
レガシーメディアの東洋経済とヤフートピックスにも転載されたビジネスインサイダーで真逆論調の見出しなところが面白いですね。
この市場環境でも、広告事業を伸ばしているところは頑張ってるなあと素直にスゲーと思います。
(出典:サイバーエージェントホームページ)
Newspicksのコメント欄などを見ていると、サイバーエージェントを電通、博報堂と比較するコメントが多いのですが、
あまりレガシー広告会社サイドはサイバーエージェントとの競争軸ではモノを考えていないように思います。
これは別に舐めているとか苦し紛れとかという意味ではなくて、いくらネットメディアの売上比率が上がっているとはいえ、
言うても旧来の大手広告代理店はクライアント企業のAE、マーケティングパートナーというポジショニングで仕事をする生業です。
ネットメディアだけで商売をしているわけではありませんし、メディアバイイングだけとってもまだテレビの方が大きく無視できません。
種目別でネットメディアだけ見れば、確かにサイバーエージェント年間約2500億円で博報堂と同程度、電通は事業会社としてのこの領域売上1500億円もありません。電通の場合グループ経営という事情もあっての数字ですが。
何にしても電通はテレビが6300億円、博報堂は4100億円ですし、メディアだけじゃなくクリエイティブだマーケティング、プロモーション領域を考えれば良くも悪くもネットメディアだけ上手く対応していれば良いというものでもないのが実情です。
もちろん、まだまだメディアのネットシフトが進むでしょうから、ウカウカしているとサイバーエージェントとクライアント企業のAE、マーケティングパートナーを争う時代が来る未来はあり得るでしょうが、AEの立場はADKでさえなかなか多くは取れていないことを考えるとそう簡単な話ではありません。
私がサイバーエージェントでずーと注目しているのは、メディア事業です。
具体的に言えばAbemaTV事業です。
その好調な業績を勝負師藤田さんらしく、全ツッパしつづけているわけで赤字を出しながら頑張っているわけです。
(出典:サイバーエージェントホームページ)
ビジネスモデルの支配者がGAFA始めとしたグローバルモデルを前提にした事業者なので、日本と言う世界から見れば非常に小さな市場では損益分岐の閾値を簡単に超えがたいわけです。


そこは、すでにAbemaも分かっていて、ぶつからない日本独自の良い意味狭い領域、麻雀とか競馬、釣り、政治などのニッチコンテンツで勝負しようとしているようですね。
巣ごもり視聴もあって、直近67%増は立派ですが、シビアに言う人もいます。
とは言え、そのニッチ領域と言えば大競合相手がユーチューブなんですよねこれが。私なども、ほとんど最近ユーチューブかNetflix、AmazonPrimeしか見ていません。
しかもユーチューブは無料コンテンツ。日々アップされるネタや切り口は、まさに無数のクリエイターが今後も怒涛のコンテンツで押し寄せてくるわけですから、なかなか厳しいモノがありますよね。
そもそもネット上にテレビチャンネルを作る的な構想に無理があったように思わなくはありませんよね。ネット上で我々は、ユーチューブはじめあらゆるコンテンツを自由に動き回りますので、AbemaTVという小さな枠にとどまる意味を感じません。地上波時代はそれしかないから仕方なくチャンネルをポチポチしていただけですからね。
と、私はずーとビジネスモデル的にどうなんだろうと懐疑的ではあるのですが、
newspicksのコメント欄を見ていると、AbemaTVいいじゃん!Abemaばかり見ているというファンの声も散見しますので、みんなが寄ってたかる一大プラットフォームになるとは思いませんが、固定ファンの一定数いる日本では大きい方のネットメディアとして黒字化する水準にはほどなく達するのかもしれませんね。
それにしても今までの投資を回収するのにはなかなか時間がかかりそうだと思います。
なんかシニカルな記事になってしまったようですが、真意は逆で、サイバーエージェントのチャレンジは本当にスゴイとりスペクトしつつ、これほど日本で一番勝負しているメディア投資でさえなかなか厳しいのにいわんや誰が本当の意味で勝てるのか?と思ってしまうのです。
いやもちろん新規参入の若手にとっては参入可能な新市場でバラ色と感じるのでしょうけれど、かつてのメディア業界は触るものすべてを黄金に変えたと言われる女神ミダースのごとしでしたから、なかなかしょっぱくも感じます。
ということで、英語圏に参入しがたい日本人が今後もグーグルやNetflix、Amazon,Disneyの手のひらで転がされる他ないかもしれない未来。
かつてのように良くも悪くも日本独自のメディアビジネスモデルでガッツリ稼げた時代から、グローバル大手が決めたグローバルスタンダードな相場観の薄いおこぼれで満足せざるを得ない日本のメディア環境の変化に、メディアビジネスの良い時代を知るものとして暗澹としているということとご理解ください。
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