【第12回 家族に障害児がいます from N.Y.】子供は乾いた砂が水を吸うように、覚えが早い、、ほんと?

私はこの格言に対して「嘘でしょ?」と言いたい気持ちが喉元まで来ている。嫌、一般的にこの言葉は子供の理解力の早さや無限の可能性について正しく言い当てていると思うのだが、全ての子供に当てはまる言葉ではないと日々実感中。我が子の脳は砂やスポンジのような吸収力のある物質ではなく、粘土質のようなものだった、、、。水を注いでも、注いでもそれを弾く粘土層が彼の脳の表面を覆っているとしか思えない。限りなくウォータープルーフ。信じられないくらい浸透しないし、何度も、何度も、それこそ無限ループのようにしつこく同じ言葉を繰り返し言い聞かせ、やって見せても彼に届かないことが多くて心が折れそうになることの連続。「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。」とは山本五十六連合艦隊司令長官のお言葉であるが、この通りに実行しても動かない人がいることを知る。それが我が子。この子を育てるにあたって一番必要なのは根気と我慢、そして盛大に褒めること。何を教えるにも手取り足取り、本当に時間が必要。パッと見せて真似させるというのはほぼ無理。未だにバイバイが逆手になるのもその証拠で、彼に対峙した状態で物事をやって見せると、彼の脳内ではその状況を反転して処理することが出来ない。指先が非常に不器用ということもあって、スプーン、フォークの持ち方も手を取って根気よく教えてあげなければいけなかった。もう直ぐ10歳になる息子だが、未だにお箸を持つことは出来ない。全ては根気よく、本人に興味を持たせるようにしつつ、丁寧に教えていくことしか道は無いように思う。

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自閉症児育児は我慢大会

私はこの子育てを通して、我慢するということを覚えたと言っても過言ではない。本当に我慢するしか手立てがない。元々我慢強いタイプでもないし、現在でも我慢出来なくてイライラし、息子よりも酷い癇癪を起している私ではあるが、それでも私の生きてきた歴史を振り返っても今ほど我慢の連続という日々を過ごした覚えはない。それと諦めの境地。ジッと待つ、待つ、待つ。何をさせてもサッと出来るということは殆どないから、ジッと出来るのを待つ。そして少しでも上手く出来たら褒める、褒める、褒める。感覚的に動物の調教感が無くはないと思う。うちの子は間違いをやんわりと直してあげたりするだけで酷い癇癪を起す。自分を否定されたと思うのか、ネガティブな発言に関して酷く過剰に反応するようになった。学校のある朝など、スクールバスが迎えに来る時間が迫り、時間的に余裕の無い時に叱ったり、急かしたり、こちらがイライラしていることを悟られると余計に厄介な事態になりかねない。なので出来るだけ平静を装って、イライラしなくて済むように時間の余裕をもって行動出来るようにしているのだが、それでも理想通りに行かないときだってある。そんな時はイライラしながら奥歯をギュッと噛みしめて耐えたりしているせいか、気付くと結構歯をきつく食いしばっていることが多々ある。朝など、玄関先で靴下の片方を履いている途中で集中力が切れるのかボーっと固まっていたり。靴紐も未だに自分で縛ったり出来ないので、手伝ってあげなければいけない。あと数分でスクールバスが迎えにくるという状態でも声を荒げず、「靴下を履くよー。ちゃんと履けたねー。」などと声掛けしながら、彼の機嫌が崩れないように細心の注意だ。しかし私も人間。毎回理想通りに事が運ばずこちらのイライラが爆発してしまうことも結構な割合であるのだが、日々理想に向かって邁進するのみ。説得も泣き落としも効かない相手には、ただただ毎日の接し方を工夫しながら互いのベターな方法を見つけ出すしかないのだ。現在のように、学校に毎朝送り出さなければいけないというストレスが無い状態はある意味楽でもあるのだけれど、その分学校で教わるべきことなどを親が担わなければいけないのはまた別の意味で大きなストレス。

EB PilgrimによるPixabayからの画像

今回の自粛生活でつくづく思うのは、親が子の勉強をみるのは危険がいっぱい!ということだ。なので本当に学校の再開を心の底から望むのだが、9月からもどうなるのか、、、。ただでさえ理解するのに時間がかかり、普通のやり方で教えてもなかなか分かってくれない子供に勉強を教えたり、やらせたりするのは困難。そして親子という関係性から我慢の限界のハードルが非常に低く、教えているうちにこちらのイライラがヒートアップ!そして息子もそれに呼応して絶叫!激しくデスクを平手で叩きまくり怒りとフラストレーションを表現!その段階で我が家がただのカオスとなる。もう事件にならないように細心の注意を払うしかないと日々肝に銘じるばかり。自粛でウィルスから身はある程度守れるかもしれないけれど、別の意味で家庭内の危険度は増しているのである。日々試練。

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