【第19回】衝撃の書「ホモデウスを読む」 – ビルゲイツのトートバッグ

どうやら私たちの幸福感は謎めいたガラスの天井にぶち当たり、前例のない成果をどれだけあげようとも、増すことができないように見える。たとえすべての人に無料で食べ物を提供し、あらゆる疾病を治し、世界平和を確保したとしても、そのガラスの天井を打ち砕けるとはかぎらない。真の幸福を達成するのは、老化や死を克服するのと比べて、それほど楽ではないだろう。
幸福のガラスの天井は、二本の頑丈な柱に支えられている。一方の柱は心理的なもの、もう一方は生物学的なものだ。心理的レベルでは、幸福は客観的な境遇よりもむしろ期待にかかっている。私たちは平和で裕福な生活からは満足が得られない。それよりも、現実が自分の期待に添うものであるときに満足する。あいにく、境遇が改善するにつれ、期待も膨らむ。過去数十年間に人類が経験したような境遇の劇的な向上は、満足感ではなく期待の増大につながる。これに関して何か手を打たないかぎり、この先どれほどの成果をあげても、やはり私たちの不満は少しも解消しないかもしれない。
ユヴァル・ノア・ハラリ. ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来 ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来
(Kindle の位置No.705-711). 河出書房新社. Kindle 版.
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さあいよいよビルゲイツです。
彼の資産は1000億ドル(11.2兆円)を超えています。最近アマゾンのベゾスに抜かれましたが、ゲイツの友人ウオーレン・バフェット氏などと並んで少なくとも21世紀に入ってから常には世界1,2を争うお金持ちです。
ビル・ゲイツの資産が1000億ドル突破、ドットコムバブル以降初
ビル・ゲイツの資産額は先日、マイクロソフトの株価の上昇により1000億ドル(約11.2兆円)を突破した。マイクロソフトは4月24日に決算発表を控えている。ゲイツの資産額はフォーブスが今年3月に発表した「世界長者番付」では965億ドルとされて
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人生の選択にお金の制約がなかったら?

なぜ彼を筆頭とするビリオネアに興味をもつかと言えば、彼らが人生の選択肢をお金の面で制約されない存在だからです。さすがに私も今の年齢からとんでもないビリオネアを目指すつもりもないですし、現実問題なれる可能性は極めて低いのですが、彼らの人生の選択に普遍的な、私の人生にも参考になる「幸福追求最適解の近似値」を探れるのではないかと思っているのです。お金がすべてを解決しないことは小学生でも知っています。でも、やはり彼らが生きる極端な環境、経験から何か普遍的なものが見えるような気がするのです。

そういう意味で私と同時代を生き(実際今この原稿もSurfaceで打っています)、文化圏もそう遠くない彼の選択は何を教えてくれるのでしょうか。
Netflixは毎年1兆円といわれる潤沢な制作費でオリジナルの素晴らしい作品、特筆すべきは素晴らしいドキュメンタリーを多数リリースしていますが、幸い現在のビルゲイツに密着したドキュメンタリーを最近リリースしてくれています。
この作品は本当に優れたドキュメンタリー作品というだけでなく、「ホモデウス」の熱心な推奨者でもあり現代の最先端を生きるリアリストである彼のまさに頭の中をうかがい知る上で最適な作品ですので強くオススメします。
Inside Bill's Brain: Decoding Bill Gates | Netflix Official Site
Take a trip inside the mind of Bill Gates as the billionaire opens up about those who influenced him and the audacious goals he's still pursuing.

ビルゲイツの選択=読書と社会貢献活動の日々

一言で彼の今の生活を言えば、読書と社会貢献活動の日々です。

(写真:ネットフリックスより)
彼の奥さんであるメリンダ・ゲイツ氏と設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して、誰も手を差し伸べない領域だけれども全人類的な視点で大きな課題がある問題。例えば、このドキュメンタリーでは貧困国のトイレの問題などに取り組む氏の姿が生々しく描かれます。彼は膨大な読書量とその明晰な頭脳を通して、人類が克服すべき問題を特定し、国家予算級の資金と世界を実際に変えた実績のある実行力をもって誰も手がけられない領域の事象に取り組んでいるのです。

(写真:ネットフリックスより)

そこで描かれる生活にはメガヨットもプライベートジェットもありません。もちろん所有ぐらいはしているでしょうが、彼らの興味や活動の焦点がそこにないことは明らかです。オフィスや生活環境も、上質な空間であることがうかがわれるけれども華美なパーティールームの空気感はまったくなく、むしろ快適、静謐に仕事をする環境という空気感です。

(写真:下記サイトより)
ビル・ゲイツの半生に迫るドキュメンタリーがNetflixでまもなく公開! - Ameba News [アメーバニュース]
過去30年以上にわたり世界中から注目され続けているビル・ゲイツ。彼の半生を追ったドキュメンタリーが完成したとあっては、興味津々です。9月20日配信、ビル・ゲイツの横顔に迫るドキュメンタリー映画は『Inside Bill's Brain: Decoding Bill Gates』、邦題は『天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読...

運転する自家用車はメルセデスのSクラスですが、服装はおなじみのビジネスカジュアル、かじりつくのはバーガー、気晴らしは自家用テニスコートでテニスぐらいです。

非常に印象深かったのは、ビルゲイツが友人であるウオーレン・バフェットをネブラスカ州オマハに訪れるシーンです。オマハの賢人と呼ばれるバフェット氏は若い時分からずっと変わらないオマハの小さなオフィス、家で質素な生活を送り続けていることで知られます。

(写真:Wikipedia)
バフェット氏行きつけのオマハという田舎町のアメリカならばどこにでもあるような、というかむしろボロボロのコーヒーショップでサンドイッチを食べながら話をする二人の世界的なビリオネア。バフェット氏は彼の個人資産の多くの部分をビル&メリンダ・ゲイツ財団に寄付しており、ビルからの活動報告を聞き最後は「君の方針を信頼するよ」と言います。

(写真はイメージです)
David MarkによるPixabayからの画像

もちろんこの作品はビルゲイツの承認を得て密着したものですから、ビルゲイツの意向や演出は反映しているとは思います。でも多くの家族や関係者のチャーミングで率直な語り口や、映像という極めて雄弁な手法が語る彼の日常は本当に描かれているままなのだろうなと感じられます。

そして現在の彼の生活で一番大事なもの。それは読書です。
いつも大きなトートバッグに10冊ほどの、テーマもカテゴリーも違う本をもって移動します。インタビューもいつも大きな本棚や書庫をそなえた書斎で主に行われます。彼の大事なモノリストのトップが本であり読書の時間、そこから得られるインスピレーションや知識を彼がいかに価値観を置いているかは、このドキュメンタリーの全編を通じて確かに感じられるのです。

読書や音楽の日々ならば誰でも実現できる

確かに本記事を読んでくださってくださっている方で、読書の価値観に気がついていない方はいないでしょう。
もしメガヨットをあげるから今後一切一冊の本を読んではいけないという悪魔の契約をオファーされても、受ける気はありません。もし独房に入るようなことがあって、恋しくなるのはプライベートジェットでしょうか?数冊の本でしょうか?

音楽だってそうですよね。No Music, No Lifeというコピーはまさに私はじめ多くの人のインサイトですよね。音楽の豊かさはまさにプライスレス。もしビリオネアになることと引き換えにこの世から音楽が消えてなくなってしまったら、我々の生活はどれだけ味気ないものになってしまうでしょうか。

うすうす察していたことではありますしある人からすれば当たり前だろうということでしょうが、ビルゲイツやオマハの賢人、スティーブジョブスがたどり着いた境地の8割から9割はきっと億万長者でなくても実現できることなのかもしれません。

もちろん社会との接点、自分が社会に対して貢献できているとか評価されているという手応えはきっと大前提になるでしょう。ビルゲイツやバフェットほど巨額の資産家の場合社会へのコミットメントを最適化するのに対してビル&メリンダ・ゲイツ財団のような仕組みが一番合理的だったということだけの話で社会とのコミットメントの仕方は人それぞれで良いように思います。
あとは静謐な環境、愛する家族や仲間、読書や音楽、スポーツをより快適に楽しめればそれに勝るものは結局ないのかもしれません。

一方、過剰な快楽追求の行き着く先はいつもあわれな世界

対比してしまえば、富や権力ゆえの過剰さの追求は結局は麻薬のオーバードースメントと同じで、結局は自分をも苦しめ、他人からさえも憐れまれてしまう結果に終わりやすいのかもしれません。
歴史上も、ローマ―皇帝ネロ、カリギュラ、ブルボン王朝の贅を究めた食べ物を食べては吐き出していた肥満した王たち。最近では同じアメリカでもお金で少女たちを常習的に買っていた罪で投獄され、獄中憤死した富豪もいました。

彼らの終わりのない快楽主義や死後の評価のみじめさとビルゲイツやバフェットの静謐と充実をみただけでも、おのずと「幸福追求最適解の近似値」は導き出せるのかな?と思います。
冒頭引用したホモデウスでも『私たちは平和で裕福な生活からは満足が得られない。それよりも、現実が自分の期待に添うものであるときに満足する。あいにく、境遇が改善するにつれ、期待も膨らむ。過去数十年間に人類が経験したような境遇の劇的な向上は、満足感ではなく期待の増大につながる。これに関して何か手を打たないかぎり、この先どれほどの成果をあげても、やはり私たちの不満は少しも解消しないかもしれない。』とあります。
結局どこまでいっても現実は自分だけではどうにもコントロールできません。自分の内なる「期待」というパラメータをコントロール術を知ることが誰にとっても幸福に生きるコツなのかもしれません。

結局、今のところの結論は多くの説法や教訓と変わらないものになりました。「足ることを知る」と言ってしまえばそれまでですが、「幸福追求」の真理は自分の人生充実に譲れないほど重要な部分ですので、半可通ではなく今後も検証や思考を重ねていき、また実際の自分の生活、人生の選択に生かしていくべき永遠のテーゼとしていきたいと思います。

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