デザイナーホテルが生き延びる街。博多のオシャレ気質

出張で博多に来ています。振り返ると、なんだかんだと、毎年結構な頻度で訪問してきた気がします。

駅ビルができて以降は、天神側から博多駅界隈に賑いの重心がやや移ってきたようですね。札幌や仙台など他の大きな街と同じように、昔からの繁華街(ススキノ、国分町)から徐々にJRの駅周辺に街の重心が移っていくのは、ある意味つまらないですけれど全国共通現象ですね。やはり、鉄道会社の資本力侮りがたしというところでしょうか。

博多の魅力は人それぞれ感じるものですが、ボクがいつも驚くのは、バリバリのデザイナーホテルがまだまだ立派に現役で活躍していることです。

全国デザイナーホテルの先駆け、ホテル・イル・パラッツォは1989年。アルド・ロッシ設計ですよ。内装も内田繁さんら有名デザイナーが手がけました。

<写真:ホテル公式ホームページより>

1993年のハイアットリージェンシー福岡は、マイケルグレイブス。なんでもこの5月で運営会社のハイアットとの契約が切れて、新運営会社で再スタートするためにリニューアル工事に入っているようですね。

<写真:Wikipediaより>

1996年開業のキャナルシティ博多は、ジョン・ジャーディのグランドキャニオンを建物の内側に取り込むという大胆なデザインが今でも秀逸です。同じくグランドハイアットをメインホテルとしてジョン・ジャーディを起用した六本木ヒルズが劣化コピーに思えるほど、デザイナーの意図に忠実で、キャナルシティ博多の方が魅力を今でも感じます。外国人にも大人気なようです。

<写真:施設公式ホームページより>

このデザイナーの仕事をピュアに尊重するというのは、博多の人たちにそれを受け入れる度量があるということですよね。確かに、この3ホテルとも風俗街だったり辺鄙な場所だったり、まあなんでもありの場所だったからこそ可能だったことかもしれませんが。

実際宿泊してみると、デザイナーものの建物というのはデザインがピュアな分劣化が気に成ったりするものですが、そこら辺のメンテナンスも立派なもんんですよね。キチンとメンテナンスして頑張って維持している。イルパラッツイオのイタリア産トラバーチンの外観なんて、日本の高温多湿の気候でボロボロではないかと思いきや、十分きれい。むしろ、いい具合に年月の風合い感が出ています。日本人は、新築志向が強いのでこの程度でも、古くて嫌だと感じてしまう人も多いかもしもしれませんが、良いものがエイジンングしていく良さも確実にありますよね。

<写真:筆者撮影 トラバーチン外壁>

イルパラッツイオは、隣接する結婚式場とも連動して運営されているようですね。確かにナイスアイデアですね。ここの印象的なチャペルで結婚式をあげて、ホテルで披露宴をするという。長く建物を生かすための、愛と努力を感じます。

確かに、どれもがバブル時代ピークのプロジェクトですから、ここに至るまで経営はさぞ大変だったことと思います。グランドハイアット福岡はそうでもなかったですが、ハイアットリージェンシー福岡やイルパラッツイオは、結構長い間宿泊予約サイトでバカみたいな安値で出ていることが多かったですしね。
でも、最近はインバウンドも盛況で、むしろ宿泊費はお高いです。いいような、悪いような。出張者にはつらいですね。

何にせよ、大名から国体通りにかけては、代官山と青山と裏原を足して3で割ったようなおしゃれなお店や人が多く、おしゃれ大好きな博多っ子カタギ。
そんな街が、いつ行っても、大好きです。

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