【第4回 Netflixがすごい】オリジナルドキュメンタリー「パンデミック」中国からのウイルス流行をズバリ予言。今起きているウイルス流行の怖さすべてが理解できる。

中国で発生したコロナウイルスの流行大変なことになってきましたね。
医療技術も進歩していて清潔で知られる日本です、公衆衛生の面で普段深刻な危機感を持つことはそうないように思いますが、インバウンドの飛躍的拡大も含め国と国とを人が行き交う時代です、未知のウイルスの世界的流行(パンデミック)の恐怖は他人ごとでないことを思い知らされます。

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中国からの世界的変異ウイルスの大流行をピタリ予言

とにかくNetflixのオリジナル自然・科学ドキュメンタリー「パンデミック -知られざるインフルエンザの脅威-」はこんな事態を予言していたかのような内容で愕然とします。

インフルエンザをはじめとする突然変異するウイルスへの対応がいかに難しいことなのか、エボラ出血熱とかエイズなどの脅威を含めて、専門家が未知のウイルス蔓延を封じ込めるためにいかに汲々としているか、このドキュメンタリーは医療現場や医薬品メーカー、政策の現場を赤裸々に映像でとらえていきます。

ちなみに本作では、すでに専門家の知見から次のパンデミックは中国が震源になるとハッキリ明言してさえいました。

エヴァ使徒のごとく次の使徒は姿かたちも性質もまったく予測不可能

このドキュメンタリーを見て知ることは、これだけ科学が発達し医療技術が高度に発達した現代社会でも、未知の新型ウイルスへの対応は常にギリギリ、ワンチャン運頼みの部分があって、今までなんとか対策できていたからといって、次のウイルスも必ず封じ込めることができるなどとはとても言えないという実態です。
ちょっと話はそれますが、エヴァンゲリオンの使徒を思い出しました。次から次へとまったく姿かたちも性質も違う人類の脅威が襲ってくるあれです。第10使徒を倒したからといって次の使徒に対処できるかはまったく予測不可能。次の使徒で人類終了かもしれない。

実際にこの「パンデミック」の中でも、ウイルスの研究者が「(パンデミック=未知のウイルスの世界的流行が)起こるか?が問題ではなく、いつ起こるかが問題」なのだと言います。しかも「人類存続の危機」に至る場合も十分にありえると。何せ未知のウイルスなわけですから起きてみるまでわかりません。例えば今回のコロナウイルスにしても封じ込め可能なウイルスであることを専門家でない我々はせめて祈るぐらいしかできないのです。

本ドキュメンタリーでは、未知のウイルスの恐怖そのものと同時に、今でも毎年のインフルエンザの流行でキャパシティーオーバー気味の途上国の医療現場の現状や、ひとたびパンデミックが起きてしまえば残念なことに一瞬でパンクしてしまうだろう先進国でさえの医療現場の危機感や緊張感も描かれます。そもそも大流行してしまえば仮に幸運にも対処できるワクチンが開発されたとして時間との戦いで最初からすべての患者にワクチンがいきわたらない可能性が非常に高いのです。

ひとたびパンデミックが起きるとウイルス自体の恐怖だけでは済まない

しかもパンデミックの恐怖はウイルス感染自体の恐怖だけではありません。今までのインフルエンザのように社会システム全体を崩壊させないレベルの流行であれば良いのですが、仮に大多数の人が感染するもしくは感染を防ぐためほとんどの人が外出できない事態が長引けば、電気も止まるかもしれません。物流機能が停止すれば一瞬で飢えるかもしれません。

生まれてから死ぬまで本格的な「飢え」という経験をせずに生きる現代日本人の都市生活者にとってこの飢餓という状況ちょっと想像できないのですが、物流が1週間も完全ストップすればコンビニやスーパーの棚はガラガラになってしまうに違いありません。
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正常性バイアスというのでしょうか。人間は今まで大丈夫だったから今度もなんとかなると漠然と信じてしまいます。
このドキュメンタリーは完膚なきまでにそんな慢心が幻想でしかないことを思い知らせてくれるのです。

ストレートトークスタイルの硬派ドキュメンタリー

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ビル・ゲイツの項でも書きましたが、Netflixの何がすごいってこういう硬派のドキュメンタリーにも無茶苦茶力を入れていることです。どうしても一般には海外のサブスクリプション動画サービス=どぎついエンタメという印象があるかと思うのですが、知れば知るほどリスペクトしてしまうメディア企業としての矜持。こんな硬派な作品をバンバン作っていれば、ぶっ壊されるる心配がないことだけは間違いありません。

(各写真:Netflixより)
 

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