テレビメディアの劣化っぷりが恥ずかしい 渋野日向子へのお菓子手渡し事件

高身長で手足が長く、しなやかな筋肉がまさにアスリートという原英莉花の見事な優勝。
同じく、アスリート的迫力満載の笹生優花や渋野日向子の活躍。
一方で、150cmそこそこの身長にもかかわらずとんでもない飛距離に、キレのあるショットで我々を驚かす。古江彩佳や西村優菜、小祝さくら。
体格がすべてじゃないからゴルフは面白い
この記事を女子公式戦「日本女子オープンゴルフ2020」最終日をテレビ観戦しながら書いています。 前半終わって、絶好調-13の原英莉花と、1日目、2日目と好調だった小祝さくら-9で4打差とかなりありますが、3日目もツーサム最終組の二...

伝統のメジャー大会、今年の最終戦にふさわしい緊迫感のあるレベルの高い 「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」だっただけに水を差す騒動という他ありませんね。
ヤフートピックスでも関連記事に数千件のコメントがついていましたが、多くは「競技の真価を理解しないテレビ局の軽薄さ傲慢さ」を憤る声が多かったです。渋野がお菓子を受け取ってしまったことに対しては「軽率」という声と「残念だが仕方がない、理解できる」という厳しい意見、擁護の両論が並んでいました。

渋野がロッカールームで泣いていたという話もあるので、渋野のいい人キャラにつけ込んだヤラセ未遂ではないかという疑念さえあります。
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この問題についての私の感想はまさにヤフコメ欄の意見とまったく同様でしかありませんが、
メディアビジネスは私の領域でもありますので、ちょっと触れたいと思います。

もちろん私はテレビ局さんとたくさん仕事をしてきましたし、戦友と呼べるほどの仕事仲間も多いのですが、
ここ10年ほどのテレビ局の質的劣化は本当にだからこそ残念でなりません。
メディアの王様が、そんなことで良いの?という問題意識がすごくあります。

とにかくテレビ局の失敗は、地上波の外側に自分たちのビジネスリソースを増やせなかったことです。
放送免許に基づく地上波というあまりにも立派な田んぼがあったために、BSもCSも手をつけたけどビジネス的に本気になれかった。
もちろんネットへの対応は完全に出遅れました。
映画、イベントもちょこちょこ成功事例はあるでしょうけれど、ビジネスモデルを転換させるほどではないです。 

そう考えると、テレビというメディアの商品性はかなり特殊です。
要は売り場を増やしようがない。放送時間は一週間の朝から深夜までで20年前も20年後も変わらない。
その中で、業績を伸ばそうとするから土台無理がくる。
視野狭窄的に、他局との視聴率競争を展開していますが、問題の本質は何十年も自らのビジネスプラットフォームを拡げられずネットとの競争や少子高齢化を含めて急激に縮小する市場の中で、ゼロサムゲームを続けていることにあるわけです。

視聴率至上主義になるから、万人受けするバラエティーコンテンツばかりの編成になりますし、手軽に売上を増やしたいから通販枠番組ばかりが投入されるわけです。
ゴルフというスポーツの中では優良な方のコンテンツでも、参加人口で言えば580万人。
とても地上波で放送するわけにはいかないのです。580万人をターゲットに放送する瞬間他の1億何千万人を捨てることになる。
最近ではプロ野球でさえ放送が厳しくなりつつあるぐらいです。
要は、オールターゲットという番組づくりを朝から晩まで強いられるわけです。そうなれば、ゆるいバラエティーしか流せるコンテンツはありません。

そんな視聴率至上主義、バラエティ至上主義が今回の顛末の原因です。
要は、すべての放送をバラエティ視点で演出しようとする。580万人以外の視聴者に見てもらおうと思えば、どうしても競技など余分な情報で「シブコのもぐもぐタイム」という絵が欲しくなる。

でも、完全にテレビ局は勘違いしています。すくなくとも最近はクライアントもそんなテレビ局の志の低さに見切りをつけ始めている。
要は、クライアントでさえ視聴率至上主義などまったく求めていないのです。

それにしても今回のリコーカップに限って言えば、テレビ局仕切りの試合にしては珍しく、全試合、Hulu、CSの日テレジータスで中継していて、往々地上波の録画放送優先で同時中継がほとんどない試合に比べれば、かなり意欲的に地上波以外の中継に取り組んでいただけに、
なんともチグハグな事件でもありました。

<写真:リコーカップホームページより>
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