械でしかできないことによる空気の澱み、古いお店であれば排水まわりの老朽化のドブ臭さ。厳しいようですが、飲食店を営む上で地下と言うのは相当なハンディのように思います。

一方で大きな窓がある2階の見晴らしの良いお店なのに、窓を嵌め殺したように一度も開けたことがないようなお店もあります。例えば、ゴルフ場のレストランなんかで意外と多いですね。見晴らしの爽快さと裏腹に空気がよどみ切っていたりします。
日本人は歴史的に開放的な木造の建物に住んできたはずなのですが、コンクリート造の密閉性の極めて高い洋式建造物を使うようになった時点で勝手が分からなくなってしまったのかなと思います。窓を開けるなどもっての外、換気は空調で十分という頑なに信じている人がいかに多いことか!もちろん空調機器の性能などたかだか知れていますし、優れた排気に不可欠な排気系全体の設計にそもそも失敗しているに違いないお店は、調理による排気すべき空気100に対して排気系の能力20程度ではないかな?という場合さえ見受けられます。地下でなければ数分間窓を開放すれば全然違うのに!

中華料理店もこれは文化風習なのですかね、結構な高級店を含めて本場中華圏を含めなぜか開口部閉め切りのお店が多いです。料理は美味しくても香辛料の蓄積した臭いに辟易する場合が多いです。

最悪の事例

私が体験した最悪のケースは、某大手居酒屋チェーンさんの大箱。さすがに普段はあまり利用することはないのですが、たまたまお付き合いで。さすが大手資本だけに非常に近代的な建造物のテナント店舗なのですが、明らかに空気に強烈な刺激臭。多分強力な殺虫剤
か何かを噴霧したに違いないのですが、数分で頭痛がするレベルです。でも店員さんは慣れてしまっているのか、当たり前のすました顔。もはや苦情を言う気もおきず早々に逃げて出る他ありませんでした。
大手資本であればあるほど害虫の発生を嫌うのでしょうが、強力な殺虫剤の刺激臭よりは害虫の方がよっぽどかわいらしいに違いありません。

これはちょっと極端な例ですが、料理は美味しいのに店の空気に無頓着なお店は残念すぎるほど多いのです。

もう一つ事例をあげれば、昔東京の三田に「まっち棒」という和歌山ラーメンの有名店が支店を出しました。元々有名なラーメン店ですし、らーめんは白濁したしょうゆとんこつ系のコクがたまらない文句なく美味しいお店でした。でもなぜかコンセプトがカフェバーでオシャレなビルにカクテルまで飲めるラーメン&カフェバーコンセプトだったのです。私はラーメンもお酒も好きですからもちろん喜び勇んで何度か速攻突撃したのですが、何かがおかしい。そう肝心のお酒がまったく美味しく感じないのです。一杯のとんこつ系ラーメンの妖気は尋常ではありません。もはやお酒の味わい、ましてカクテルの繊細さなど1mmも感じることができませんでした。
残念ですが三田のお店は早々に閉店してしまいました。

空気まで気遣うお店の努力には頭が下がる

一方で良いバーやカフェは、とことん清潔感を感じるお店が多いですよね。なじみのバーのオープン2時間前にたまたままだ開いてるわけないよねと冷やかしに立ち寄ったら、それでなくてもキレイなお店を舐めるように掃除しているいつものバーテンダーに出会い口では冷やかしながらも、頭が下がりました。
(先日札幌で出会った丸美カフェさん、札幌の建物の気密性でありながらさすが空気も素晴らしく清涼でした!)
【新連載 第1回 カフェに一目ぼれ】札幌市中島公園 – MARUMI COFFEE STAND NAKAJIMA PARK 中島公園店

そう空気の良し悪しも分からなくて美味い酒や料理を出せるわけがないに違いありません。

正直そんなところまで感性が行き届いているお店が高級店に多いことは事実だと思います。やはりそれなりのお代をいただくだけの気遣いと労力をかけています。でもそれだけではつまらない。冒頭のサイゼリヤ社長のコメントにあるように、高級店でなくても空気に意識があるかどうかだけでも、やり繰りのしようがあるでしょうし、サイゼリヤさんの業態であれば酸化臭を出すぐらいならば揚げ物を出さないという割り切りはお客さんとしてもウエルカムのように思います。

世界に誇る日本の食文化。さらなる高みを目指してすべての飲食店さんがお店の空気に意識を持ってくれることを願ってやみません。

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