【第1回 大塚家具緊急応援企画/死ぬまでに買うべき絶品家具】ポルトローナ・フラウ 「アームチェア デッザ Dezza」

ヤマダ電機による大塚家具への出資が決まりましたね。まずは破産して閉店解体ということにならなくて良かったと思います。

大塚久美子社長の経営に対しては厳しい意見も言わせていただいてきた本サイトですが、百貨店でも家具を扱わない時代。世界の本当に良い家具を取り扱っている大塚家具には何せ潰れて欲しくないのです。

本格的な家具の市場が限られる日本のこと、閉店してしまう高級輸入家具屋さんは青山あたりでたくさん見てきました。そういえば照明器具中心でしたけれど、秋葉原にあった大型優良店ヤマギワもお店のない商売に切り替えてしまいました。ここで大塚家具までなくなれば、日本の本格家具文化は10年いや下手をすれば50年は逆戻りしてしまうと危惧するのです。

まず私が考える「本格家具」の定義は「家具の文化的文脈の上で作られている家具」です。

例えば日本の「お箸」というモノがあります。もちろん歴史の中で中国や韓国から伝わってきたものですが、長く日本の生活で使われ日本独自の発展をとげてきました。もし「お箸」を地球の裏側、南米のそんなものの存在も見たことも聞いたこともない人が、見よう見真似で作ったら、「お箸」というかなりシンプルなプロダクトでさえ、我々からするとちょっと受け容れにくい違和感のあるものができるはずです。
そうなんです、家具(和家具もありますが、以後主に西洋家具を指します)は西洋文明の生活の中で長く培われてきたもので、その歴史的・文化的文脈を理解し”真っ当な”ものを作ることはそんな簡単なことではないのです。

その点については、単身イタリアの家具工場に飛び込み、アルフレックスの日本販売権を預かり帰国してアルフレックスジャパンを創業した保科正さんの本に詳しいです。
Bitly

なんと世の中に”なんちゃって”家具の多いことか。この点では、物理的にも文化的にもヨーロッパから遠い日本のハンディかもしれません。日本の和洋折衷文化はある意味鹿鳴館の時代からの模索がまだ続いているようにも思います。もちろん、俺はコタツで好きなように暮らすぜ!という方も多いと思いますし、それこそ人の勝手の最たるものです。

でも大塚家具に興味をもつ方は、少しでも良い家具で暮らしたい。と考えているに違いありません。では本格的な良い家具とは何なのか、少し研究してみませんか?
もちろん階級社会を背景に発展してきたことや、何代にも引き継がれることを前提に作られている関係で、多くの本格的な家具は日本人の生活感覚からは飛びぬけ高価に感じます。でもそのハードルを乗り越えて、自分の生活に取り入れてみたとき、本物だけが伝えてくれるプロダクトとしての深さや、含蓄を知ること間違いありません。

第1回は大塚家具が販売権をもつ代表的ブランドPortolona Frau/ポルトローナ・フラウの代表作です。

あの日本の本格輸入家具市場で代名詞とも言えるCassinaもフラウの資本傘下というぐらいですし、元フェラーリ社長の伊達男で知られるルカ・ディ・モンテゼーモロが出資していたことでも知られます。

そんな関係もあり、フェラーリやマセラッティの内装はフラウ製であることは良く知られています。

ドイツ車の質実剛健でヘビーデューティーなしっかり感と違う、繊細で色気がある感じは、まさにイタリア文化を感じさせてくれるものです。

そんなポルトローナ・フラウは傑作家具の宝庫なのですが、第1回ではこれを取り上げます。
「アームチェア デッザ Dezza」

座面と背面に使われたカウスキンが良い表情を出しています。
実は最高級家具の世界では布のほうが皮より高価だったりします。やはり丁寧に吟味されたファブリックの温かみは生活空間の中でしっくりきます。カウスキンは皮の良さと、ふさふさした肌触りが皮とファブリックの中間という感じで気持ちが良いです。牛柄の見た目のインパクトが強い感じがしますが、意外と生活空間になじみます。黒や白の本革1色だと、オフィス的な堅苦しさがでやすいですが、程よいアクセントになって実はどんな空間にも合います。また適度にモダンクラシックなデザインが、カリカリのモダンミニマリズムの方向にも、ちょっとオーセンティックで装飾的な空間どちらにも合う万能さも魅力です。

仕事が細かい。誰が見ても良いモノと感じるはずです。こんなボタンのクラシックなアクセントも、手仕事感を感じさせるポイントです。フェラーリの内装にも良く取り入れられる、工業製品感を出しすぎない、実際手作りなわけですが、演出です。

そして最大のオススメポイントはサイズ感。
幅830X奥行830X高さ950(座面高:430)
本格的な輸入家具の一人がけソファは往々1000×1000に近いサイズ感です。一回り以上小さく。言うても狭い日本のリビングでも無理なくフィットします。

しかもリラックス感十分。すっぽりと体が包み込まれ、コンパクトなのに豊かな包み込まれ感があります。

ぜひハイバックのタイプをオススメします。自宅でリラックスするのであれば、首まで支えるハイバックかどうかで体の楽さはまったく違います。長く過ごすならば、何かオットマンタイプのスツールと組み合わし足を投げ出せば二度と起き上がることができないほど快適です。

またハイバックの良さは、狭い空間にダイニングとリビングが共存する日本の標準的な空間において、空間を視覚的にセパレートし特に座っている人は囲まれ感の中で心理的にリラックスできる良さもあります。

背面や側面は本革でくるんであります。

後ろから見ても美しい。

二人がけやローバック、総皮などバリエーションも豊富。
一点だけ入れても。組み合わせても様になります。



一点懸念は、長年使えばさすがに背面や座面の皮や、手すりの皮がはげてくるだろうと思います。そしてその使いこまれて味が出る過程がまた楽しくはありますが、こういう本格家具は10年とか20年の単位でメンテナンスしながら数世代に引き継がれるべきものです。
ヨーロッパであればどんな街でも家具を修復してくれる工房があります。
そんな意味でも、大塚家具につぶれられては困る。購入の際は、良くメンテンナスについても確認してください。

922,000円(税込み)は安くありません。でも思い切って一脚でも買ってみてはいかがでしょうか。私が言う「本物」の世界が確かに存在することを誰しも体感していただける傑作家具だと自信をもってオススメします。

アームチェア デッザ ハイバック 革ブラック色 カウスキン
価格 922,000円(税込)

■サイズ(単位:mm)
幅830X奥行830X高さ950(座面高:430)
■材質
・革(セミアニリン染め)カウスキン仕様
・脚部:アッシュ材(天然木)
・内部:ウェイビングテープ、ウレタンとダクロンの混合
■基本色
・皮革: ブラック色(#SC20 Inchiostro)
・クッション: カウスキン仕上げ(#115017 Cavallino)
※カウスキン・・・自然のものを使用しておりますので、 模様は一つひとつ異なります。
■付属品:お手入れキット
■デザイン:ジオ・ポンティ
ページがみつかりません。

商品関連写真上記大塚家具ホームページより

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