「田園調布」「成城学園」が成功者の住所でなくなった理由

ちょっと面白い記事を読みました。

「赤坂の繁華街の裏手には高級タワーマンションが立ち並んでいます。社長のステータスが、閑静な住宅地の一戸建てから繁華街の高級タワマンに変わっているのでしょう。都心のタワマンはセキュリティを重視するところが多く、コンシェルジュも常駐している。社長の世代交代も進んで、そうした自宅を選ぶトップが増えているのだと思います。今回の調査では分譲か賃貸かは把握していませんが、そうした自宅は賃貸というケースも多いと思います。社長が賃貸に住むというのも時代の変化ですね」
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確かに、昭和の時代は「田園調布」「成城学園」が成功者の証だった時代がありました。
「田園調布」と言えば、ミスタージャイアンツ長嶋茂雄さん。
「成城学園」と言えば、石原裕次郎さん、石原慎太郎さんなど映画スターや作家のイメージです。

実際に街を歩いても、一時期は観光ツアーがあったほど、腰を抜かすような大豪邸が立ち並んでいて、なるほどさもありなん。
という立派な街並みです。

(写真:AC)

日本離れしたお屋敷街ですから、逆に駅前の商店街や飲み屋街のようなものはあまり多くなく、ちょっとオシャレなケーキ屋さんやカフェ、パン屋さんがポツリポツリという風情もまた、ほとんど屋敷の主は電車に乗らないだろうことを想像させます。
そうそうということで言えば、銀行だけは駅前に全行そろい踏みで笑ってしまいます。確か、三菱UFJ銀行にいたっては「成城学園前」駅に統合前の店舗のまま2店舗向かい合っていたりします。
分かりやすいですね。

誰もが羨む立派な高級住宅街ですし、実際に日本離れした広い敷地、整備された道路。今でも人気があって良さそうなものですが、現実には確かに私がもし今「田園調布」に豪邸を建てるお金をもっていたとしても、タワマンが良いかなと考えてしまうのも事実です。

理由はいくつかあるのですが、
一つは、やはり日本の強烈な相続税制度で、さすがの「田園調布」も相続の度に敷地が分割されるようで、今や昔の豪壮さが感じられなくなりつつあるということがあります。「田園調布」町内もここ20年ほどで、特に端っこの方は敷地が5分割されて昔では考えられない狭小敷地の建売一戸建てさえ目に付くようになりました。これではわざわざ「田園調布」を選ぶ理由がありません。

第ニに、長嶋茂雄さんや石原裕次郎さんの時代に比べて、超高層集合住宅の企画・設計・建築が各段に進化したこと。
確かに、1971年竣工の「三田綱町パークマンション」にはピアニストの中村紘子さんが住み、誰か大臣でもいるのでしょうポリボックスがいつも立っているぐらいですし、1987年竣工の「広尾ガーデンヒルズ」には今もまさにあの人がという著名人が多く住んでいるわけですが、やはり一昔前はそれほどのセレブリティが住むだけの物件が少なかったのも事実です。
でも、時代は進み、豪華でセキュリティ万全のまさにお金持ちや社会的ステータスがある人向けの大規模集合住宅もグッと増えました。

第三に、そりゃあ開発当時の「田園調布」や「成城学園」は快適な「田園都市」。つまり仕事の場であるアーバンから逃れて緑と自然あふれるサバーバンに住む理想的な場所だったのでしょうけれど、その後の「田園都市」コンセプト劣化バージョンの大量コピーは、狭小で混雑したドーナツ化現象だけを東京にもたらしました。そのデメリットは、小田急線や東急線の常軌を逸した混雑を見れば明らかで、現役バリバリ運転手付きの旦那様は良いでしょうけれど、家族だって大変です。

最後に言えば、上記の理由を含めて、世の中の人の常識が変わってきたということが一番大きいかもしれません。
やはり成功者は体面を非常に重んじます。昭和の時代、一人前の成功者はやはり土地付きの一戸建て注文住宅というカッコたる共通認識がありました。
でもそんな常識も崩れつつあるように思います。成功者の属性もIT起業家などずいぶんと変わりましたし。

やはり、時代は移ろいいくもの。
過去の時代の素晴らしいライフスタイルも素敵だと素直に憧れますが、私個人は未来志向のライフスタイルを追求したいと思っています。

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