『美々卯(みみう)』 東京全店閉店 ショックの深さ

良いお店でした。
関西発祥のお店(江戸時代の料亭とのこと)で、魚介など具たっぷりの「うどんすき」などが名物でした。
関西風のお出汁、関東風の醤油と出汁で煮立てるなべ焼きうどんはまた別のあと味スッキリ。
麺料理にして上品、上質でした。

(新宿店HPより)

おつまみも、お刺身とか湯葉、鴨の炙り焼きとか、結構あってちょっとお蕎麦屋さん的な使い方ができるお店でした。
しかもお値段が重厚なお店の割にお手頃。そのあたりも良いお蕎麦屋さんの風情。

私が何より好きだったのは、京橋と新橋レンガ通りの路面店の建物が、重厚な鉄筋コンクリート造で内装も木の無垢材がふんだんに使われていて超落ち着く雰囲気だったんですよね。まさに食が文化であることを総合的、しかも手軽に体感できる貴重なお店でした。
遅い昼とかにいくと貸切状態だったりして、贅沢でしたが、そうでしたか新橋レンガ通りのお店は一足早く閉店になっていたのですね。ちょっと食の嗜好性の変化を感じます。料亭由来のお出汁を味わう系の料理は、現代の慌ただしいビジネス街には合わなくなってきていたかもしれませんね。

(京橋店:Googleストリートビューより)

東京で似たお店で言えば「竹葉亭」ですかね。銀座木挽町の料亭が本店ですが、オフィス街に結構お店を出していました。鰻が看板ですが、賄い料理由来の「マグロ茶漬け」「鯛茶漬け」がビジネスマンのランチに人気でした。シンプルな料理がなんでこんな美味しくなるのか、驚愕の料亭パワーを感じたものです。「竹葉亭」さんも旧丸ビル、京橋店ととっくの昔に閉店し、最近では銀座四丁目のお店ぐらいですかね。そうそう京橋の「美々卯」と「竹葉亭」はすぐ近くでした。何せ、中居さんのたたずまいが昭和の上品さで、テキパキとしているのに品が良いところもそっくりだったんですよね。池波正太郎の世界というか、日本の脈々と伝わる食文化の素晴らしさを味わえるんですよね。

東京の「美々卯」さん閉店は返す返すも残念ですが、やはり食生活の変化が大きいですかね。主要顧客だったビジネスマンも、ゆっくりランチしたり、夜上品な会食する文化はずいぶん廃れてしまいましたものね。
救いは美々卯さんの場合、関西に行けば食べれることですかね。京都三条河原のお店なんかいつも観光客で大賑わいですもんね。
コロナで最後の一押しをしてしまったということだと思いますが、本当にアフターコロナの東京がどこまで寂しい世界になるのか想像もつかずにいます。

いずれにしても今の私は、なすすべもなく延焼していく貴重な文化財を眺めているような、実に悲しい気分です。

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