青山商事予想を上回る希望退職者の苦境。それにしても思い出されるプラダの先進性

青山商事とプラダまったく関係がないお話のようなのですが、スーツを素材から見るとコインの裏表のような関係だと思えます。

要は、スーツにストレッチ素材を大胆に導入したパイオニアはミウチャ・プラダ。恐らく20年以上前のミラノコレクションが最盛期だと思います。
おなじみのナイロンのバッグも当時新鮮だったわけですが、彼女はスーツにも化学繊維を大胆に採用しました。
当時”安物”という印象が強かった化学繊維のスーツですが、繊細なカッティングの妙もあってストレッチ性を生かしたミニマムでタイトなプロポーションは本当に恰好が良かった。それにしてもお高いわけですが。特に日本ではスーツで40万円ほどでしょうか、ミラノでは半額以下程度とは言えまさに貴族にして共産主義にも傾倒した経験のあるという反逆児ミウチャ・プラダならではのコレクションラインのプレミアムブランドだったわけです。

その後時代は流れて、ストレッチ素材は本当に身近な存在になりました。代表的にはユニクロのエアリズムでしょうけれど、伸縮性に富み、肌触りもどこまでもサラッとしていて快適な素材はもはや手放せません。ユニクロ以外にも、スポーツブランドや最近ではワークマンなどワーキング系やアウトドア系のブランドでも、ストレッチ素材の機能性に着目した製品がたくさん開発されていて本当にうれしい時代です。
スーツも、かつてのプラダ10分の1の値段で、カッコ良いストレッチ素材のスーツが手に入ります。やはり化学繊維はウール時代の職人技の縫製や微妙なアイロンが不可欠な製造工程が不要で機械生産にも向いている分、値段も違うのだと思います。

振り返れば、スーツは快適性を追求してきた歴史。シャネルはジャージ素材を使うことで働く女性を支援し、アルマーニは芯地のないソフトなスーツで快適性を追求しました。
が、着れば体感しますが、やはりストレッチ素材に勝る快適なスーツはありません。

その点、青山商事さんはじめとする量販スーツ各社さんやはり対応が遅れましたよね。

コロナが状況を加速度的に悪くさせたわけでしょうけれど、もともと厳しかったわけです。

紳士服大手の青山商事(株)(TSR企業コード:720045720、福山市、東証1部)は2月22日、12月から募集をしてきた希望退職の応募が609人に達したと発表した。募集は400人程度だったため、計画より約200人多い。
今期(2021年3月期)の特別損失として約40億円を計上する。応募者の退職日は5月31日。

新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの浸透などで通勤着やビジネスウェアの需要が減少し、昨春以降、業績不振に陥っている。
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もちろん、お店を見ればストレッチ素材を採用したスーツも最近では多く扱っているわけですけれど、デザインはウール時代の印象も強いコンサバティブなもので、それが”正しい服”としてのスーツ量販さらしさでもあるわけですが、やはり古い感じは否めません。

少なくともストレッチ素材を軸にしたデザイン面での大幅なテコ入れが必要ではないでしょうかね。まだまだ、日本の会社の標準服を提案するパワーがある企業体だと思っていますので、がんばって欲しいと考えています。

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