ショック!アサヒカメラ休刊。雑誌という生態系が死んでいく恐怖

94年続いた名門雑誌が終わってしまったとのことです。私自身は写真・カメラに趣味はないのですが、書店に長年並んでいたので存在はもちろん知っていました。記事によると、

日本ABC協会がまとめた上期(1~6月)の平均販売部数は、06年4万482部、10年3万1346部、14年2万1159部、18年1万6573部と年々減っていた。

厳しいですよね。雑誌全盛期には50万部を超える雑誌も多々ありました。一方でとは言え、雑誌って、部数が少なくても広告出稿があれば広告売上でなんとか命脈を保てるものです。それゆえ評価の高い名門誌は部数はともかく、出稿することがステータスという認識もあって最低限のクライアント集広はできたものですが、さすがにコロナで止めを刺されたということでしょうか。残念です。
もちろん写真誌の場合には、カメラ業界自体がスマホ等置き替えによるコモディティ化で厳しいという現状があることと思います。コアなマニアとかプロだけの世界になりつつあるのかもしれませんね。
それにしても、親会社の朝日新聞に余裕がある時代ならば、休刊とまではならなかったでしょうが、そういう面でも厳しい現実です。

最新号の値段が998円(税込み)。切ないほどの努力の痕跡を感じます。
本当に最近の雑誌は高い。1000円を超えていてページがペラペラだと、さすがに長年の雑誌好きの私でさえ購入を最近をためらってしまうことしばしばです。どうせ1000円を超えるなら書籍を買うとなってしまいます。
でも発行する方からすれば、部数が減る=>制作・印刷費の部数当たりの単価が上がる=>値上げする=>部数が減る。の悪循環ですよね。各誌ジワジワ値段を上げざるを得ない近年の現実と、反比例して編集内容が薄くなっていくのを悲しい思いで見つめています。
とにかく印刷費も配送費もとんでもなく安くはないので、ある意味雑誌というメディアは超贅沢なものでもあったのかもしれません。相当な大部数があって初めて多少の利益が出るもので、その大部数という前提条件が崩れ出すと厳しいですね。

だったらデジタル版で良いじゃないかと、言われてしまいそうですが、音楽では大量に持っていたCDやレコードの物理メディアを早々にハイレゾでリッピングしてすべて処分した私ですからデジタル化自体に抵抗感はまったくないのですが、やはり雑誌や書籍は紙の媒体で読みたいのですよね。グラビア、写真が魅力の雑誌ならばなおさらです。
インテリア雑誌”I'm home.”が愛おしい。
それにしても、本屋が少なくなりました。世界に誇る銀座だけ考えても、洋書の近藤書店がなくなって早数十年。今東急プラザになった東芝ビルの1Fもその昔は本屋でした。コアビルのワンフロアを占めていたBook 1st.が終了したのが痛かったですね。確...

実際に、紙の雑誌ユーザーはデジタル版になってもほとんどデジタル版に移行しないという話もあります。
発行者側の事情としてもデジタル版は、大きな費用である印刷・配送費がかからない分メリットがあるとも言えるはずなのですが、何せデジタルの世界は広告費の設定を間違えていますよね。有料会員+広告費でなんとかなっていますというレベルのウエブメディアはそう多くありません。それが無料サービスが当たり前になってしまっているウエブメディア業界の実態です。

となると、雑誌の未来は非常に暗いですよね。
クルマ、アート、インテリア、ファッション、料理、スポーツ等々、ありとあらゆるニッチで専門誌が頑張っていて、毎月毎月楽しみを提供してくれていた日本の豊穣。自分が未体験の領域でも、雑誌に触れるとその世界の楽しさがすぐに感じられたものですが、まさにそんな喜びは遠い日の出来事になってしまうのかもしれません。

個人としては、引き続き好きな雑誌は買い続けたいと思っていますし、書店で無数の雑誌の山からあれやこれやと選べる今を最大限楽しんでおきたいと思います。

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