【第3回 世界のトップエンドアパートメント】ニューヨーク 432 PARK AVENUE <外観・デザイン>

ずいぶんしばらくぶりの『世界のトップエンドアパートメント』企画となってしまいました。

筆者は政治経済やビジネスも、文明論もそれぞれ重きをおき本サイトでも逐次記事も書いていますが、それ以上に「生活」「ライフスタイル」の充実が人生の充実に不可欠と考えています。そのための基盤は「住環境」に他なりません。
しかしながら、日本の住環境はつましいというかほっておくとやはりシャビ―になりやすい文化です。別に贅を尽くしたいわけでもない、狭くても良い。でも美意識を感じられる快適な居住空間をせめて持ちたいじゃないですか。
そんな暮らしのヒントを、世界のトップエンドからもらおうという本企画です。

そんなビリオネアの生活見ても何の参考にもならんよ~!という声が聞こえてきそうですが、果たしてそうでしょうか。日本の建築水準は高いです。我々のたいして広くもないマンションとて躯体は世界のトップエンドレジデンスとそうはかわりません。あとは工夫と意識次第の部分もあるのではないでしょうか?

スポンサーリンク

言うほど多くなかった ニューヨークの超高層レジデンス新築物件

なんと言っても超高層と言えばニューヨーク。ニューヨークにはもちろん超高層のアパートメントが多いイメージがありますが、法規や文化の違いもあり新築の物件は実はそうは多くなかったはずです。
例えばジョンレノンが住んでいた(オノヨーコ氏は現在でも居住中と聞きますが)ダコタハウスなどは、1884年竣工の10階建ての建物です。マドンナやビリージョエルが入居を拒否されたと言われていますが。世界有数のステイタス物件であることに間違いありません。

(写真Wikipedia)
アメリカ人もセレブになればなるほどヨーロッパ志向というか、古くて由緒あるものに価値を見つける部分があり、新築・普請文化の日本とは大いに違います。
富豪クラスもマンハッタンあたりでは、タウンハウス(隣と壁を共有する低中層の建物)に住んでいたりします。

(使える写真が雪しかなく左右の建物がタウンハウス:Free-PhotosによるPixabayからの画像)

でも近年目立ちますね。新築の超高層レジデンスがニューヨークでも。
ちょっと見ていきたいと思います。

432 PARK AVENUE 立地・外観

場所は、セントラルパークにもほど近いプラザホテルの近く、トランプタワーのすぐ隣ぐらいですから、日本だとどんなイメージですかね。日比谷や新橋に立地する感じでしょうか。

超一等地であることは間違いなさそうです。

外観は超シンプルに見えるんですが、プロポーションの美しさと窓のパターンが計算尽くされた、ちょっとギリシャ建築のような黄金律を感じさせます。

おっと、中間階に2層分のボイド(何もない空間)が挟み込まれている。
なんと!贅沢な。でもこの贅沢がこの建物をただの直方体とは圧倒的に違うものにしている。

ラファエル・ヴィニオリ設計
誰でしょう。我々も結構おなじみなのですよ。
そう有楽町駅前、旧都庁跡地「東京国際フォーラム」。あのダイナミックな名建築の建築家。

ウルグアイ生まれアルゼンチン育ち。ニューヨークを拠点に活躍しているマルチカルチャーな方のようです。
432 Park Avenue - Rafael Viñoly Architects

「東京国際フォーラム」が氏の最初期の作品であることを考えると、やるな日本人の目利き力。
まああんな提案されたら、それは脱帽か。。。
「東京国際フォーラム」の前に建っていた旧都庁舎も丹下健三氏の名作でしたから、日本の普請文化が建築文化に貢献しているのは間違いありません。

余談ですが、ちょっと似ているなと思ったが、鹿島建設の2006年「虎ノ門タワーズ」のレジデンス棟。
端正なフォルムに、正方形に近い窓を規則的に配置するイメージが似ていると感じました。

(写真:鹿島建設ホームページより)

432 PARK AVENUE 内装

内装では、この大きな正方形の窓が端正な表情を空間に与えています。

ニューヨークと言えば、ガラスカーテンウオール&ダイレクトウインドウというイメージがありますが、開口部は十分大きいですが、ダイレクトウインドウよりこのある程度壁がある空間のほうが普遍的な荘厳さがあり建屋としての存在感を感じさせます。要は適度な囲まれ感と開放感のバランスが見事です。

ミニマリズムのインテリアでも窓や空間自体のプロポーションが美しのでバッチリ決まりそうですよね。
でも海外のインテリア雑誌を見ていると、こういう無垢な空間を世界のビリオネアは思いっきり、自分の世界観(ジャングルとかありますよ平気で)に作り替えますので。ある意味このシンプルモダンな状態は、スケルトン売りに近いイメージなのかもしれませんね。

でも、ここら辺なんですよね。私がすごく参考になると思うのは。
次回「間取り篇」もやりますが、正直実際の物件の広さや間取りはほとんどの日本人には真似しようもありません。しかしながら、例えばさっきの「虎ノ門タワーズ」なんて普通に分譲してましたからね。
今は市況で億以下はないかもしれませんが、2006年頃は安くて億以下の部屋もたくさんあった記憶があります。
まあ高いですけど。虎ノ門ですし鹿島ですからね。買えた方はラッキー。
下はその「虎ノ門タワーズ」の室内ですが、似ているでしょう、432 PARK AVENUEの内観と。
ちなみに次回紹介する432 PARK AVENUE現在販売中の部屋は30億円オーバーです。

(写真:「虎ノ門タワーズ」レジデンス室内 鹿島建設ホームページより)
そうなんですよ建築技術に恵まれデフレ基調の日本では世界のトップエンドレジデンスレベルのマンションに、もちろん「がんばれば」のかぎかっこ付きですが十分住めるんですよね。
もちろん天井高等、違いはありますが。
できるんじゃないでしょうか、432 PARK AVENUEに負けないぐらい快適な室内空間をつくることは我々にも。

予算というよりも工夫と意識の問題だと思っています。

ちょっと長くなりますので、刮目の「間取り」篇は次回にさせていただきたいと思います。

(注釈のない写真:ラファエル・ヴィニオリ建築事務所 ウェブサイトより)
世界のトップエンドアパートメント 記事一覧へ

記事の更新情報をお届けしています。ぜひフォーローください。


facebookはこちらから。

タイトルとURLをコピーしました