【第3回 Netflixがすごい】「ザ・クラウン」ヘンリー&メーガン離脱がこのドラマの一部にさえ感じられる圧倒的なリアリティー

突然のヘンリー王子とメーガン妃の英国王室からの離脱表明が世界に衝撃を与えています。
ヘンリー王子夫妻、「高位」王族引退を発表
【1月9日 AFP】(更新)英国のヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)は8日、高位王族の地位から退き、北米で過ごす時間を増やすとの電撃発表を行った。

日本の皇室では眞子様と小室圭さんとの結婚に賛否が沸き上がりましたが、例えて言えば眞子様のお相手が有色の外国人でしかも結婚したかと思ったら皇室を離脱し海外に移住してしまうような話ですから、その衝撃度がいかに大きいか察せられるというものです。
(ちなみに私個人は眞子様と小室圭さんの結婚に賛成です。)
それでも、眞子様のご結婚成就を願うたった一つの理由
金銭問題「解決済み」 小室圭さんが文書公表、説明不足を謝罪も(産経新聞)この小室圭さんの文書が発表された直後に、くだんの「男性」サイドから反論のコメントが出るなど、さらに混迷の度合いを高めそうで、本件ますます心配な状況である。すでに本サイト

メーガン妃のゴージャス、小室圭さんへのアドバイス
最もゴージャスなのは、精神の中に社会性があること美容ジャーナリストの斎藤薫さんの記事が大変興味深い。35歳、年上、バツイチ…メーガン・マークル嬢はなぜ選ばれたか?その引力の正体記事の中で斎藤氏は“大人の女性として最もゴージャスなのは、精神の

眞子様、佳子様 “ICU”卒業生に感じる芯の強いリベラリズム
ICU(国際基督教大学)を一言“有り体”に表するならば、アメリカン読者の皆さんはICU(国際基督教大学)のキャンパスに行ったことがあるだろうか。1学年800人弱と大きな高校ぐらいの規模でもあり、東京都心にあるわけでもないので実際に行ったこと

と衝撃的という文脈で語られることが多い今回のヘンリー王子夫妻の決断なのですが、 「ザ・クラウン」を現在進行形で見ていると、今回の件がいかに英国王室においてむしろ定番といっても良い、実に典型的な出来事であるかがわかります。
つまり、多くの特権と引き換えではありますが、近代社会であらゆる人に与えられた天賦の権利である「自由意思の尊重」特に「婚姻の自由」や「職業選択の自由」、「プライバシーの尊重」といった基本的人権に実質的な制限がある王室メンバーの葛藤。これが「ザ・クラウン」で描かれる一貫したモチーフなのです。

何せ、全篇で10シーズン、60話完結と言われているドラマです。基本的にはエリザベス女王の幼少期から現在進行形の現代までの時間軸で描かれる一代記ですが、この期間だけでもドラマチックな出来事にこと欠きません。
エリザベス女王の妹美貌のマーガレット王女は初恋の離婚歴がある空の英雄ピーター・タウンゼント大佐との結婚が認められず、やさぐれまくって生涯その痛みが癒えることがなかったりします。
チャールズ皇太子にしてからがこれはまさに現在進行形ですが、カミラ夫人との結婚を望みながらダイアナ妃と結婚し、結果はまさに悲惨極まりないもので、その歴史はヘンリー王子の今回の決断にも影響を与えています。

何より、エリザベス女王が女王になったことからして、エリザベス女王のお父さんであるアルバート(エドワード8世の退位により即位して国王ジョージ6世)のお兄さん国王エドワード8世(退位してウィンザー公)が米国人女性ウォリス・シンプソンと結婚のために王位を放棄したことに由来するものなのです。
かつてプリンス・チャーミングと国民的人気が高く希代のシャレものとしても歴史に残るウインザー公が老いてから、エリザベス女王に謁見するシーンは本当に奥深い歴史と感情を凝縮して感じさせるものでした。
エリザベス女王はウインザー公に対して、ウインザー公が無責任にも王位を放棄したことで、父であるジョージ6世と自分がいかに困難で苦痛の多い国王としての責務の日々を送らざるを得なかったか赤裸々に文句を言います。でも歳を重ねて王位の恩恵も感じるようになったとも言います。一方のウインザー公は老いてパーティー三昧の毎日に飽き飽きし、せめて故国に戻り公の勤めの一端でも担えないかと今さらに申し出たわけです。「あなたには国に貢献できる最大級の機会があった」と結局この申し出は認められないのですが、王位を放棄した男とそれによって女王に図らずもなってしまった女性の、その本人同士でしかわからないような機微が、なるほど彼らの会話はこうであっただろうというリアリティーで描かれます。

バッキンガム宮殿やウインザー城など本物の歴史的建築物を舞台に、自動車や調度などの美術、衣装、細部に至りっ時代考証を含めて完璧に描かれています。どれだけ予算をかけているのか心配になるぐらいです。それだけ見ていても大満足なぐらいです。

エリザベス女王を含めてまさに今に生きる英国王室の本当の登場人物の細かい癖やしゃべり方まで含めて、なるほどというキャスティングも見事です。本物の人物が今に生きているわけですから、誰がやっても違和感があるはずなのに、それぞれの王族の雰囲気やキャラクターをここまで見事に演じれるものなのかと感心してしまいます。
あまりにも感情移入してしまい、シーズンが変わり描かれている年齢も変わるとき、演じている役者さんが変わるのですが強烈な違和感を感じてしまい前に演じていた役者ロスを激しく感じたりもするのですが、それもやがて馴染んでしまいます。

特筆すべきはクイーンズイングリッシュの独特のイントネーション。日本ではあまり聞く機会がないだけに、なんとも味わい深く感じます。

とにかくヘンリー王子とメーガン妃の行動の背景を理解する上でも、(という以前に「ザ・クラウン」の今後のシーズンできっと描かれるようにも思いますが)必見と考えます。
きっと「ザ・クラウン」を見ている人は今回の出来事を王室内でのやり取りの映像とともにリアルに想像できるに違いありません。

ゴシップとして報道されてきたことの中にある歴史的真実、第2次世界大戦など歴史的な出来事や戦後の政治経済と英国王室の関わり、個人としての王室メンバーとその重い責務との葛藤。
ヒューマンドラマとして見ても、歴史や現代社会を王室の視点から描く壮大なドキュメンタリーとして見ても、絶対に大満足できる「ザ・クラウン」。必見という言葉を通り越すほどの贅沢なドラマだと考えます。

Watch The Crown | Netflix Official Site
Inspired by real events, this fictional dramatization tells the story of Queen Elizabeth II and the political and personal events that shaped her reign.

(写真:Netflixホームページより)
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