【第51回 家族に障害児がいます from N.Y.】障害者の家族になるということ    クラシエの知育菓子

うちの子の興味の幅は非常に狭いのだが、そんな彼が小さい頃から興味を引かれているのがお料理の分野。玩具というものに全く食いつきもしなかった幼児の頃、ようやく興味を示してくれたのが玩具の野菜や果物。少し手先を使えるようになり始めた頃から夢中になったのは、マジックテープで接着されてる部分をナイフで切れるタイプの玩具の食べ物。これはかなりの期間取り憑かれたようにハマっていた。我が家にはどんどんこのタイプの玩具ばかりが増え、外出すれば必ずと言っていいほどお店の中で同じようなタイプの玩具を見つけて買ってもらえなかったら癇癪を起こしてひっくり返るということを繰り返す。さすがにうんざりしていたら成長と共にまた興味の向く場所が変わってきた。次はクラシエ株式会社が販売している知育菓子に関心が向かった。きっかけは旦那が日本へ一時帰国した時、息子へのお土産を考えたことだった。どんな玩具もほとんど関心を示さない息子が興味を示すのは必ずと言ってよいほど料理の分野。今までもCooking Toyには興味を示すも他はほぼ撃沈。お土産なんていらないかなって思ったものの、やはり息子にも日本からパパが帰ってきたら何やら楽しい物を持ってきてくれたという経験をさせてみたいと思ったわけだ。まぁ状況を理解するかどうか分からないけれど何事も挑戦だ。あれこれ考えて「そういえばお菓子でイミテーションのお料理を作るものがあったような、、、」というぼんやりとした記憶を辿ってネットでサーチ。旦那に連絡。クラシエ社の知育菓子をいくつか購入してくることをリクエストし、旦那がいくつかの種類の知育菓子を買って帰宅した。

結果、息子は想像以上に食いついた。もう夢中。夢中過ぎてあっという間に全ての知育菓子を試してご満悦。正直、その頃の彼は全くと言っていいほど何も出来ない状況だった。パッケージの封は開けるけれど中身の粉をきれいに容器の中に入れることも出来ず、付属のスプーンやフォークで水と粉を混ぜることも出来ず、ほとんど作成したのは親なのだけどとても楽しそう。そして残念だけど出来上がった作品は全く食べない。だが彼は知育菓子に出会った2020年から現在までの間に信じられない数の知育菓子で彼はスキルの上達を図ったのだ。クラシエ社の知育菓子はここアメリカでもPoppinCookinという名称で、ほぼ同じ内容の物が販売されている。価格は日本の約2~3倍の金額だ。決してお安いお菓子ではないけれど、息子は我が家の経済状況なんてお構いなしにお店に立ち寄れば真っ先にお菓子売り場へ向かい、目ざとくこの商品を見つけ出す。そしてなかなか諦めない。こうやってかなりの頻度で研鑽を積んだ彼の知育菓子作成スキルは向上を見せる。同じアイテムを使い続けることの良さはスキル向上の度合いが分かることだ。間違いなく彼のスキルは向上している。最初は袋から粉を容器に移すことすら器用に出来ず、作成途中から意識が別のことに移ってしまって途中で作業を放り投げることも多々あり、出来上がった作品も彼の作品なのか親の作品なのか中途半端な状況が続いた。だが’遅いながらも彼も成長する。知育菓子を作るYouTube動画などを観て彼はイメージトレーニングもしっかりこなし、今ではパッケージの写真に近づけるほどに腕前は大分上達してきている。ADHDによる多動もある息子は集中力散漫で一つの事に集中する時間が驚くほど短いのだが、このお菓子を作成している間はかなり集中して取り組めるようになってきた。まだまだ改善出来る部分も多いにあるのだけれど、それでも彼の成長を感じずにはいられない。自分の想像性で何かを作るということは全く出来ない特性の息子だけれど、説明書と完成図があれば説明書通りに作成する能力は出てきているのだと知育菓子のお蔭で分かるようになった。継続は力なり。正にその通りという感じだ。願わくばアメリカでの販売金額がもう少し下がってくれると親としては有難いのだけれども、、、という微かな願いを付け加えたい。インフレの世の中、値下がりを願うのは難しいのだろうなぁ、、、、。

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