【第23回 家族に障害児がいます from N.Y.】自傷行為

知的障害のある自閉症の人の中には、不快なことや不満があった時などに自傷行為をする人がいる。我が子がまさにそのタイプ。一番最初に彼の自傷行為を目の当たりにしたのは、彼がまだ1歳の頃。まさか自分の子供が自閉症だなんて全く考えていなかった頃の話。よちよち歩きでお散歩を楽しみ始めた頃だったけれど、なかなか彼が気に入るような遊びが見つからずに途方に暮れ始めていた頃。何がきっかけだったのか覚えていないけれど、突然息子がアスファルトの道路に頭を打ち付け始めて唖然としてしまったことを覚えている。あまりにもビックリして、しばらく呆然と頭をガチガチと道路に打ち付ける息子を見下ろしてしまった。「これって普通なの?」と、もの凄く大きな疑問符が自分の中で膨れ上がった一番最初の出来事だ。その後も2歳の頃にもう一度だけ、道路に頭を打ち付けられたことがあった。近所のプリスクールに見学に行った時、彼は初めての場所に大パニック。あまりの泣き叫びっぷりに園内に入ることも出来ずに退散。しかしその帰り道で荒れ狂いながら走りだしたと思ったら、いきなり膝まずいて道路に頭を打ち付け始め、慌てて止めに入るがなかなか止まらず。通りかかった男性に「God bless you」と言われる始末。額から流血するんじゃないかと思われる勢いだったけれど、流血もなくコブも出来なかったのは奇跡と思われた。道路に頭を打ち付けるような過激な自傷行為はこの2回だけしか記憶にないけれど、それ以降は癇癪を起す時に自分の手や指を噛むように。その噛み痕は、今ではとても固い噛みだことなっている。そしてある時期から自分の頭を叩くという自傷行為も行われるようになった。泣き叫びながら思いっきり自分の頭を叩くのだ。更にテーブルや壁、叩けるものを平手でバンバン何度でも叩く。手を嚙みながら壁をバンバンと飛び跳ねながら叩くという複合技まで披露してくる。マジでうるさい。うるさ過ぎてこちらの精神も真っ当ではいられない状況になってくる。何にせよこの自傷行為というのは、自分自身の気持ちを言えない、伝えられないフラストレーションから発せられる行動なのだとは思う。しかし難しいのはその原因を突き止めることだ。何で怒りを爆発させているのか教えてくれるのだったら問題無い。次回からその原因となっている行為やら現象やらを避ければ良いのだから。しかし相手は物言えぬ自閉症児。前後の事象や行動から原因を探り当てなければいけない。理由はルーティーンを破られたことなのか、お腹が空き過ぎているのか。それとも疲れ過ぎているかもしれないし眠いのかもしれない。具合が悪かったら大変だ!最初はあれこれ心配になったりしながら、なるべく優しくどうして泣き叫んでいるのか聞いてみたりするのだが、相手から返答があるはずもなく、、、ただただ激しく泣く声と、自分自身を叩いたり噛んだりしながら飛び跳ねている息子の安全確保をしながら、こちらのイライラも増してきて最終的にはイライラして癇癪を起している息子に対してこちらがキレるという構図になってしまう。本当にこの状況に慣れることはなかなか難しい。

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彼を早く落ち着かせる魔法でもあればいいのだけれど、そんな魔法は未だに見つからない。小さい頃はCostcoで買った大きなクマのぬいぐるみの胸に飛び込んで泣き喚いているうちに疲れて眠る、という有難い奇跡が何度もあったけれど、大きくなってくると彼の癇癪の理由も幅広くなってくるし、ぬいぐるみのクマだけでは癒されない。伝えられない自分自身の状況に悶え苦しんでいる息子の気持ちも分かるけれど、自傷行為の理由も原因も良く分からない上に、激しい癇癪に耐えなければいけない私自身の精神状態も危ない!「話せばわかる」と言ったのは犬養元首相らしいが、話しても分からない人がいるのは確か。話して分かる人だったら苦労しない。言葉が通じ合うって凄く便利。例え言語が違くても、分かり合おうとする知力があれば通じ合うのだがうちの子はだいぶ違う。互いを理解し合えるには長い長い、そして高い高い道やハードルを乗り越えて、私が死ぬまでに半分でも理解出来たら上出来ではないだろうか。

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