【SankeiBiz連載 ブランドウオッチング】地域産品のサクセスストーリーを描く「今治タオル」 価格競争から一線を画す

良質なタオルをじっくりと選び抜き、ハンドタオルからバスタオル、タオルケットまで何色かの色で揃えている家はきっと家族全員幸せと豊かさに包まれているに違いありません。
たかがタオルですが、普及品と今治タオルのような上級品では確かに質も違いますが、お値段も相応に違います。
そこそこ余裕のある家庭でも、時間的、経済の優先順位的に、そこまでこだわっていられないというのも本音かもしれません。

欧米の百貨店に行くと、日本の百貨店と何が違うといってリネン類の豊富さと高級さです。
1フロア全面が、シーツやピローケース、ダウンケットなどベッド周りのリネン類や、テーブルクロス、ナプキンなどのダイニングまわりのリネン類。そしてもちろんタオル製品などで溢れんばかりだったりします。

最初は面喰らいましたが、長年観察しての私のひとつの仮説は、日本は「拭き・ぬぐい清める文化」欧米は「清潔なリネンで覆う文化」、清潔さ追求する方法論が違うのではないかと考えています。例えば、レストランを考えてください。結構高級なお店。和食で言えば、塗って仕上げた銘木や白木のカウンターが清潔感の代名詞です。一方で欧米の高級レストランとなれば、当然糊のきいたテーブルクロスがあってこそ高級店となります。しかもテーブルクロスが何層にも重ねられていればさらに申し分ないという誂えです。

ちょっと話が脱線しましたが、、要はタオルというものです。
ある意味、リネン類という意味では欧米的でもあり、それ自体が「拭き・ぬぐうもの」としては日本文化的でもあり、だからこそ日本の生活にも広く普及しているわけですが、良くも悪くも文化的雑食性きわまる現代日本社会では結構雑に購入されているアイテムでもあると思います。

しかも、典型的な価格競争アイテム。今や商店街の抽選会の景品としてさえ喜ばれないアイテムであるような気がします。
でも、そんなある意味コモディティ化された製品であるこそ、ブランディングの取り組みがこの日本で受け入れられるのか、本当にデフレマインドが深く浸透した日本の生活者を啓蒙していけるのか、非常に注目されるモデルケースだと思うのです。

真に問われるのは、日本の生活者の良いモノに対するリテラシーかもしれません。

間違いなく今治タオルとして売られている製品と、どこでも買えるコモディティ化したタオルは似て非なるクオリティの製品です。でも、その差にお金を年々出さなくなっているのも日本の消費の実情。
目の肥えたうるさ型の生活者が鍛えてきたと言われる日本製品のクオリティですが、海外製の安い製品に駆逐されてしまえば「死して屍拾うものなし」。生産設備は廃棄され、再び同じ製品を作ることは難しくなるでしょう。
今治タオルという志ある製品を日本に残せるか否かまさに日本の生活者のモノを見る目が試されているように思います。

記事にも書きましたが、東京青山には今治タオルのショップが集積しています。
ちょっと覗いて見るのも面白いように思いますがいかがでしょうか。

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