【第11回 Netflixがすごい】「スノーピアサー」 映像作品ならではのグラフィカルな終末的世界観を堪能

このテレビドラマシリーズもNetflixオリジナルです。
細かく言えば、アメリカのテレビ局制作ですが米中以外の配給権をNetflixがもっているようです。要は出資したということかと思います。
まだまだピカピカの新作ドラマで、本国アメリカでも今年の5月放映だそうです。Netflixでは毎週1本ずつ配信で今シーズン1全10話のうち現在8本目まで配信されています。
ちょっと良過ぎて、9,10回を見ずしてご紹介したいと思います。

氷河期に突入し人類の大半が死滅した世界。地球を周回し続ける列車で生活する生存者たちは、階級間に張り詰める危うい均衡の中、それぞれが存続の危機にさらされる。

出演:ジェニファー・コネリー、ダヴィード・ディグス、ミッキー・サムナー
https://www.netflix.com/jp/title/80177458

制作総指揮が『パラサイト 半地下の家族』でカンヌ映画祭パルムドール、アカデミー作品賞をダブル受賞したポン・ジュノです。ちなみに、2013年の映画版の監督もポン・ジュノです。得意料理というか、名シェフのおすすめ料理という感じで、「面白いに決まっている」映画という感じですね。

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ディストピアモノの効用

もうこのドラマは、人類の失敗で凍結してしまった地球上を人間や動植物の生き残りが、走り続けることでエネルギーを供給する永久機関車に牽引された1001両のスノーピアサーで絶滅を避けようと必死に生き残る。という設定がすべてです。

いわゆるユートピアの逆、ディストピア(この世の終わり)的な世界観の映画ですが、なぜか日本にほとんどなく、ハリウッド映画・ドラマでは一番人気のジャンルです。
下記、私の過去記事では、なぜハリウッド映画・ドラマにディストピアものが多いかちょっと分析していますので、よろしければお読みください。
【第4回 緊急連載】衝撃の書「ホモデウス」を読む – 狩猟採集生活から飼育栽培生活へ
さて、前回紹介した文明論的要素が感じられる米ドラマシリーズ「ウオーキングデッド」の続きです。文明が崩壊し、最初の数年は残った食料を漁る生活です。特に、シリーズの前半では往々悪くないご馳走を発見することもあります。ゴルフ場の豪華なクラブハウス...

それにしても、コロナに豪雨など安全衛生的な生活を満喫してきた日本人にとっても、安閑としていられない時代がきてしまったと思っています。ディストピアものって怖いモノ見たさのエンターテインメントと言ってしまえばそれまでなのですが、結構危機への思考演習的な良き役割もあるように思います。
あまり固いことを言うのも野暮ですが、私はこんな不安な今だからこそこの手のドラマを見たい派です。

とにかく映画的なグラフィックを堪能

原作がグラフィックノベルということなのですが、グラフィックノベルってなんですかね。大人の絵本という感じなのでしょうか。ちょっと原作は読んだことがないのですが、氷結した地球上を超高速で走り続ける1001両編成のスノーピアサー。とにかくこのグラフィックが超印象的です。

かつて日本にも、松本零士氏の「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」という、その世界観だけでどうにもワクワクしてくる作品がありましたが、まさにそんな見たこともない映像見てみたくてしょうがないじゃないですか。

疾走する機関車もすごいグラフィックなのですが、この作品では映画の時以上に各車両ごとにまったく異なる機能、内装の車内イメージに本当にワクワクしてしまうのです。

1等~3等+αまである客室のまったく豪華さが違う世界。水族館のような魚類を飼育する車両、ナイトクラブの車両。
まさに映画美術の楽しみ満載です。
鉄道オタクならずとも、誰もが乗り物好き因子をもっているように思いますが、そんな部分をビシビシくすぐられます。
確かに、映画版に比べると作り込みの質感は少し劣るかな?と思わないでもないですが、尺の圧倒的に長いテレビドラマシリーズとしてこのレベルの美術クオリティならば十分楽しみたいと思います。

寓話的で大人が楽しめるストーリー

そんな映画的なグラフィカルを楽しむだけでもこのドラマに私は満足なのですが、ストーリーも裏切りません。
一言で言えば、非常に”寓話的”なストーリーです。

1等~3等+αまで、買った乗車券(出資額)ごとにまったく違う階級社会。その階級の秩序を維持することで、ある均衡を保ち続け少なくとも数百年は解放されることのない、走り続ける他ない閉鎖空間の統治を図ろうという運営サイドの意図。
まさに、この1001両は現代社会の縮図となっているのです。

そんな世界観を描く上で、階級ごとの行き来が厳しく制限された車両という設定が非常に生きているのです。

実はディストピア的な映画は、大ヒットドラマ「ウオーキング・デッド」などがまさにそうなのですが、一度は崩壊した文明社会を再興維持する上で、非常に文明論的、政治学的、社会学的な側面が表現されます。つまり「人類はいかに社会・文明を興し、いかに維持するか」という大きなテーマです。もちろんそこには、教育論、産業論、農業論、組織論、統治論、防衛論あらゆる論点が立ち上がってきます。

「平和ボケ」とまで言われる日本人は間違いなくウルトララッキーなことに、恵まれた地政学的なポジショニングにも守られて、深刻に一からそんなことを自分たちで考える必要もなくやってこれました。
今回のコロナさえ、政府の無策にも関わらず、結果オーライ的に欧米よりはるかに低い死者数で第一波を切り抜けてしまいました。
がゆえに、多民族と地続きで殺し奪い合ってきた人々と土台根っこからの危機感が少ないのだとは思います。
でも、科学の発達は日本を守ってきた地政学的なバリアさえ相対的に低いものにしつつあります。
エンターテインメントでさえ、この世がリアルに終わってしまうのでは?と考えている人々のイマジネーションを感じることも日本人にとっては良い薬になるような気がするのですがいかがでしょうか。

https://www.netflix.com/jp/title/80177458

(写真:netflixホームページより)

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