久しぶりの「世界のトップエンドアパートメント」企画となりました。
都市生活者のインフラとして、どんなに人口減の時代を日本が迎えるとしても超高層住宅以上に合理的なものはあり得ないと思っています。
日本は国土が狭いというのは半分真実、半分ウソだと思っています。
今でも、地方に行けばいくらでも余った土地はありますし、タダでも住んでいいよという空き家さえたくさんあります。
それでも人は密集していて、混雑している都会の中心を目指します。
それはどんなにリモートの時代になっても、人口が半分になっても変わらないはずです。
やはり人間は、情報と交流のホットスポットに少しでも近づきたいという情報を収集し発信することで生きる、生き物なのです。
晴海フラッグなどではヒエラルキー意識ばかりではない訴求も模索されてはいますが、それこそ”民度”が問われる場面かもしれません。


今回紹介する130Williamは、とにかくデザインの世界観が最先端を感じさせます。
とにかく超高層アパートメントのデザインは、ただの直方体になりやすいもの。
実際にそれこそドイツ人とは言え、アメリアで活躍した建築三大巨匠のミース・ファンデル・ローエが”less is more(より少ないことが最も豊穣)”を提唱して以来、ビルと言えば機能主義のカーテンウオール(ガラス)で真四角の直方体の時代が長かったわけです。
でもこの130Williamは、そんな世界観と完全に一線を画しています。
一昔前ならばポストモダンと呼ばれたかもしれませんが、象徴的なアールのついた窓が本当に印象的です。
クライスラービルなどニューヨークの超高層ビル全盛期のアールデコスタイルを意識して、再解釈していますね。
Pete LinforthによるPixabayからの画像
ニューヨークの摩天楼文化へのオマージュというわけです。
本連載では繰り返し強調させていただいていますが、実は窓の表情というのがインテリア、室内の印象を決定的に支配します。
ブラス調の鈍い金属色がカッコ良い。
日本のタワマンでは建築技術は素晴らしいものの、弱点は機能はともかく往々貧相なアルミサッシのデザインです。
やはり、世界最高峰のアパートメントを求める層は、ただのモダニズムに飽きたらなくなってきているのかもしれません。
ハイファッションの店舗デザインなどにも見られる光景ですね。
あともう一つ新しいトレンドと感じるのが、テラスの外部リビング。
そもそも超高層は階高が高すぎるので危ないこともありますし、バルコニーがあるのは一部のペントハウスだけで、ほとんどの部屋はちょっとしたベランダさえないハメ殺しのダイレクトウインドウというスタイルが特にニューヨークでは多かったですから、すごく新鮮な世界観ですね。B&BやMinottiなど高級家具メーカーが屋外常備前提の家具の開発に力を入れているムーブメントと軌を一にする動きです。
(写真:ミノッティHP)
モノの落下対策をキチンとすれば、これは豊かですよね。実際にはメンテナンスが大変でしょうけれど、もちろんハウスキーパー前提という考え方だと思います。
81㎡のこんな部屋には結構親近感。1億5千万円って高いけど、東京都心でも今やこんな値段の地域ありますからね。
230㎡(室内)80㎡(テラス)のこんな部屋が間取り的にも理想です。
うーん。7億5千万円。
どうせ夢見るならば、これぐらいの夢にしときましょうか。
ともあれ、ショボい我々日本人の集合住宅ライフにも何らか参考になるような気もしますが、いかがでしょうか。
(注釈のない写真:130William ウェブサイトより)
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