【第9回 家族に障害児がいます from N.Y.】ニューヨークのコロナ狂騒曲

今回は過去の話ではなく、今現在私達の身に起きているCOVID-19に纏わる騒動について。

中国の武漢で新型コロナウィルスが発生した頃は、ニュースで話題にはなっていたけれど、まだまだ対岸の火事的な状態でウィルス騒動の動向を見ていたアメリカだったが、今月になり様相が日に日に変わって行った。イタリアで感染者や死者の数が日々増えていっているというニュースを観るようになり、気付けばアメリカでも感染者が発見され、そこからはみるみるうちに感染者の数が激増。3月13日の金曜日あたりから深刻さが急に増したように感じる。その前日までは何の疑いもなく学校へと向かう息子を見送っていた。それは毎日続くと疑いもなく信じていたのだが、金曜日の午後、帰ってきた息子のバックパックの中に大量のプリント物が入っていた。普段、あまり宿題の類を出す先生ではなかったのだが、何故か大量の課題のようなプリント物。私の脳裏を嫌な予感だけが過ぎる。「え?学校閉鎖になったりするの??」と。

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スーパーのレジに長蛇の列

息子が帰宅してくる1時間ほど前、私は近所のスーパーマーケットまで買い物に出ていた。いつもの調子で普通のお買い物をする予定で向かったのだが、店内には普段より多い買い物客。それも皆手にしたカゴやカートに大量の商品を入れている。レジも普段よりも長い列だ。一人一人の買い物の量も多いから、会計に時間が掛かっている。私の前で会計をしているカップルは大量に入っているトルティーヤの袋を4つも購入している。どう考えても2か月くらい籠城するための食糧買い溜めにしか見えない。私は焦った。焦ったというよりもパニックが伝染したような感じ。これは何か怪しい、もしかしたら学校閉鎖とかになるのかも、、、と思っていたところで息子のご帰宅。大量のプリント。そしてその後、学校が閉鎖になるというニュースを聞くこととなる。期間は4月20日まで。もしかしたらそれ以上の期間になるかもしれないという恐怖。自閉症で信じられないほど多動の息子と毎日ずっと一緒、という試練という地獄の日々を送ることになる。

息子は笑い、親は泣く

突然の学校がお休みということで、理由は分からずとも単純に嬉しい息子。全て自由時間。起きる時間もいつもよりゆるい。その横で親の私は自由になる時間がひとつもなくなり、最近食欲が増した息子のためにほとんどの時間をキッチンで過ごす。学校から送られてきていたプリント類を息子にやらせるのだが、やらせるまでも大変。こういうことは習慣づけが本当に大事だと思う。課題をやったら好きなことをやらせてあげるという条件を提示し、息子を机に向かわせる。我が子はADHD傾向も強く、集中力が持続する時間が本当に短い。興味がないことについては、本当に全くやる気というかやらなきゃいけないという気持ちも微塵もない。相変わらず課題の内容は幼稚園児レベルのもの。しかしそのレベルのものでも完璧にこなせていないのが現実だ。ただ、同じようなことばかりを繰り返し何年もやっているので、正直本人は飽きているような印象も受ける。今週からコンピューターやタブレットを利用して、リモートでクラスの担任の先生やセラピスト達と繋がってそれぞれの先生達から課題をもらっている。しかし家庭環境という彼にとっては自由時間の象徴のような場所で、学校と同じような態度で課題をこなしていくということは難しい。これはきっと障害児でなくても、ほとんどの子供はそうではないだろうかと思うことだ。大概親が子供に勉強を教えようとして上手く行くことなど殆どないと思う。息子に与えられた課題をやらせながら、間違った箇所を叱らずに正しい答えに導こうとするだけで癇癪を起される。もうその繰り返しに心底ウンザリ。願いは早く学校が再開されることだ。ただただこのコロナウィルスとの闘いが早く終わることを祈るばかりである。

thomasbrodowskiによるPixabayからの画像

外出禁止令

現在、NYでは基本的に外出は禁止されている。生活必需品の買い物や適度な散歩などは許されているが、なるべく自宅に籠ることが求められている。しかし我が子は自閉症の多動児。1日中家の中なんてとても我慢出来ない。ストレスが溜まってくると、奇声は頻発するし癇癪も出る。家の中を走り回ったり、飛び跳ねたり。それはもううるさいの極致。人や車があまり出ていない街は静かな空気が漂っているのに、我が家から発せられている波動は尋常じゃなくけたたましい。コロナウィルスに感染する前に精神疾患で発狂しそうだ!と思うレベルだ。この状態が1か月以上続くと考えると、もうそれだけで吐きそうだ。仕方がない、もう公園に連れ出そう!と決心した翌日はよく晴れた日だった。公園には軟禁生活に飽きたのか、思ったより多くの人がジョギングをしたり、お散歩をしたりしている。子連れの人も数人いる。みんな気分転換が必要なんだなと安心した。我が子は元々他人に全く関心が無い。なので他の子供達も一緒に遊ぶことも、他の大人に近寄っていくこともない。なので他人との距離間はきちんと取れているので安心。ただ問題はどこでもあちこち触って、その触った指先を口にいれて爪を噛んでいる。これだけ手洗いや外出時に顔や目、鼻などを手で触れないようにと注意喚起されているにも係わらず、我が子は様々な雑菌の収集に余念がないという感じだ。注意して止めるような子だったら苦労しない。もう半ば諦めの境地。今現在まで家族みんなが無事でいることが奇跡に感じられる。今は誰にとっても耐え忍ばなければならない時期だが、障害者だけでなく、他の病気や認知症などの問題を抱えている人、そしてその家族にとっては更に試練の多い日々だと想像出来る。早くいつもの日常が戻って来ることを願うばかりだ。

【家族に障害児がいます from N.Y.】過去記事一覧

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