【第1回 神は細部に宿る】リッツカールトン日光 大谷石のエントランス

「神は細部に宿る”God is in the details.”」と言ったのは建築界モダニズムの巨匠ミース・ファン・デル・ローエですが、まさにその通りと思う瞬間は多いですよね。

どんなに慌ただしい日常生活でも、考え抜かれた建築やインテリア、ちょっとした什器やカトラリーの美しいディテールに触れると、瞬間的に桃源郷の境地に意識が昇華するように感じます。

そんな日常でちょっと立ち寄った場所や、雑誌でふと目にしたような「神宿る細部」を、今後たまに取り上げさせてください。

ということで今回目にしたのは、「リッツカールトン日光」のエントランス。
なんでも、今年7月に開業したばかりの日本で5番目のリッツカールトンだそうです。
自宅に届けられるフリーペーパーの表紙の写真で初めて見ました。

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きっとこれは大谷石ですよね。
日光の近くで採掘されることで有名ですものね。
Sense of place(その土地らしさ)にこだわるあたりも外資系の最高級ホテルらしいところです。

(PRTIMESより)
間違いなく、このクラスのホテルに泊まる人は、その土地ならではの体験をしたくてはるばるやってくるわけですから。

(リッツカールトン日光ホームページより)
そういえば、フランク・ロイド・ライトが設計した最初の帝国ホテルの建物は、大谷石ですよね。ライトも大谷石に日本らしさを発見したに違いありません。

この大谷石の寡黙だけれど味わい深い表情、どこか禅的というか、外国人から見た“わびさび”に感じられるのではないですかね。

何せ、石って良いですよね。
外装材としてももちろんですが、内装材としても、静謐、清潔でモダンでミニマム。
実際に生活の中で床材として使っても、汚れない上にゴミが浸透しないので掃除はしやすいですし、本当に快適です。
良く生活の場では冷たく感じるという方がいますが、それは他の家具やインテリア次第ではないでしょうか。本当に品質の良いラグを一枚ひくだけでもグッと温かさを感じる空間になったりします。

それにしても、この石の良さ、表情が分からない人というのが世の中にはいるらしくて、当然ある自然の色むらや、模様が気持ち悪いとマンションなど入居後にクレームが出るケースがあるということなのですが、
そうなると、もはや世も末。プラスチッキーな工業製品やビニールクロスの壁、印刷木目の床に住んでいるとそこまで本物が分からないチープな劣化した人間ができあがるものですかね。

もちろん、リッツカールトンの顧客にそんなバカな人はいないでしょうから、このエントランスで日光という土地の空気感を感じながら、ワクワクとホテルに入っていくことになることと思います。

(リッツカールトン日光ホームページより)

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