つまりスタジオ音源レベルの楽曲をストリーミング(インターネット経由で逐次提供)によって数千万曲という膨大なアーカイブから定額制(ハイレゾでも2000/月~程度)で聴き放題というサービスを堪能しています。

音楽鑑賞面でなぜか我々はブルボン王朝の王侯貴族を超えてしまった!
考えてみると、かつて音楽は極めてパーソナルというか限られた人数、限られたシチュエーションでのみ楽しむものだったはずですよね。夜、家族の空間でちょっとした太鼓をたたいてみたり、集落の祭りなどハレの場で演奏したり。
しかも曲や演奏法も世代から世代に人から人に伝えられたでしょうから、複雑な曲や高度な演奏法を伝えるにも限界があったはずです。
そのうちに、楽譜なども使われるようになり音楽は高度な進化を遂げたでしょうが、その高度な音楽を楽しめたのは王や貴族など本当の特権階級だけの時代が長く続くわけですよね。
そうこうしているうちに、トーマス・エジソンによって蓄音器が発明され、いよいよ一般大衆が音楽を楽しめる時代になるわけですが、レコードもCDもストリーミングサービスが提供される前のダウンロードサービスでもアルバム1枚2500円はしましたから、音楽をたくさん浴びるように聴きたい人にとってはそれなりの負担でしたし、やはり個人で買って聴ける量には限界がありました。
それがスタジオ音源が無制限ですからね。
本当に良い時代がきたものです。
日本にしても江戸時代、徳川将軍が季節はずれのみかんを所望したときに紀伊国屋文左衛門が莫大な資力を投じて日本の裏側からみかんを届けた話が贅の極みとして語られますが、今や日本では誰でもいつでもその気になれば年中みかんを買えます。
まあこの辺の文明論的なお話は本「たんさんタワー」ではとってもたくさんの方に読んでいただいている『衝撃の書 ホモデウスを読む』で引き続き詳しく触れていきたいと思います。

ボロボロだけどサービス開始は偉い!mora qualitas
さて閑話休題。
そういうわけでAmazone Musicによるハイレゾストリーミングサービス開始の告知にあわててリリースした感のあるソニーのmora qualitasを楽しんでいるのですが、正直インターフェイスの完成度はボロボロで、行き止まりになっている工事中のリンク多数ですし、肝心の楽曲数もまだまだ限定的。しかもインデックスの作りがクソ(失礼)過ぎてアティストやアルバムに簡単にはたどり着けません。(現状「検索をかける」がまだましな方法)。ストリーミングも私のSurfaceではちょっと不安定な瞬間が多々あります。
と文句ばかり言ってしまいましたが、ハイレゾストリーミングを楽しむ上では、Windows環境現状知る限り唯一無二のサービスですから、未完成でもサービスインした方針は大賛成です。
徹底的に完成度を上げたりネガティブチェックしている間に環境が変わってしまいそのサービス自体が時代遅れになるのがネットサービスです。これで良いと思います。(日本企業ってここら辺追いつけてない企業が多いですよね。)
しかも現状は無料提供中ですし。
そんなハイレゾサーフィンをしている際に出会ったのがToshiのカバーアルバム『IM A SINGER VOL.2』です。

食わず嫌いの極み X Japan
X Japanって実は真面目に聞いたことが一度もないんですよね。
もちろんロックも一番聴いてきた音楽ジャンルなので洋楽中心に主なアーティストはほぼ網羅しているのですが、正直X Japanの存在を知ったときにはコアなファンに取り囲まれているステレオタイプのビジュアル系ヘビメタバンドか何かだろうと勝手な先入観が先に立ちました。矢沢永吉さんなんかもそうなのですが、何か独自のファンが付きすぎていて先入観で語られていたミュージシャンっていたんですよね。FMとかメディアでもなぜか紹介されなかった。まああの当時のメディア側の人たちって、渋谷陽一とかピーターバラカン崩れが多かったように思うので、要はバカにしてたんでしょうね。
でもそんな環境の中で、実際どうだか。2500円とか3000円握りしめてアルバムを買ってみるのも怖かった。
何せ先入観が邪魔しますから。
そんな状況に定額ストリーミングサービスは本当に新たな視野を広げてくれますよね。
喰わず嫌いしていたアーティストも一度聴いてみようとなる。
そんなこんなで元?X JapanのToshiさんのカバーアルバム『IM A SINGER VOL.2』のハイレゾ音源を聴く次第となりました。
先入観を言えばToshiさんなんて最たるものです。それでなくてもビジュアル系ヘビメタバンドのボーカルと思っているところに、洗脳騒動だなんだ。
でも以前『アイス選手権』の司会をしているToshiさんはなんかかわいかった。
どこか素直な方なんでしょうね。
バンドってやつも解散しやすいはかない代物ですしね。

ソロアーティストとしてYoshikiさんとのコラボを超えるオリジナルの音楽を作るのはなかなかハードルが高いかもしれません。
(それにしてもToshiとYoshikiって幼稚園からの幼なじみなんですね。いい話やな~)
そういう意味ではカバーアルバムもアーティスト仲間とかからはバカにされるんでしょうね。きっと。
色々うるさんいんですよ。バンドマンとか音楽好きという人の中には、延々とどっちが本格的、精神性の高いアーティストか?の神学論争に拘泥している一派がいて、どっちが偉いかという視点で音楽やアーティストを格付けしようとする。間違いなくロッキンオンの負の影響を感じる瞬間です。(笑)
(写真:ユニバーサルミュージックホームページ)
いいじゃないですか、カバーアルバム。
知っている曲を違うアーティストが新しい解釈でパフォーマンスしてくれる。
楽しいですよねやっぱり。
でもアルバムを買うのはハードルが高かったかも。正直。
何せ先入観の中では、老舗ビジュアル系ヘビメタバンドで色々あって「アイス」選手権の司会をしているよく知らない方のカバーアルバムですからね。
こんな出会いがあるのも、定額ストリーミングサービスならではですよね。
(写真:ユニバーサルミュージックホームページ)
ハイトーンボイスが素敵。曲に新しい息吹
さて聴いてみると、楽しい。素晴らしい。
あーやっぱり実力あるんだな、きっと当たり前だけど。
ハイトーン。ロック歌手の王道。きっちりハイトーン。
ハードロックっぽい”こぶし”や”ビブラート”がちょっと懐かしいけど。それもまた個性。
一番心に響いたのは。尾崎豊『OH MY LITTLE GIRL』
尾崎豊オリジナルのあの粗削りが原酒とするならば、大吟醸のような洗練と精製。
ハイレゾだから余計に魂に迫ってきます。
Queenの『ボヘミアン・ラプソディー』
当たり前だろうけどキッチリ歌えてる。
これから年末にかけて街角のカラオケ屋で繰り広げられるだろう素人が歌う『ボヘミアン・ラプソディー』の阿鼻叫喚を想像するに、もちろん比べることも失礼なのですが、Queenでさえライブでは苦戦したというこの曲の歌いっぷり。
しかも英語の発音が良い。どうしても隠せない日本人感がない。
意外と良かったのが長渕剛『乾杯』
なんかこっちはこっちで何かの血中濃度が高い。日本人度?
日本のロックだかフォークだか分からないけど、あえて言えば日本のソウルかな。
長渕剛さんもToshiさんも音楽のスタイルは違えど、何か通じるものがあるんだ、きっと。
Toshiさんが披露宴のゲストできて、この曲を披露したら会場号泣の渦でしょうね。きっと。
(写真:ユニバーサルミュージックホームページ)
いやー良い出会いがありました。

パッケージソフトでも売ってますので一応。
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