広告は今も昔も「脳」の争奪戦 でもそこが難しく面白い

今朝の読売新聞経済面に珍しい記事が出ていました。
ページが見つかりませんでした : 読売新聞オンライン
【読売新聞】
読売新聞オンライン上では読者会員限定記事になっていますが、内容は、バナー広告等のネット広告単独での広告キャンペーンと、新聞折り込みを併用したキャンペーンでは、ネット+新聞折り込みが一番売上増に効果がありましたよ。というものです。
我々広告業界の人間は日々クライアントさんに同様の分析データを提示し議論していますから非常に見慣れたものなのですが、経済紙でもない読売新聞が記事を掲載していることに、ちょっと”オッ”としました。
ご存知の通り、ネット広告費が一貫して増える中、他マスメディアへ投じられる予算は横ばいが精いっぱい、新聞は大きくマイナストレンドが続いていますから、読売新聞読者でもあるクライアント関係者に少しでもアピールしようと意図もわかりますので、共感しました。(せっかく自媒体のアピールですから、ネットでも会員限定記事にしないほうが良いように思うのですが。。。。)
https://www.asahi.com/articles/ASM2X4TK7M2XULFA00Z.html

なぜネット広告が強いかと言えば、究極は伝達効率=コストパフォーマンスの違いです。従来テレビが強かったのも同じ理由です。広告業界では接触効率を単位あたりのコストパフォーマンス、1000人あたりのコスト=CPMという単位で計算します。従来はコストの高い順で、紙>電波。5Gが導入されると紙>電波>ネットという構図がますます確立されると思われます。

でもここからが一筋縄ではいかない上に面白いところなのですが、それじゃあCPMを最大限下げられる広告メディアだけを使ってキャンペーンを打てば良いじゃん。となるかと言えばそうもいえないのです。
例えば広告業界あるあるなのですが、クライアントの宣伝課長にまったく違う領域でのキャリアの方が異動してこられると、とにかく接触効率を数学的に最大化することにこだわられたりします。でも接触効率を追求するだけのメディアプランではまったく広告キャンペーンは魅力のないものになってしまう場合も多々あります。もっと言えば、大手の広告会社にはコンピューターで、ターゲット、予算、地域等を入力すると接触効率を最大化するプランを自動作成するプログラムが大昔からありますから、それを提案すれば事足りることになりますが、実際の運用ではそんなことにはまったくなっていません。
例えば、広告サイズ小さく、動画の秒数が短い方が単位あたりの接触効率自体は良いですから、小さなバナー広告や尺の短い動画広告だけ寄せ集めるというようなことにもなりかねないのです。
もちろんそんなキャンペーンでは、特に長く大事に育てたいブランドなどは育ちません。

なんでそんなことが起こるかと言えば、結局「広告」の受け取り手は人間だからです。
最近テレビやネットで大量出稿されているビズリーチさんのCMが「うざい」など否定的な意見がネットを賑わせました。
ビズリーチのCMが不快で嫌いと炎上|多すぎ×しつこい×うざいとの声も
ビズリーチの最新CMが話題 ビズリーチのCMが放送中です。 企業名 株式会社ビズリーチ 商品名 ビズリーチ 出…

広告の科学的には接触量が多ければ多いほど、好感度、商品・サービスへの関心、理解、購買意向が増えると過去の膨大なデータの蓄積から証明されているのですが、「好き」「嫌い」の次元を含めて、必ずしもそうはならいのは、人間を相手にしているからです。

一点だけ言えるのは、「広告」は未来に限らず、今も昔も「脳」の争奪戦に他ならないこともまた事実であるということです。

例えば新聞メディアもテレビに対してCPMだけとれば常に太刀打ちできなかったわけです。それはそうです、紙代も印刷代も運搬、配達のコストは膨大です、電波とは下手をすれば一桁違うわけですから。
でも、新聞媒体ならではの「信頼感」や紙メディアならではじっくり読んでもらえる効果など、ならではの効果があったから広告媒体として人気があったわけです。私自身も新聞をメディアミックスしたメディアプランを散々作成してクライアントにおすすめしてきました。

やはり表面的な効率の一軸でしかものを考えられなくなったら人間の劣化ですよね。
よっぽど人間は複雑にできています。動画でもみたいしグラフィックでも訴求して欲しい。
スマホでもオッと思うけど、映画館の大スクリーンでたまに見るとグッと刺さる。
大好きな雑誌に出ている広告を思わず愛でてしまう。
いつも聞いているラジオのパーソナリティーが広告してくれると、なんか説得力あるぞ。
色々あるから難しくも面白いと思うのです。

昔から広告リテラシーが高いクライアントほどその部分への理解が深く、結果投資効果が高い広告活動で成長されてくるのを見てきました。
そんなクライアントと同士となりながら、クライアントにそんな理解をしてもらいながら、これら難しくも面白い仕事に関わり続けたいと思っています。

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