
失われた30年でジャパンアズナンバーワンの地位からジリジリと脱落してきた日本は、ご存知の通りの長期デフレ状態で気が付けば、世界と比較してなんでも安い国となっていたということなんですよね。
この世界と比較して安いという文脈、どうしても為替の影響を抜きには語れないお話ではあるのですが、もはや為替関係なくなんでも世界の主要国よりモノやサービスの値段が安くなってしまったということなんですよ。
確かにこの期間、日経新聞や日銀はデフレデフレと大騒ぎしてきましたが、生活者にとっては正直安くて何が悪いんだい?というお話ではありました。
実際、この30年間国際的な競争力は落ちていく歴史だったのでしょうけれど、実感として何でも安くて生活はしやすかったですよね。
まず食べるものにまったく困らない。外食でも500円以内から立派に吉野家の牛丼も讃岐うどんも食べられますしね。ちょっと奮発して一人1万円もはずめば、相当豪華なディナーだって楽しめますしね。一方で、ギリギリまで節約したい人も、お豆腐、玉子、納豆、もやしなど色々強い見方が勢ぞろいしています。
Masashi WakuiによるPixabayからの画像

じゃあ困ることなんかまったくないじゃないかというお話なのですが、ジワジワと世界の値段と日本の値段ギャップは、日本の買い負けというかたちで現れてきています。
最近では魚など、世界的な消費増の中日本が買えないものもずいぶん増えてきているようです。
何より、今日の日経新聞にあったNetflixなど世界的なメディアプラットフォームは、どんどん日本人にとっては高いものに感じられるようになってきています。
地上波ならば4000万世帯、WOWOWで280万世帯、ゴルフネットワークに至っては万単位あれば良い方だと思います。基本、中継権はそのカバレッジ=放送対象世帯数で決まりますから、地上波にとってもちろんコロナやオリンピックという特殊事情もありますが、一部のコアなファンはともかく大多数の視聴者向けでもないゴルフコンテンツを高額で買い付ける余裕はないということに違いないのです。

確かにこんな状況がジワジワと拡大していけば、日本人は海外の一流のコンテンツや、モノ、サービスに触れられ、享受できる人はますます限られ、多くの人が国内で調達できるもので満足するしかない時代に間違いなくなるに違いありません。
ところで考えなくてはいけないのは、それが悪いことかどうかということで、もしかしたら多くの日本人は無意識にそんな未来を選択しているのかもしれません。
巷では”エフォートレス=頑張らない”ファッション全盛ですが、そりゃあ確かに頑張らなければ海外旅行にも行けなくなるかもしれないし、輸入モノも買えなくなるかもだけど、もういいよ。別にあくせくしたり、競争でギスギスするより、まったり行こうよと考えている人がずいぶん主流派になったように思います。
例えば今回のオリンピック中止論の盛り上がりなど見ていても、コロナを割り引いても前提としての世界的大会限りなくテンションが低いというか興味がない空気を感じます。

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