【第19回 家族に障害児がいます from N.Y.】排便に関するトレーニング

道のりの長いトイレトレーニングだが、まだまだ現在進行形でトレーニングは続行されている。その中でも排便に関するものには大分長い間苦しめられた。現在では排便行為をトイレで行うことに関してはほぼ問題なく実行されており、問題はその後始末を教えることに四苦八苦している状態である。でもまぁここまでくれば、あとは地道な訓練を繰り返すことなので以前ほど苦悩することはなくなった。しかし7歳くらいまではほぼ毎日、彼の粗相した後を掃除したり汚れた衣類を洗ったり、と本当に殺意を覚えるほどに彼の排泄物の後始末に追われてばかりだった。オムツを履いていた頃はさほど大きな問題ではなかったけれど、オムツの中で排泄をすることを嫌がるようになってからが大変だった。いつでもどこでも、便意を催したらその場でパンツをずり下して排便をすることがずっと続いた。家の構造上、キッチンのシンクに向かって家事を行っていると、その他の部屋にいる息子の様子が見えないので、何をしているのか全く分からないという難点があった。

Monoar Rahman RonyによるPixabayからの画像

息子は人に助けを求めたりすることが無く、排便をしてお尻が気持ち悪かったりすると自分で何とかしようとし、更に事態を悪くするという傾向があったので、事故は早めに見つけて速攻で処理することが求められた。皿洗いなどを少し進めたらマメに息子の様子を確認に行く。そういう行動を繰り返さなければいけなかったので、家事も集中して行うことが出来なかった私のイライラは倍増。更にマメに様子を見に行ったところで事故を未然に防ぐことはほぼ不可能で、大体は惨劇後の現場を目撃して絶叫ということの繰り返しだった。発見が遅くなった場合、最悪は物体を踏まれて茶色い汚れがあちこちに広がってしまっていることがあったりして、そんな時にはもう「トイレトレーニングは怒ってはいけない」なんてセオリーは完全に頭の中から吹き飛んでいる。そんなことが毎日、日によっては1日のうちに何度も繰り返されると本当に嫌気がさすものだ。親も人間、仏ではない。しかし不思議だったのは、排尿はほぼ完璧と言っていいくらいにきちんとトイレで出来るのに、なぜ排便だけをあちこち色んな場所でしてしまうのか。しかもかなりの頻度でパンツにちょっとだけ便がついていたりする。いつでもどこでも排便しようとしているということは、便が上手く出てこない状態なのではないだろうか?と思いついた。そこで彼の様子をよ~く観察してみることにした。

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観察が大事

私は時々、育児をしているのか動物飼育をしてるのか分からなくなる時がある。我が子は人間だが自分の不調を訴えてくることが無い。それは訴えるという知恵がないのか、訴えることが出来ないのか、正直未だに良く分からないのだけれども、取り合えず彼に関する体調のあれこれについては、ただただ観察あるのみだと思っている。それは多分、動物園などの動物の飼育に近い部分があるのではなかろうか、と時々考えることもあるくらいだ。`しっかり、じっくり息子の様子を観察してみる。すると便秘気味だから排便がすんなりと出来ずに、彼自身も困っているのではないだろうかと思いついた。トイレでスッキリと排便出来ないから、お尻が気持ち悪くて常にいきんでいる形になっているのかもしれない、、、と思い当たった。そこでまずは子供の便秘について調べる。繊維質の多いものを与えたり、水分をしっかりとらせたり。インターネットで調べると色々な対策が載っているのだが、我が子は生憎結構重めの自閉症児。偏食も酷いし、飲み物も水と無糖の麦茶やほうじ茶しか飲まない。残念だがネットのアイディアを拝借出来る部分は限られている。残念ながら便秘にきく薬も飲まない。上からが駄目なら下からはどうだろう。ということで浣腸を試してみることにした。薬局で子供用の浣腸を購入し、息子を寝転がしてひと思いにブスッと行ってみた。効果はてきめん。これで便通も良くなってくれれば、、、と願ったけれど、結局またしばらく経つと同じ事の繰り返し。浣腸もそうしょっちゅうやる訳にもいかないだろうけど、何だかスッキリしない排便で不快だろうに、、と思うと息子の便の様子が気になって、気になって。りんごやマンゴーなど繊維質を含んでいるであろうフルーツ類を良く食べ、水分も適度に取っていると思うのに便通は快調ではない。どうしたらいいのか困り果て、あまりにもスッキリ排便が出来ていないと思われる日が続いた場合、敢え無く浣腸をお見舞いするという日がしばらく続いた。そのうち息子も浣腸を極度に嫌がるようになり、これもなかなか上手くいかなくなる。困り果ててき始めた丁度その頃に息子の定期健診の日がやってきた。

やはりお医者さんに相談が一番

検診の最後に息子の便通のことについて相談。浣腸を使ったりしていることを伝えたら、それはあまり勧められないから代わりにこれを飲ませなさい、と処方箋を出してくれた。処方された薬の名前はPolyethylene Glycol。無味無臭の粉末で、飲み物に溶かすだけで大丈夫だという。処方薬ではなく市販品としても売られている一般的な便通に良く効くお薬だ。早速薬局へ行って購入し、息子へ与えてみる。薬というものを一切受け付けない我が子だが、この薬は全く味がしないので問題なく飲んでくれた。そして効果もてき面!排便がスムーズに行くようになったらあら不思議、排便の失敗も徐々に減り、気付いたらちゃんとトイレできちんと出来るようになっていた。無駄にイライラしたり怒ったりしていたけれど、ちゃんと原因を見極めなかった自分を多いに反省した。トイレの失敗が減ると共にこちらのストレスが激減し、息子に対しても声を荒げることも大分減ったので、双方供に穏やかな気持ちで過ごせる時間が徐々に増えていった。トイレの問題は日々必ずあることなので、本当に大きなストレスになる。老人介護の現場でも、排泄問題が出てくると介護の負担が大幅に上がるのは想像に難くない。一時は家中がトイレになったような気持ちになったものだ。トイレトレーニングの渦中は先が全く見えない不安というトンネルに閉じ込められた気持ちだったけれど、トンネルの先に光が見えただけで希望が持てるようになる。希望が持てるだけでも有難いと思えるようになった。たかがトイレされどトイレである。私は子供を一人しか育てていないが、実感としては子供3,4人分くらいのトイレトレーニングをやったような気がする。もう二度とやりたくないというのが正直な気持ち。
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