【歴史的勝利観戦記】100年に一度の快挙。松山英樹マスターズ優勝を喜ぶ。

振り返ってみれば、ザンダー・シャウフェレ、ジョーダン・スピース、、ジョン・ラウムとメジャーUSPGAのトップ選手が上位にずらりと追撃の体。一時は6打差あったリードが15番のセカンドを松山選手が池に入れたことでシャウフェレと一気に2打差に縮じんだ瞬間には、最悪の事態が頭をよぎりました。
すなわちゴルフ史上最悪級の悲劇と言われる、バンデベルグの悲劇。最終ホールを3打リードで迎えたフランス人の有名とは言えなかったジャン・バンデベルデが全英オープンの優勝に向けてそして一躍スターになるまであとわずかというところからの
クリークからのクリークのミスをしてしまい、決定的と思われたメジャー勝利を逃してしまうというあの出来事が、必勝を願うあまりどうしても避けて欲しい不安のイメージとして頭をよぎってしまったのです。
それほどにメジャーに勝つということは尋常じゃない何かを克服しなければ難しいことを何度も何度も思い知らされてきました。
しかもマスターズはメジャーの中のメジャータイトル。

でも、やはり松山英樹は真の王者でした。簡単には勝たせてくれないメジャーの得体の知れないプレッシャーを最後にはねのけました。上がりの18番ピッチングウエッジでの一打をバンカーに入れてしまった松山英樹のショットとしてはありえないミスの瞬間、そこまで短いアイアンやウエッジの鋭過ぎる切れ味を見せつけられてきただけに、やはりプレッシャーだろうとまだまだ不安のイメージを拭えないでいました。
 
上がってみれば最大6打差のリードがわずか一打差。
本当に、心身ギリギリを粘り抜いて勝ったことを、物語っていました。

やはり、オーガスタナショナルのタフさが、どんな状況でもイージーパーを許さない。振り返ってみれば、松山英樹のプレーは神がかったようなイマジネーションと技術、繊細さと大胆さ、慎重さと果敢さ、あらゆる相反するような感性が高次元で融合した人間にだけ許されるものでした。

そしてとにかく苦しいときに諦めない精神。特に最終日はボギーを打った後のバーディーいわゆるバウンスバックが2回。ミスショットのあと、例えば池ポチャの15番あとのリカバリーなど痺れる場面でしのぎ切ってのナイスボギーまでで抑えるメンタルにこそ凄味があったと思いました。

とにかく、今やダスティン・ジョンソンやブライアンデシャンボーなど、筋骨隆々の大男が破壊的なパワーで他を圧倒する世界最高峰の全米男子ツアー。その中に真正面から入っていって、肉体改造から取り組んでのストロングスタイルというのもスゴイことだと思います。引き合いに出してはいけないのでしょうが、やはり石川遼選手など同じ時期にチャレンジしながらも諦めざるをえなかった選手も多いわけですから。

見ていて恐怖を催すような飛距離。セカンドショットでクリーク越えの200数十ヤードのグリーンオンを平然とアイアンで攻めてしかも狭い落としどころにビタッと攻めていく世界は、もはや我々アマチュアには参考にもならない次元ですが、そんな雲上界のど真ん中勝負をかけてきた日本人、しかもその中でも最高峰中の最高峰マスターズで優勝という快挙は、返す返すも歴史的なものという他ありません。

失われた30年と言われ、かつての経済面での圧倒的優位のポジションから陥落しあらゆるフィールドで自信を失う日本。スポーツやエンターテインメントの世界でも、人口半分の韓国勢の世界での活躍を指をくわえて見ている瞬間さえも増えました。

ちょっとムッツりしていて無愛想にさえ感じられる松山英樹のキャラクターですが、文字通り”一所懸命”、一つの道にひた向きに努力すれば、まだまだ日本人もどんな領域でも圧倒的な存在になることができると教えてくれたと思います。

テレビ解説の中嶋常幸さんや宮里優作さんも何度も「ありがとう」と言っていましたが、まさに「ありがとう」というのが筆者自信も一番本音で伝えたい言葉です。

ありがとう松山英樹。

(写真:マスターズ公式ホームページより)

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