【第27回 家族に障害児がいます from N.Y.】手先が不器用なんてもんじゃない

子供が小さい頃は、その不器用さが何をやっても可愛らしく見えるものだ。しかし子供の脳の発達と共にその不器用さが徐々に消えて行き、当たり前の事を普通にこなしていくようになる。当たり前とは普通に洋服を着たり脱いだり、ハサミを使ったり鉛筆やクレヨンで絵を描いたり色を塗ったり、髪の毛を梳かしたり歯を磨いたり。そういった一見何のスキルも必要に見えない当たり前のことを、当たり前のスキルとして自然に会得していくのが順調な成長曲線に従って成長している健常児と言われるお子様達。
方や我が子のように知能の遅れがみられる子供の場合、その当たり前だと思われている行動の全てが大いなる挑戦となるわけだ。道は険しく長く、そして絶対にゴールに辿り着けるという保証もない。洋服の着脱に関しては5歳くらいには出来るようになっていたように思うが、服の前後などを理解するのはもっと後。ジッパーを上げたり下げたり、ボタンを留めたり外したりするのはボタンなどの大きさによっては現在も奮闘中。ハサミで真っ直ぐに紙を切れるようになったのは6歳以降。それも本当に真っ直ぐに線上を切ることは難しい。曲線やジグザグの線上を上手に切ることは今でもかなり難しい。上級者レベル。髪の毛を梳かすことや自力での歯磨きなどは日々訓練中。一人ではでは出来ない。歯磨きなどは彼の目の前で一緒に大きな口を開け私が歯磨きしているのを見せながら真似をさせているのだが、歯ブラシを適度な角度で歯に這わせるように磨くというのが難しいようだ。なので未だに歯磨きも髪を梳かすことも親頼み。そんな風に全ての動作に付随する手先に関わる動きに大きな問題を抱えている息子だが、なぜかスマホやタブレット上の検索欄に文字をタイピングすることだけは上手だ。スピードもなかなか速い。やはり自分の興味があることに関しては意識が違うということだろうか。タブレットを操作して自分の観たいものを検索したいという欲求が彼の能力を最大に引き出しているのは確か。スマホやタブレットの操作に関して教えたことはただ一つ、広告が出たら5秒待つということだけ。それ以外はほぼ何も教えたことがないのにタブレットを滑らかに操作している。そんな感じでスルスルと靴紐が結べたりしないだろうか?などと夢想してみるが現実とは常に現実だ。目の前の息子にやって見せ、褒めてやってアシストし、色々試すも成功せず。。。涙 文字を書く練習もなかなか上手には進展しない。一つの単語を書くにも文字と文字間隔が開きすぎていて、文章になると何を書いているのか全く分からなくなるレベル。単語と単語の間に間隔を開けるということをタブレットなどに入力するときには出来るのに、紙の上に書くと全く出来なくなるというのは本当に不思議。そもそも鉛筆を正しく握るという行為すらなかなかにハードな課題だ。もちろん色鉛筆やクレヨンを使って絵に色を塗るなんて行為もハードルの高い行為。まず色塗りに全く関心がないのか、対象の絵の輪郭をしっかり把握していない。いつも絵の輪郭線を超えて一色で雑にクレヨンを紙の上でこする感じ。2色使いをしているのを見たことは1度だけ。基本的にやっつけ感満載で色塗りするという感じ。全然楽しくないのは一目瞭然。ただでさえ一つ一つのことを教えるのは困難なのに興味のないことをやらせるのは指導以前に難しい。こんな手先の細かい動きに問題を沢山抱える息子を励まし指導してくれるのがOT(occupational therapists)である。OTには2歳の頃からお世話になり、現在は学校で1回30分のセッションを週2回受けている。

Mari KanezakiによるPixabayからの画像

ハサミを使って色々な線に沿って切る練習だとか、絵の枠内に収めて色を塗る練習だとか、一定の範囲内に文字を書く練習等々。現在目標においているのは靴紐を結べるようにすること。こういった手先の動きを必要とする動作の訓練を毎年の目標に向かって地道に頑張ってくれている。家庭だけではなかなか上手くいかないことを、専門的な指導方法で根気よく教えてくれている。
スピード感としては亀どころかカタツムリレベルかもしれないけれど地味に進歩しているのも確か。余りにもゆっくりだから見逃すことのない成長レベル!これからも日々訓練を行い、成長を感じることが出来ることを願いながら粛々と生きるのみ。毎日が修行!!

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