目の錯覚で空席が目立たない、新国立競技場の座席仕様

スポーツイベントを運営するサイドの視点で結構頭が痛いのが、空席問題です。

もちろんオリンピック開幕式やワールドカップクラスのビッグイベントでは空席というものはあまり考えられないのですが、例えばJリーグの試合などではスポンサー向けの席などにまとまった空席ができてしまい問題になることが良くあります。

広く知られているように、年間何億円という協賛金を払っているオフィシャルスポンサーなどは、その対価として各種の看板や社名露出の他、試合のチケットを相当数提供されることになっています。
このチケットをスポンサー企業は自社の顧客向けプレゼントなどとして営業活動に活用するわけです。お客さんも喜ぶしなかなかに実用的な仕組みなのですが、とは言えスポンサー活動も長年に渡りますし年間スポンサーともなれば結構な試合数、枚数のチケット数になりますので、そのうち渡す先も何巡もしてしまいますし、社員にしてももう何度も行きましたという贅沢な状態になりやすいんですよね。そもそも、満遍なく必ず見に行くだろう方に、チケットを渡していくだけでも結構な仕事になりますので、往々宣伝課長や営業部長の机に大量にチケットが滞留してそのままになりやすくもなるわけです。
そうすると、試合会場で何が起こるかというと、スポンサー向けの座席エリアの一角がポッカリ空席だらけになったりするのですよね。これで会場全体が空いていれば目立たないのですが、人気カードで会場全体が満員だとやはりとっても印象が悪い。運営側としては避けたい事態ですので、スポンサー企業には空席を作らないよう運用して欲しいと再三お願いすることになるわけですが、上記のような物理的、技術的負担もあったなかなかそうもいかないわけです。そもそもスポンサー企業もお客さんに絶対何があっても会場に行ってくださいねとまで念を押せませんしね。

ということの対策もあって、新国立競技場の座席のカラーリングは生まれたに違いないのです。

(写真:日本スポーツ振興センター)

座面が何色かの色で、一見ランダムに色が分けられていてテレビ画面などを通すと、誰も入っていない会場も満員のように見えるのです。まして、何割か人が入っていればさらにその目の錯覚効果は抜群ではないでしょうか。何せ国立競技場のキャパシティは6万席という巨大さですから、満員にならないイベントも多数実施されるわけですから、結構大事なポイントです。

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