ロイヤルコペンハーゲン 『レンゲ』の喜び

ささやかなモノでも大きな喜びを与えてくれるものってありますよね。

私自身、できれば気に入ったモノを数少なく大事に使いたい方ですので、あまり何でも色々なモノに囲まれているわけではないでのすが、中にはすごく愛着を感じるものもあります。

洋服はじめ色々なモノを買って思うのは、当たり前ですがモノには良いモノとそうでもないものがありますね。例えば、同じブランドのスーツだとしても当たりとハズレがあります。デザイン、素材、縫製がピタッと決まった傑作は長年何十着と同じブランドのモノを買っていても1着かせいぜい数着だと思います。自分が毎日身に着けていればこそそんな傑作の奇跡的な出来栄えを感じ取れます。

昔、ジョルジオ・アルマーニ氏本人の理想のクローゼットを紹介している雑誌がありました。多分に広報的な意図のある記事でしたが、箪笥1本ぐらいのクローゼットに上下同素材のスーツとしても着られるセットアップ1式、ジャケット1着、パンツ1本。
圧巻だったのは引き出しに、同じ濃紺のカシミア100%のTシャツ100枚。
といったようなものだったんですよね。記憶ですので、細部は違うかもしれませんが。
イヤー、インパクトがありましたよね。そこに添えられていたコメントが確か、「1着の完璧なジャケットがあれば、他はいらない」というようなコメントでした。つまりメンズジャケットの帝王自身が、完璧なモノとそうでないモノがあることを認めているわけですよね。
もちろんアルマーニ自身が毎シーズン何十型とジャケットを作るわけですし、もちろんアルマーニブランドとしての品質は常に保っているわけでしょうが、そんな中でも完璧なモノがそうないことはなんとなく分かりますし、たくさん持っていることよりも完璧なモノを1着持つことの難しさと贅沢が伝わってくる記事でした。

ちょっと話はそれましたが、買った時点では何の気なしだったものが、使ってるうちにマスターピースと気づいたのが、このロイヤルコペンハーゲンの「レンゲ」です。

洋食器の有名どころって当たり前ですが「洋食器」じゃないですか。ちょっとしたオーナメント(飾りもの)ではちょっと珍しいものも見かけますが、基本は自分たちの文法に徹したモノづくりです保守的ですよね。そしてそこに価値があるわけですし。
でも、なぜか「レンゲ」。あの昔ながらの中華そば屋で、丼と一緒についてくるやつです。
あまりに珍しい気がして買ってしまったのですが、これが重宝この上ないんですよね。

なんだかんだ言って家では、うどんもラーメンも食べるわけじゃないですか。チャーハンも食べますよね。お手軽な昼とか。
何せ、いつも洋食を食べているわけではない。いや、洋食の方が我が家では少ないかも。
そんな、ざっかけない自宅ご飯に、結構活躍するんですよ。この「レンゲ」という奴。

スプーンでは何か違うという料理ってありますよね和食とか、でもなぜか和食ってスプーン的なものがないじゃないですか。茶碗蒸しで匙とかはありますけど、ちょっと小さいとか。そこでどうするんだとなった際、この「レンゲ」が登場します。典型的には”うどん”とか”豚汁”の場合です。お店では民芸的な木のお玉のようなものが出てきますが、明らかに、ツルリと滑らかで素地も高級感のあるこの「レンゲ」の方がうれしいんですよね。もちろん中華的な料理は言わずもがなです。

そんな重宝なレンゲも、良いものが売ってるのは、そう見ないじゃないですか。ちょっと質的に普通な普及品か、ディスイズ中華というデコラティブなものか多いイメージです。

このロイヤルコペンハーゲンの「レンゲ」、とにかくシンプルなのが良い。模様も何もなく、フォルムだけ。
フォルムも妙なオリエンタリズムがなく、良い意味で無国籍。和と言えば和に見えなくもないし、洋もいけるかな?という感じです。
何せシンプルなだけに、圧倒的な質感の良さが感じられるですよ。重みとかなめらかな手触りとか。

さすが良いと言われるメーカーの製品は、ちょっと違うんだなと感じることができる製品なんですよね。
でも難しいのが、ブランドモノであればなんでも良いのか?と言えば、そうとも言えず。洋食器ひとつとっても名だたる世界的ブランドのモノが結構凡庸だったりする場合もあります。

ここら辺がモノとの出会いの面白さですかね。
先ほどのアルマーニ氏ではないですが、完璧と思えるモノを数少なく絞って所有してシンプルで豊かな生活をしたいものです。
何せこのロイヤルコペンハーゲンの「レンゲ」、後にも先にもこの5客ですから、割らないよう大事に使っていきたいと思います。

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