【第6回 豊洲市場で朝食を】天房(てんふさ) えび天盛900円+まぐろ刺身単品900円

豊洲市場は大きく3つのエリアに分かれていますが、一番飲食店が少ないのがゆりかもめ「豊洲市場」駅から一番近い「青果棟」です。

大人気の「大和寿司」さんは間口が2店舗分ですが常に大行列です。
あとはお蕎麦の「富士見屋」さんと天ぷら「天房」さん。

本サイトでは、市場で働く人が普段使いするお店をメインで取り上げていますので、今日は「天房」さんに行きたいと思います。

ちなみに産地との直取引が増えて、取り扱い高の減少を言われる市場ですが豊洲市場も鮮魚部門は築地時代よりも取り扱いが減ってしまっているようですね。残念ながら。
でも青果の取り扱いは増えているということで、この辺の機微はどういうものなのでしょう。ちょっと分かりません。

「天房」さんは客席数20席にも満たない小さなお店ですし、天ぷらという性質上作り置きがききませんから回転が良い方のお店ではありません。しかもお店も家族経営スタイルでどんどん詰め込むということはしませんので、10人以上待っているときはそれなりに入店まで時間がかかる覚悟をしたほうが良いと思います。

天ぷらというカテゴリーは寿司と劣らず市場ならでは魚介の新鮮さを堪能できるものですが、こちらももちろん裏切りません。

一般に観光客の方には「天丼」や「天ぷら定食」などが人気なのですが、ここはどうでしょう市場で働く方の普段使いをおすそ分けしていただくコンセプトの当サイトですから、せっかく単品メニューが豊富ですから、単品を組み合わせてみませんか?お値段もそこまで変わりません。

実は天ぷら屋さんなのですが、絶対頼むべきは「まぐろ」です。
そうまぐろの赤身の切り身です。せっかく市場で食事をするわけですから、お刺身を食べたいですよね。
天房さんの良さはまさにそれ。天ぷら+〇〇という楽しみ方ができるところです。
常連さんであれば、仕事終わりで天ぷらをあてにちょっと晩酌(世間では午前中ですが)という使われ方をしてきたわけですから、明太子の切り身やお新香などちょっとしたつまみにも事欠きません。

このまぐろやっぱり鮮度の良さを感じます。これぞまさに市場に期待するもの。
凝ったネタではないだけに、良さを実感できます。
しかも、このまぐろブツ切りというか、小さく切られている。これがまたお寿司屋さんとかと違うやり方で、つまみにして良し。ご飯のおかずにして良し。

何というか、一口一口の食感が大げさでなく、良い意味で軽い食感のお刺身に仕上がっています。
市場で働く人にとっては夜でも、我々にとっては普通に午前中。これぐらいの食べやすさがありがたいです。
「まぐろ刺身定食1350円」で頼んでも天ぷら+で出てきてとってもお得ですし量もたっぷりなのですが、まぐろ単品(900円)はさらにたっぷりと楽しめます。

そしていよいよ天ぷら。
今日は、えび天盛(900円)でいってみようかな。

車海老と芝海老の天ぷらの組み合わせです。
もちろん海老が新鮮。通は天ぷらこそ鮮度だと言うそうですが、不思議ですよね。揚げてこそ感じるイキの良さというヤツが確実にありますね。そんな天ぷらを堪能できます。
衣は本当にケレンミ=派手さのない、極端にゴマの香りが強いわけでもない、まさにThis is 天ぷらのど真ん中という中庸さです。

色々通って感じるのですが、市場の飲食店、特に市場で働く常連向けのお店の味の特徴のひとつとして。気をてらわない味ということがあるかと思います。どこに入っても良い意味で「普通」の極みのような味付けです。
なんでだろうと考えるのですが、築地市場以来それぞれのお店が昔からやっていて、その料理のカテゴリーの元祖のようなお店が多いことからくる昔の味。出発点の味ということがあるのかな?と思いますし。
市場で働くプロ相手だからこそ、ごまかしのきかないストロングスタイル、味のメートル原器のような中庸さにどのお店も落ち着いてきたのかな?という気がします。そう考えると、この上質だけどどこといって普通の極みのような市場らしい天ぷらに凄みを感じるというのも、ならではの醍醐味ですね。

まぐろという冷たいものと、天ぷらの温度。
こんなワガママをかなえられる「天房」さん、かなりオススメであることは間違いありません。

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