ハイレゾがなぜスゴイのか、魯山人(ろさんじん)に教わった

最近、北大路魯山人(きたおうじろさんじん)の本を読み返しています。
北大路魯山人って何者なんですかね。Wikiによれば「北大路 魯山人は、日本の芸術家。本名は北大路 房次郎。 晩年まで、篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家・美食家などの様々な顔を持っていた。」とあります。
1883年生まれで1959年に亡くなっていますから、同世代人ではないわけですが今でも結構名前が出てきます。とにかく美食家として有名ですよね。食にこだわりぬいたあげ会員制紹介制の「美食倶楽部」「星岡茶寮(ほしがおかさりょう)」を主宰し自らの料理探求の場としたというのだからハンパではありません。

(魯山人作品 写真:美術手帖より)
その究極の一品にふさわしい器がないことを嘆き、自ら陶芸で器を焼いたとのことです。魯山人の皿と言えば今でも骨董的価値というよりは三ツ星のレストランなどで使われ珍重されているぐらいです。

とにかく、一切の忖度なくダメな食材、料理、気取ったグルメ気取りの半可通を一刀両断します。名文家というわけではないのですが、やはり文章から伝わる精神性。こだわり抜く精神の強さが伝わる、いわゆる訴える力がある魅力的な文章で、勢い威勢があり読んでいて痛快。パリの三ツ星トゥ―ル・ダルジャンなどもバッサリ。いていやいや面白いこと面白いこと。たまに読みたくなるんですよね。そんな魯山人が残した食についての書物に下記のような一文があります。

「まずいものを、なんとかしてうまく食う方法を教えてくれ」という注文が時々来るが。まずいものをうまくする……そんな秘法は絶対にない。魔術もなかろう。まずい米は所詮まずい。肉も魚類も菜も皆同様であって、一歩も動くものではない。しかし、うまそうにゴマ化す手はある。それは偽りの美味であって、本来の美味ではない。インチキで小児を騙す手はある、こう答えるよりほかはない。
料理する者なら工夫がありそうにも考えられるのであるが、実はまったく不可能という他はないであろう。「まずいものをうまくする」ことは、どんな料理の名人といえども、なし得るものではない。
無理に工夫すれば、冗費と無駄手間をついやし、労多くして功少なしに終わるまでである。
元来料理というものの効果は、大部分が食品材料の質の価値であって、料理人の功績によるものは、一か、二か、三くらいのものである。本質の持ち味、これは善かれ悪しかれ人間力ではできるものではない。例えば、まずい牛肉で、うまい洋食を作らんとしてもでき得ないのと同様に、まずい大根をうまい大根にしてみようといっても、それはできない。」
美味論語ーまずいものはなんとしてもうまくならぬー より
Bitly

といきなり魯山人のお話から入ってしまいましたが、今日お話したいのは、実はオーディオ音質の件なんです。
私も多くの方と同様”No Music,No Life”で当たり前に音楽とともに生きる人生なわけですが、音質へのこだわりもまさに食へのこだわり同様人によってまったく違いますよね。これこそまさに人の勝手なわけですから余計なお世話なのですが、せっかく音楽が好きなのにあまり音質にこだわらずに聞いているのは本当にもったいないことだと思います。極上の一皿をインスタント製品で食べて満足するようなものです。しかも今の時代はかつてのように数百万円の予算とかなりのスペースを前提にしなくても、ほんの数万円の予算とコンパクトな機器で相当良い音を手軽に手に入れることができるのですから。

オーディオのこだわりは、ピンとキリのピンの世界で言えば、なんと電源の安定が大事ということで電柱をマイ電柱に電力会社にかけあって自費で変更までするそうですから、いやいやスゴイもんです。
でももちろん一般のオーディオ好きレベルではそこまではできないわけですから、しょぼい予算ながら少しでも良い音を模索するわけです。オーディオメーカーの単品プレイヤー、アンプ、スピーカーなどを厳選し、ケーブルなどにこだわれば上等です。
そんな中で私は実は音質の良さに一番影響が大きいのはスピーカーだと思ってました。やはりスピーカーがしょぼければ、高音も特に低音がしっかり出ませんしね。そこまでどんなにいい音質できてもすべてが台無しになると思っていたんです。

でもハイレゾ音源を聞いて完全にその見立てを修正しました。ハイレゾ音源を聴く限り極端に言えばショボいラジカセ(?古!ないかもはやどこにも)で出力してさえ音がシャキッとクリアで分離が良いです。
もちろんそれなりのアンプ、スピーカーに出力すれば一目瞭然素晴らしいスタジオ音源が楽しめます。
音質レベルで言えば
ハイレゾ=レコード > CD > ituneやSpotify普通のストリーミング音源(この中でも差は大きいですが) > FMやテレビ、YouTubeの音質


Becca ClarkによるPixabayからの画像
レコードは実は音が良いです。私はかつて大量に所有していたレコードを10年前ぐらいですかね、ハイレゾ技術がでた頃にすべてリッピングしハイレゾフォーマットのデータに取り込んで、レコード自体は処分してしまいました。同じアルバムのレコードバージョンとハイレゾバージョンでの音質さはほぼありません。どちらもスタジオ音源にかなり近い最大の情報量を持っている印象です。
そうなんですが、レコードは扱いが面倒+ホコリ等のノイズは避けられないですし、何よりハイレゾ同等レベルの高音質を引き出すためには少なくとも10万円以上できれば50万円レベルの結構良いレコードプレイヤーやカートリッジが必須です。一方のハイレゾはなんならばパソコンやスマホで十分その性能を発揮してくれますから、私は同じ音のレベルで圧倒的に扱いやすいデータでサックリのハイレゾ一択です。

ダメなのがCDでしたね。
なんでも開発を主導したソニーにアドバイスしていたカラヤンが当時すでに高齢で高音が聴こえなくなっていたため、しょぼい音質で企画化されてしまったという都市伝説があるくらいですからね。ノイズはないし扱いもレコードに比べて楽なので平成時代はCD全盛時代でしたが、その音質に満足したことはありません。高音低音の帯域が狭く、微細音と大きな音の幅も狭く、総じて情報量の少ないやせた音です。

そしていよいよSpotifyなどストリーミング時代圧倒的に手軽で便利で最高なのですが、んー。音はCDに一歩劣るかな。
私はしょうがないので、定額ストリーミングサービスのなかでは多少音が良いDezeerHifiを2000円弱/月を使っていました。

そんなジレンマを抱えてきましたが、スタジオ音源という最高音質、定額ストリーミングの音源の豊穣、手軽さ、便利さのすべて兼ね備えたサービスがいよいよスタートしたわけですから、私は大興奮しているわけです。

詳しくは下記記事に譲りますが、音源は食で言えば魯山人言うところの素材の良さだとハイレゾに接して気づきました。-100のものはそこにどんなにx100とかx1000しても+にはなりません。逆に言えば、ハイレゾ音源ならばアンダー一万円のアクティブスピーカー(アンプ内蔵のスピーカー)でもヘッドフォンでも十分良い音を味わえます。

本当に素晴らしい時代を生きることのラッキーを人知れず日々世界に向かって叫んいる毎日ですので、今日はこんな記事にお付き合いいただきました。

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